[読み物-03] 住まいで振り返る半生記【36】
部屋番号20 - 東京都世田谷区某所(その3)
ということで、一通り部屋を眺めて概ね改良ポイントが見えてきた。そのほか気になったのは、テレビアンテナが引き込まれていないことだった。テレビを見るためには屋内アンテナなどを入手する必要がありそうだ。とは言ってもテレビは大して見ないから、なければないで困らない。必要になったら考えよう。
それと、古い建物だけに各部屋のコンセントが1カ所しかない。テレビは見ないがPCをはじめ家電に囲まれた生活を送る身にとって一部屋に3口コンセント1個では到底足りない。
あと、廊下の電気が裸電球なので、それもできればどうにかしたい。
ということで改良ポイントは以下のとおり。
- 階段部分のラティスを塞ぐ
- 階段の塞がれている窓を開放する
- 洗濯機への給水管の増設
- ブレーカーの容量アップと、コンセントの増設
- 裸電球の交換
大雑把にこんな所である。I氏とホームセンターに行ってあれこれ物色、資材は概ね揃いそうなことが分かった。
改良したい場所をリストアップして、大家に許可を貰いに行った。大家は隣に住んでいる。呼び鈴を鳴らして出てきたおばちゃんに、やりたいことを説明する。
「あれ、気に入らなかった?若い人はああいう古臭いの嫌かなと思ってやってみたんだけど。。。」
うーん、自分が一般的な若者のセンスを持っている自信がないが、少なくとも虫が入る部屋は嫌だし、明るい部屋がいい。
最終的な回答としては、基本的には好きにいじってもいいけど、退去時には原状回復することが条件、とのことだった。
ただし、ブレーカーの容量アップはNGだった。ブレーカーを落とさないように気を付けて使う必要がありそうだ。
ホームセンターで各資材を買い込み、そこから数日かけて知人と改造工事をした。導入で紙幅を割いてしまったので、詳細は割愛する・・・というか当時はこうやってブログで公開することを考えていなかったので、作業記録を残していない。
洗濯機の給水栓は、キッチンの蛇口に分岐水栓を取り付けてそこから引き回した。作業に際し元栓を締める必要があったが、元栓の場所が分からず苦労した(床下にあった)。
その分岐水栓の先に全自動洗濯機用の給水ホースを繋げて、部屋の鴨居を渡らせて洗濯機置き場まで伸ばした。ギリギリの長さだったが無事に届いた。
ちなみに、分岐部分にもコックがついているので、開閉が可能である。洗濯機に繋げていれば洗濯機側が制御するのでいじることはないが、退去の時に役に立った。
壁のラティスはこのような仕上がりになった(写真左側の壁)。原状回復が前提なので、ラティスは石膏ボードの裏に残してある。これで虫の心配をしなくてよくなった。
しかし、I氏の知識の深さと仕事の丁寧さには毎度毎度恐れ入る。
ちなみに、上の写真の玄関ドアすぐ右横に白い長方形の板が写っているのが分かるだろうか。階段上の窓もこんな感じの化粧板で塞がれていたので、ここも何かが隠れていそうな気がして、興味本位で一度板を外してみた。
板の後ろ側にはめ込みの窓ガラスが見えた。そして窓の向こう側にはトイレの洗剤や芳香剤が並べられていた。
え!?トイレ。。。?なぜここに窓??
この板の向こう側は1階住居なので、1階住居の何かがあることは想像できたが、まさかトイレだとは思わなかった。
だってここ2階住居の階段室だよ。普通、トイレの窓って外壁に面して付けるよな。
トイレの窓を屋内の仕切り壁に設けるだろうか。想像してほしい。隣の家のトイレの窓が自分の家の室内にあることを。。。
改築を繰り返していてあちこち普通じゃないところがある部屋だが、この存在は流石にたまげた。
逆にこの壁がかつて外壁だった、という可能性も考えた。だが、階段はどう考えても建築当初からあるとしか思えない年季の入り様だ。間取り的にここからしか2階の部屋へはアプローチしようがないということも考慮すると、建てられた当初からこうだったのだろう。ではなぜ。。。
もっとも、こういう構造に全く心当たりがないわけでもない。以前、父の同僚が住んでいた都営アパートは、外廊下に面して風呂、その奥にトイレと言う風に並ぶ間取りだった。風呂は外壁に面しているので窓が付いているが、トイレはその奥なので窓はない。その状況で少しでも外光を取り込むために、トイレと風呂を仕切る壁が曇りガラスになっていた。もしかしたらここもそういった想定だったのかもしれない。いや、どうやってこの暗い階段室で外光を採り入れるんだ、って話もあるが。
そこのウチには自分がM姉と呼んでいた、何歳か年上の娘がいた。たまに泊りに行っていたのだが、母子家庭で異性を気にする文化がなかったのか、自分が風呂入っている間に全く気にせずトイレに入ってくる。すごく気まずいようなドキドキするような複雑な感情が芽生えたことを覚えている。小学生の時の話な。
・・・何の話だっけ?ああそうだ、トイレの窓だ。謎が謎を呼ぶトマソン的トイレの窓。流石にここは再び塞いでおくことにした。
自分がもう少し口達者なら大家にこの正体について質問したかったのだが、結局聞けずじまいだった。
19.の家で外したエアコンだが、ヤマダ電機に行って取り付けの見積をしてもらったら、2階に室外機を置く場所がなく1階から配管を引かなければならないのと、壁に穴が空けられていないので穴あけが必要だという理由で、都合4万くらいかかると言われた。そりゃエアコン本体価格より高い。それなら取り付け工賃無料で新品を買った方がましだ、というか、いまいまそんな大金工面できないので、この部屋への取り付けは諦めた。
ちなみに駐車場は家のすぐ裏の駐車場に空きの車室があり、そこを借りることが出来た。賃料は1万5千円とのこと。これもまたお手頃価格だ。ある所にはあるもんだね。
契約は駅前の不動産だったが、毎月の賃料は駐車場近くの大家さんに持っていくことになっていた。大家さんの自宅は、大きな門をくぐると、立派な庭に大きな土間付きの玄関ホール、呼び鈴を鳴らすと上品な奥様。住んでる世界が違うな、と思った。
直接来てくれたらもう少し安い値段で貸してもよかったんですけどねぇ、といわれた。が、持ち主がどこに住んでいるかなんて分かるわけないだろ、と思った。
そもそも、車庫飛ばし防止として契約時に半年分前払いさせられているので、今更遅い。。。
まぁ、家から見えるところに車があるのは安心できるのでいいんだけど。