[読み物-03] 住まいで振り返る半生記【35】
部屋番号20 - 東京都世田谷区某所(その2)
契約を済ませてカギを受け取り、引っ越し前の下見にやってきた。我慢するところがないとはいえ、気になるところがない訳ではなかった。そこをどうにかできたら、更に快適に過ごせそうだ。ということで、当時車いじりでつるんでいたI氏に声をかけて同行してもらった。
なお、入居時の様子を写真には残していない。この記事に登場する写真は全て退去時に撮影したものである。
まず階段だが、階段の壁がなんとラティスになっている。ラティスの向こう側にはプラスチックの波板が陽光を透過してぼんやり光っていた。これっておしゃれなの?
これじゃ、断熱もへったくれもないし、虫や小動物や得体の知れないものが盛大に侵入してきそうだ。I氏に相談すると、石膏ボードと壁紙買ってきて並べれば大丈夫じゃない?とのこと。
4.5畳の部屋に入る。南に面した部屋だが窓の向こうにお隣さんがあって日差しはそこそこ。この部屋だけエアコンがついていた。
奥の壁には作り付けの本棚が設けてあった。本がたくさんあるので、こういう棚は有難い。
この本棚が収まっている場所は、大きさ的になんとなく窓枠っぽい感じがする。が、この本棚の裏側は隣の部屋がある筈だ。
建物の外にでて観察すると、隣の部屋とは建物の外壁の素材などが異なっていた。ということは、隣の建物は増築されたのだろう。で、以前ここに窓があったのだと思う。増築に際し、ここの窓が塞がることから作り付けの本棚にしたようだ。
続いて6畳間。引きの写真の持ち合わせがなかったので、3Dイメージでご紹介する。
こちらは東面(画像右側)と西面(画像左側)に窓がついていて、風通しは悪くなさそうだが、東の窓の向こうは隣戸の後付けのユニットバスによって窓の半分くらいが遮られている。
一方西側の窓は腰高窓で大きさは小さいのだが、窓の向こうは駐車場と広い空き地になっていて、開放感はこちらの方が圧倒的に良好だ。願わくば、こちらが大きい窓だったらよかったのだが。
4.5畳にはエアコンが設置済だったが、こちらの部屋には取り付けられていなかった。19.の家で安物のエアコンを買って付けていたのだが、安物とはいえ1年未満しか使っていないので、持ってきて後で取り付けることにしよう。
キッチン。狭い。シンクと一口コンロでいっぱいいっぱいだ。調理台がないのは不便と思ったか、コンロ台から壁まで板が渡してある。なので一応、L字型キッチンだw
その板が邪魔でコンロが使いづらいので、壁に油跳ねガードを貼ってコンロを移動して使っていた。
サイズとしては0.5畳程度しかないので、人が立てる場所は50cm四方くらいしかない。最低限の調理しかできないが、どうせ大した調理はしないのでそこはどうでもいい。それよりもこの狭さ、なんか既視感がある。つぶさに見ていくと、キッチン入口の柱にはかつて扉が付いていたような跡がある。その跡に閂型の錠前が付いていた跡を見つけてピンときた。ここトイレだ。。。
トイレをつぶしてキッチンにする感覚って、、、と思うがまぁ気にしたら負け、と言う奴だろう。
続いてユニットバス。特に変わったところはない、どこにでもありそうなユニットバスである。ちょっとサイズは小さめだが、毎日自由にお風呂に入れるだけで御の字である。
キッチンとユニットバスを眺めていて、かつてトイレだったところがキッチンに改築されている謎が解けた。
この部屋は恐らく、昔はトイレ・キッチン共同、風呂なしの2間別貸しのアパートだったのだろう。今時、そんな物件借り手が付かないので、キッチンを撤去してユニットバスを設置し、トイレをミニキッチンに改築したうえで、2間まとめて1部屋にした、と言ったところだろう。
図らずも風呂なしトイレ共同(だった)物件に住むことになってしまったw
そう言えば、見学に来た時に不動産屋の店員が、
「ここ、オーナーが気に入っていてなかなか建て替えないんですよねぇ。普通こうなると借り手がつかないので、壊して建て替えちゃうんですけど、ちょこちょこ修理しながら未だに使ってて。。。」
と言っていた。そういうことなのだろう。そういう目線で見ると、所々改築の痕跡らしいものが見えてくる。
キッチンの向かいには洗濯機置き場がある、ここも改築で新たに生まれたスペースのようだ。4.5畳の部屋の押入の下半分を壊して洗濯機置き場としたようだ。それはいいとして、洗濯機置き場なのに給水栓がない。排水口はあるのに。。。これまでの入居者はどうやって洗濯していたんだろう。
ちなみに階段室の途中に不自然に板で塞がれた場所があった。上の写真で答え合わせになっているが、板の裏側には木枠の窓があった。折角の南面の窓なのにもったいない。