[Inst-02] ROLAND HS-80

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中学生の頃、親にねだってCASIOのCT-607というエントリモデルのキーボードを買って貰った。

何かを演奏するために音を出す、という目的だけであれば、特に不満もなく使えていたのだが、MIDI端子が付いていなかったり、タッチレスポンスが付いていなかったり、音色もなんかしょぼいし、、、などなど徐々に不満が出るようになってきた。

それで再び親と交渉して、高校生3年の誕生日に新しいキーボードを買って貰えることになったのだが、当時のキーボードシーンを席巻していたヤマハのEOSとかはとてもじゃないけど高くて手が出ない代物だった。かといって、カシオトーンだと上位機種を選んでも、根本的なショボさは変わらない、みたいな感じで、できればカシオトーン以外が良いと思っていたので、値段がお手頃で、そこそこ機能の付いているモデルと言うのがなかなか見つからなかった。


その当時、本川越駅の近くにあるリサイクルショップが楽器を扱っていたので、たまに覗きに行っていたのだが、ある日そこそこいい感じのキーボードが売られているのを見つけた。それがこれである。

タッチレスポンスもベンドもMIDI端子も付いている。それでいて中古なので価格は4万円ほどとお手頃。ということで購入して我が家へとやってきたのだった。

音色はプリセットで128音、簡単なシンセサイザーのような機能も付いていたので、音色をエディットして、ユーザーバンクに登録することも出来た。

本格的なキーボードが手に入れられた嬉しさで、暫くの間は毎日のように弾き倒した。


このキーボードは発売当時のローランドの標準的な音源であるLA音源方式が採用されていた。
LA音源は、シンセサイザーによる音色合成がベースになっていて、ストリングスやいわゆるシンセサイザー系と呼ばれるものの音色はなかなかリアルな仕上がりになっていたものの、ピアノやギターなど打鍵系の音色についてはあまり得意でなかったようで、当時PCMによるサンプリング音源を採用していたヤマハの音源と比べると、だいぶ見劣りする感じだった。

それでも気に入っていたので、結構長いこと所持していたのだが、一人暮らしで部屋が狭くなったことと、キーボードよりベースを弾いていることが多くなってきたのとで、だんだん押入の奥に押し込まれている時間が長くなってきた。


ある日、久しぶりに引っ張り出して弾いてみたら、いつの間にかF#の音がでなくなっていた。
もうあんまり使わないし手放そうかな、と思ったら、知り合いが打ち込み用に使いたいというので、彼の元に旅立っていった。

Posted by gen_charly