005155 – SUZUKI EVERY WAGON – 3

2021/11/27

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スペーシアを車検に出した折に、ディーラーから代車として借りた車である。
車検の見積をしに行ったときに、何か乗ってみたい車はありますか?と聞かれた。今まで代車の車種を指定させてもらったことなどなかったのだが、それなら、ということでエブリーワゴンありますか?と聞いてみた。

エブリーワゴンは次期マイカー候補として期待している車種である。軽ワンボックスは軽自動車最大の室内寸法を有しており、車中泊をするにはベストな車種だと考えているのだが、乗り比べをして買うような車ではないせいか、試乗車として用意しているところがあまりなく、気軽に試乗が出来ない。

店員が在庫確認をして戻ってくると、あるにはあるが特装車しかない、という。
車中泊のしやすさをチェックしたい、というのが希望なので、できれば普通のエブリーワゴンが良かったのだが、特装車はそれはそれで珍しい。普段なかなか乗る機会もないし、今後利用する日が来るかもしれないので、結局それを借りてみることにした。

ディーラーにスペーシアを預け、代わりにエブリーワゴンのカギを受け取る。
色がシルバーなせいか、ちょっと商用車っぽい感じがする。

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室内に目を向けると、シートのしつらえや、メータ類のキラキラ具合はワゴンのそれだ。
登録後にこの車を業務利用したことがあったのか、車内はそこはかとなく病院のにおいがした。
病院と言ってもクレゾールのにおいではなく、病室の辺りに漂う、食べ物と体臭が混じったような臭いだ。まぁ、所詮代車なのでそこら辺は気にしても仕方がない。

 

軽のワンボックスの欠点として乗り心地の悪さがある。基本的な設計が商用車と同じなので、リアのサスペンションが板バネだったりする。商用車は物を載せるのが前提なので、ワゴンユースで使う場合リアが軽くなって、座席に座っているとバタバタと跳ねる感じがする。荷室に重りでも乗せておけば落ち着くのだが、それだと燃費が悪くなる。
ただ、自分のそういう考えは20年前のアトレーのもので、ここ最近軽ワンボックスは殆ど乗っていないので、今時は違うのかもしれない。もしその辺りの具合が良ければ、購入動機の一つになる。

上でエブリーワゴンの試乗車はあまりない、という話を書いたが、以前、一度エブリーワゴンの試乗車を借りたことがある。ただ、その時はあくまで試乗だったので30分ほどしか時間が取れず、乗り心地とかのチェックが十分にできなかった。

今回は丸一日借りることが出来たので、少し遠出をしてじっくりとその辺をチェックしてみようと思う。

 

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シートの下にエンジンがあるので、着座位置はかなり高い。そして鼻先がないので、すごく前方ギリギリに座っている感じがする。が、それらは走り出して10分もしたら慣れてしまった。

スマートキーや、スズキドライブサポートなど、最近の軽乗用車で標準的な装備となっているものは一通りついている。
ただし、スズキのイチオシシステムであるS-エネチャージや、クルーズコントロールは設定がない。エンジンやミッションの構造上採用することが出来ないらしい。
ワンボックスのワゴンを買うユーザーならそれなりに遠出したりする用途で使っている人も多いと思うので、設定してくれるととてもうれしいのだが。。。

アクセルを踏むとエンジンが唸る。
エブリーワゴンは全車ターボエンジンなので、加速にストレスは感じなかったが、4ATなので加速時のエンジン音は若干うるさく感じた。ただ、巡航速度になると回転数も落ち着いて車内はそれなりに静かになる。

軽自動車にしては重たい車体を動かしているのだから仕方ないかもしれないが、平均燃費を取ってみたら10キロちょっとくらいをうろついている感じで、燃費はお世辞にも褒められたものではなかった。代わり、という訳ではないが重さがある分、地面にどっしりと踏ん張る感じがあって、乗り心地の面では意外にも好印象だった。ただしフロントのみ。リアについてはあまり変わらなかった。その辺は構造上の問題で諦めるしかないのだろうか。

あと、背高ノッポなので、横風の影響はてきめんに受けてしまう。ハンドルをとられることもあったので、ちょっと危ないな、と感じだ。
トラックなどとすれ違う時ですら若干ハンドルを取られる感じがあったので、高速での追い越しのときはもっとひどいかもしれない。

まぁでもその辺も軽ワンボックスの宿命みたいなものなので、あまり気にしてもしょうがない気がする。

 

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室内については特装車というのがどのようなものなのか、と言うあたりをチェックしていきたい。
今まで特装車と呼ばれる車には乗ったことがない。ざっくりいうと車いすを乗せられるような設備が供えられた車、ということになる。

具体的には、荷室部分に車いすを乗せられるようになっており、そこまで車いすを上げられるように、荷室の床はスロープ状になっている。
荷室部分から車いすを降ろしやすいようにスロープが設けられている。

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スロープは折り畳み式になっていて、スロープ手前のレバーを引いてロックを解除すると、バンパーと一体になったスロープが倒れて路面から荷室部分までがなだらかなスロープとなる。

スロープを展開するためにバンパーも分割式になっているため、ライトの部分がキャリーの物と同じようなデザインのものになっている。これがファーストインスピレーションでキャリーっぽく見えた理由のようだ。

車いすを押して車内に格納したら、足元にあるフックで車いすを固定する。もちろん、車いすに座っている人はそのまま荷物室に収まることになるわけだが、おそらく少し後ろに傾いた状態で座ることになるようだ。
それだと、走行中にのけぞってしまいそうな気がするが、そこは贅沢を言っちゃいけない部分なのだろうか。

ちなみに、座席は4人分ある。軽自動車の定員は最大4人と決まっているのだが、車いすで乗せられている人は人数としてカウントされないのだろうか。

 

車いす用の装置が設置されている都合上、リアシートは後ろ大きく倒すことが出来ないようになっていた。
なので、エブリーワゴンの軽ワンボックスとしての車中泊への実力をチェックすることは叶わなかった。

カタログ掲載されている写真を見ると、フロントとリアシートをともにフルフラットにしても、リアゲートからリアシートの端っこまで30cmくらいのスペースがある。ここにチビ用のベッドをこしらえるとか、ちょっとしたギャレーや作り付けのテーブルなどをしつらえると快適に過ごすことが出来そうな気がする。

ちなみに、ライバルとなるアトレーは少し前にモデルチェンジをしていて、商用車登録となったせいかリアシートがものすごく貧弱になった。座席としてのフルフラット化は潔く諦めて、座席を床下に格納してフラットにする方式となっている。
まだ試乗したことがないので、比較する材料がないが、もしかしたら都度都度シートを展開したりする必要がない分、アトレーのシートアレンジの方が運用が楽かもしれない。

ただ、我が家は3人なので家族で出かけると誰かしらはリアシートに乗ることになる。それで乗り心地が悪かったら不評を買ってしまいかねない。更に、スライドドアの窓が上下に開閉できなくなった。かつてモビリオスパイクに乗っていた時もそういう窓だったが、換気が良くないのであまり快適に過ごせなかった記憶がある。そう考えると、リアを居住スペースとして考えた場合、エブリィの方が快適そうだ。

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それはさておき、この特装車、リアシートがちょっと変わった作りになっていた。
普通、軽自動車のリアシートは半々で分割されるが、この車のシートは7:3の比率で分割されていた。
前に乗っていたステップワゴンのように2列目に3人乗れる仕様とかではたまに見かけるが、軽自動車では珍しい気がする(比較材料がないから特装車系では当たり前なのかもしれないが。)

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シートバックもきっちり7:3で分割されていて、それぞれリクライニングすることが出来るようになっているのだが、このシート幅は大人の体格にはかなり狭く、背中が収まらない。
なので、狭い方を大きく倒すと、背中が隙間に挟まったような感じになってしまい、とても変な感じだ。

多分、リクライニングのためではなく、前方に倒して後方へのアクセスをしやすくするための設計だと思うが、何となく誰得な感じもする。
特装車の特装車たる面を見せられたような気がする。

ちなみにそういった機構を搭載しているので、リアシートはスライドしない。シートは若干前方に寄せられて設置されているので、膝周りはやや窮屈だった。

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また、写真のようにシートを前方に引き上げて収納できるようになっていた。こうすることで荷室部分が広くなるのだが、シートの台座のようなものが出っ張っていたり、床も斜めの場所と、タイヤハウスの上部分とで段差があったりするので、荷物を積載する用途には適さない。

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あと、この車には電動オートステップがついていた。これは最上級モデルのPZターボスペシャルにしかついていない装備だが、ということは、この車はPZターボスペシャルがベースになっているのだろうか。
その割にドアミラーウィンカーや車速感知ドアロックなど省かれている機能もあり不明である。

室内側のステップと、このステップがともに10cm程度の奥行きしかなく、足をしっかりと乗せることが出来ない。つま先で登ればよいということなのだろうが、つま先で歩けるだけの足の力がある人なら、このくらいのステップは訳なく登れそうな気がする。そう考えると使い道がよく分からない。

 

まぁ、いろいろ書いたが、車としての素性はエブリーワゴンのそれであり、カミさんにも運転させたが、すぐに慣れて運転しやすいとのことだったので、次の我が家の車になるかもしれない。何年後かは知らないが。

スズキさん、折角だからイチオシ機能のエネチャージ、エブリーにも搭載してくれないかな。。。それとクルーズコントロールも。
アトレーはスマアシで前車追従機能が付いたので、こちらの方が運転が楽そうだ。後部座席の貧弱さだけ目をつぶればアトレーの方が快適かもしれない。ただ、そこを目をつぶってよいのか何とも言えないのだが。。。

ちなみに、カミさんから後部座席のロールカーテンがないことを指摘された。あれがあるのとないのとで後席に乗っている時の快適性が全然違うのだそうだ。なので、ついていたら100点なんだけどな、と言われた。

ユーザーからの要望を反映して次期モデルには搭載されるかもしれないが、この手の車はモデルサイクルが長いので、何時になることやら。。。

Posted by gen_charly