[RentaCar-08] HYUNDAI TB

2005/09/17

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2005年の社員旅行で再び沖縄を訪れることになった。今回は沖縄本島である。そこで手配したレンタカーがこれであった。

タイトルでバレてしまっているがヒュンダイの車である。ヒュンダイは韓国の自動車メーカーで、この車を借りる数年前に日本法人を立ち上げ国内展開が始まったのだが、残念ながら全くと言っていいほど売れなくて、日本国内でヒュンダイの車を見かけることは殆どなかった。


ヒュンダイが日本進出を始める数年前にアメリカのサターンというメーカーが日本へ進出した。ボディ外板に樹脂を採用し、そのパネルの上に登ってジャンプしても凹まない、というのがセールスポイントでTVCMでもそれをアピールしていた。積極的に放映していたせいかそこそこの知名度を獲得することが出来たのだが、車自体はあまり売れなかった。あまり日本ウケしなさそうなデザインであったうえ、アメリカ車自体に、作りが雑で壊れやすくて燃費が悪いというイメージが付きまとっていたためだ。なので街中で見かけることもさほど多くはなかった。


だが、ヒュンダイ車はそれ以上に見かけなかった。それこそ1カ月に1度目撃できるか出来ないか、くらいの頻度である。
2001年頃だったと思うが、当時の勤務先が近所だったこともあって、虎ノ門にあったヒュンダイのショールームを覗きに行ったことがあった。と言ってもカタログを貰うためだけの訪問だが。それで貰って来た何冊かのカタログを眺めてみると、意外にもと言っては失礼かもしれないが、クロカン、高級セダン、スポーツカーと一通りをおさえたラインナップであった。

日本向けモデルなのでハンドルもちゃんと右側に付いていて(韓国は左ハンドル)、それでいて国産と比較すると価格もいくらかリーズナブル。これを見る限り、結構な高級車を安価に乗れるのだから案外悪くないチョイスのようにも見えるが、残念ながら世間一般の評価はそうではなかった。


なぜかというと、当時の韓国ブランドというのは安かろう悪かろうのイメージがあったからだ。ヒュンダイ車進出の10年ほど前に韓国の家電品が日本に進出してきたのだが、もっぱらローエンド寄りの製品ばかりだったため韓国製は安いけど機能は貧弱という印象を植え付けてしまった。元々それ以前から韓国を含めた東南アジア方面を格下に見る風潮が根深く残っていて、例えばフルオートのコンパクトカメラに対して付けられた朝鮮人を侮蔑するような愛称が世間に違和感なく受け入れられてそのまま定着してしまうような有様だったから、その物自体の出来の良し悪しを見ることなく、はなから韓国製品は粗悪で壊れやすいという先入観に支配されていたのだ。

そうした中での殴り込みである。不本意ながらマイナススタートとならざるを得ず、輸入車メーカーとしての知名度を確立するためには相当な努力を払う必要があった。だがなぜか当のヒュンダイ自身がセールスに淡泊で、TVCMも流さなかった(自分が見たことがなかっただけかも)こともあって、そうしたイメージを払拭するには至らなかった。

さらに国内の拠点整備が不十分だったことも売り上げが伸びない要因だった。何しろそういうイメージが先行しているのだから、せめて壊れた時のアフターフォローくらいはしっかりとやってくれないと安心してオーナーになることが出来ない。アメリカには卑屈だが東南アジアには尊大な国民性なのだから仕方がない。

まぁ、そんなわけで日本国内では全く知名度が上がらず街角でも見かけることがないまま、やがてヒュンダイ自体が撤退してしまった。


で、話は戻って沖縄で借りたレンタカーだ。

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国内でほとんど見かけることのなかったメーカーだったこともあり、レンタカー屋でこの車が出されてきたときにこれがヒュンダイの車であることに気づくまで少しかかった。フロントの「H」のエンブレムを見てようやくそれであることに気付いた。ディーラーで貰ったカタログにコンパクトクラスがなかったことも気づくのが遅れた要因だ。なにしろ初めて目にしたのだから。

珍しい車種を取り揃えたレンタカー屋だな、と思いつつ乗り出したのだが、意外にも島内を走っていると割と頻繁にこの車を見かけた。ただし「わ」ナンバーばかり。レンタカーとしての需要を見込んだセールスがあったのだろう。


自分はもちろん初めての乗車である。機会があれば乗ってみたいな、と思っていたメーカーの車だったので、興味深く運転させてもらった。と言っても当時はまだ車の乗り心地について子細にチェックするような乗り方はしていなかったので、大雑把な印象のみしか記憶にないが。

運転してみた感じは至って普通。自分も先入観がない訳ではないのでダメなところが目立てば印象に残るはずだが、そういった点は殆どなかった。日常の街乗りにおいて必要になるであろう装備は全て装着されており、普段使いをこなすの全く不満の出なさそうな優等生的な作りの良さを感じた。


しいて気になる点を上げれば、このクラスの車にしては若干力不足を感じたことだ。坂道などで必要以上にシフトダウンが発生してその分エンジンがうるさくなる。もう少し通常走行域のトルクがあれば格段に扱いやすいエンジンになりそうだ。

それと、これは沖縄という環境による部分もあると思うが、エアコンの利きがちょっと弱かった。常に最大で動かしていないと車内の気温が上がってしまう。韓国は基本的に寒い国だからだろうか。


まぁそんな訳で、普段使いには全く不満が出ない車であった。ただし長い目で見た場合に故障率がどうなのかとか、メンテナンスの際に必要なコストがどのくらいなのか、と言った部分は不明である。本当に韓国車を買って安心なのかはもう少し長期的な運用が必要になると思う。

そうは言っても1年2年で壊れるような物でもないと思うので、営業車としてリースなどで所有するのは悪くないかもしれない。撤退してしまった今それを言っても詮無い話だが。。。

Posted by gen_charly