[Delsol-02] いじりれき 2002/07
デルソルとご対面した時のはなし:
初回記事ではいつものごとく車を購入する際のすったもんだを書いたが、車を見に行った時の話まで入れてしまうと文章が長くなってしまうので、その時の話だけ別のエントリとした。
これがCR-Xデルソルである。色はサンバグリーンパールという名前だが、まぁ黄緑である。職場の上司からはアマガエルと評された。
青とか赤といったソリッドなカラーと比べるとかなり奇抜なカラーだが、一応、デルソルのカタログではこの色がイメージカラーである。
この車のはCR-Xの名を冠しているとおり、バラードCR-Xから続くCR-Xの系譜の末裔である。が、CR-Xは多くの人が知っているとおり、ライトウェイトスポーツの雄で、多くの走り屋に愛された車だった。
ところが、バブルの高揚感がそうさせたのか、3代目となるこの車はこれまでと全く異なるテイストの車としてデビューした。車体は一回り大きくなり、屋根が開いたりするものだから車重も嵩んでしまったりと、もはや別のラインナップと言ってよいほど違う車に化けてしまったのだ。
このホンダの思い切ったチャレンジは、案の定走り屋たちからそっぽを向かれる結果となり、残念ながら販売は低調だった。
折角斬新なコンセプトを身にまとって登場したのだから、CR-Xなんてつけなければよかったのに。
かつて日本を代表するデートカーであったプレリュードが、モデルチェンジによって一回り大きくなったことから、その空いたポジションを埋めるためにCR-Xに白羽の矢が立ったのかもしれない。だが当時は、RVやクロカン、1BOXと言ったワイルド系・ファミリー系が幅を利かせており、デートカー自体が売れない時代だった。そのあたりを見極められなかったのも敗因かもしれない。
自分は当初I氏の事務所でデルソルの画像を見た時に、走り屋が乗っていそうな車だ、という感想を持ったが、それは走り屋がどのような車を好んで所有しているのかを知らなかったが故の感想だった。今になって思えば、走り屋はこの車を選ばないことがよく分かる。ましてAT仕様である。
恐らくこの車は、オープンエアを堪能したいと考える、ちょっと気取った感じの人が乗っていたのではないか、という気がした。
ちなみに、写真はたまたま所持していた写ルンですで撮影したものである。本当はもう少し深みのある色合いなのだが、どうにも全体的に淡い色合いになってしまった。
さて、話を当時に戻す。
ルーフは店員が予め開けておいてくれた。なので、車を見た時に、おお、オープンカーだ!と静かな興奮が自分の中に巻き起こるのを感じた。
エンジンはアイドリング状態となっていたが、異音もなくスムーズにアイドリングしている感じだ。
まぁ、見た目からして前のオーナーがあれこれいじくったような痕跡は見当たらなかったし、10年落ちの中古車であるにもかかわらず、走行は41000キロほどで、酷使された形跡も全くなかった。
このショップは写真のとおりかなり広大な敷地を持つ販売店だった。なんならちょっとしたショッピングモールの駐車場位の広さがある。
なので、敷地内走行でよければ少し走らせてもいいですよ、と店員から許可を貰うことが出来た。助手席に店員が同席するということなので、I氏から順に試乗を行った。
敷地内を一周して戻って来るなり、
「エンジンも調子いいし、内装もヘタってないし、いい感じじゃん?」
と非常に気に入った様子。
続いて自分の番。敷地内の走行なので、スピードは出せてせいぜい20km程度。どれだけ回せるエンジンなのかとかはチェックできなかったが、もとよりエンジンの具合とか、そう言うことはあまり詳しく分からないので、フィーリング的な部分に意識を集中してみた。
足回りは固すぎず柔らかすぎず、いい感じに踏ん張ってる感じがして、奥多摩とか富士五湖周辺の国道なんかを快走したら楽しそうだ。
ただ、ステアリングが重いのがちょっと気になった。重ステというほどでもないが、一般的なパワステのフィーリングからするとかなり重い。
特にホンダの車のパワステは指一本で回せそうなほど軽いもの、という印象が強かったので、壊れているのではないかと言う気すらした。
ただ、それ以外にこれと言って気になる点はなかった。徹夜明けで思考力がほぼゼロだったせいもあるが、屋根がない車に乗れる、と言うだけで細かいことはどうでもいいや、という気になってしまった。
車から降りてI氏にステアリングが重くないか、と聞いてみたが、いや、こんなもんじゃないかな?とのことだった。壊れていないならいいか。
室内はこんな感じ。スポーツタイプなのにATに乗るなんてなんと軟弱な?と思うかもしれないが、自分はMT車が運転できる免許を所持しているものの、運転したことがあるMT車は教習車しかなかった。
教習車だって充分に慣れるほどは乗っていないので、免許を取って数年も経ったらすっかり運転できる自信を失ってしまった。
I氏もそこはMTだろ?と思っているようだが、それでは自分が運転できないので、AT車であることは自分にとってはラッキー。
まぁ、AT車ゆえこんな価格になっているのだと思うが。
内装も一回りチェックした。大きくガタついているところなどはなかったが、運転席側のドアノブがちょっと割れかかっていてグラグラした感じになっていたことと、灰皿の蓋のヒンジが割れてガタガタになっていること以外、これと言って不都合はなかった。
これについては購入契約の折に店員に相談したら、新品に交換しておいてくれる、と言うことだった。
そのほか、前オーナーが取り付けたと思われる、カーナビとCDチェンジャーが搭載されていた。カーナビはなんか妙に古い。その当時にカーナビを買って取り付けたのだとしたら、それなりに懐に余裕のある人が乗っていたのかもしれない。
これらは付けたまま納車、と言うことだった。自分はもはやナビなしでは生きられない体になってしまった訳で、古いものでも付いているのであればありがたい。
試乗を終えたI氏が、トランストップを動かしてみたいんですが、と店員に伝えた。店員はもちろんどうぞ、と言って操作方法を説明してくれた。
この車のグレードは「SiR トランストップ」 という。SiRといえば、ホンダのスポーツモデルの中ではフラッグシップとなる仕様に冠されるグレード名だ。
デルソルには1500ccのVXiというグレードと1600ccのSiRというグレードの2種類がある。
どちらもルーフはオープンにできるのだが、SiRはトランストップと言う、電動でルーフを格納できる機能が装備されている。
オープンカーのルーフと言えば、一般には幌が装着されていて手動で開閉するものが殆どだ。幌を開放すればフロントウィンドウ以外遮るものが一切ない爽快なオープン環境を得ることができるが、クローズした時の快適性に劣るという欠点がある。
一方、ハードタイプのルーフを備えるものは、クローズ時の快適性はクローズドのモデルと遜色ないレベルとなるが、重たい屋根を着脱するのに手間がかかることと、外したルーフを格納しておく場所に困ることの2つが問題点だ。特に車内に格納場所が設けられていないモデルの場合、外したルーフは自宅などに保管しておかざるを得ず、保管場所の確保と言う問題もさることながら、オープンにして外出した時に急な雨にたたられると悲惨な結果になる。
そこへきて、SiRの電動格納式ルーフである。クローズドと遜色ない快適性が得られるのに、開閉は自動だから手間がない。そのルーフはトランクリッドの中に格納されるので収納場所に困らない。もちろん、急な雨でも速やかに対応できる。オープンカーを目いっぱい活用するのにいいことずくめなのだ。
で、I氏が言っているのはその動作確認をしたい、ということなのだが、残念ながらこの時の開閉の様子は一切撮影していない。当時はブログを開設する想定が全くなかったので、こまごまと写真に撮るという考えもなかった。
ただ、この動作機序については必見だと思うので、カタログに掲載されている画像を拝借してちょっと解説させていただきたい。
- ルーフ左右に付いているロックを解除
- スイッチを開く方向に押しつづけると、トランクリッドが真上に上昇する。上昇しきったところでいったん止まる。
- さらに開閉スイッチを押し続けると、ルーフの後ろ側が5cmくらい持ち上がり、再び一旦停止。
- 再び開閉スイッチを押し続けることで、トランクリッド内からルーフを引き込む為のスライドユニットが前方に延びてきて、浮き上がったルーフの後端に差し込まれる。
- その状態でブザーが鳴るので、ルーフ後端についているロックレバーをロック側に回し、再度開閉スイッチを押し続ける。
- スライドユニットに固定されたルーフがトランクリッド内の収納スペースに引き込まれて格納された後、再度一旦停止。
- さらに開閉スイッチを押し続けることで、トランクリッドが下降しトランクが閉じる。
いかがだろうか。もうね、現地でこれを見せてもらった時の衝撃ったらなかった。
垂直にアップダウンするトランクなんて見たことがない。そのうえ、そのトランクリッドの中から触手が伸びてきて、ルーフを引きずり込んで格納するのだ。
誰だ、こんな変身ロボットのようなギミックを編み出した奴は?w
この車が開発された当時は、電動フルオープンのルーフを装着している車は国産では存在せず、まさにオンリーワンの装備だったのだ。
それ故ちょっと開閉動作が慎重に過ぎるな、と思うきらいがないこともないが、要約すれば、
・ルーフ左右のロックを外し、
・開閉スイッチを押し続け、
・ルーフ後端のロックレバーを回し、
・再度開閉スイッチを押し続ける
だけで、オープンエアが楽しめるということなのだ。手順が煩雑とか言うな。手動で重たい思いをしてルーフを取り外して自宅の室内まで運ぶことを考えたら、このくらいの手順なんということはない。
この車が思考力ゼロの頭でもって欲しくてしょうがなくなるほどの魅力に満ちた車だったことがご理解いただけようw
結果として、この車は我々の手元へとやって来た。I氏はこの車をどう料理するか、早速腕まくりをしている。もちろん自分も思いついたアイディアがあったら実践に移してみたいと考えている。
LCWの方はおろしたての新車なので、失敗することを考えたらおいそれと手が出ない。その点、この車なら多少しくじっても被害は少ないので、思い切ってチャレンジしてみたいと思う。
LCWとの二重ローン生活がどうなるかは、不安で仕方がないが。。。