[DigiItem-26] NEC PC-98GS model2
(Spec : [CPU]386SX 20MHz / [HDD]40MB / [MEM]2.6MB)
2000年入手:

ある日、家の近所を歩いていたらゴミ捨て場にPCが3台打ち捨てられていた。どれもPC-9801っぽいなと思いつつ近づいてみると、GSとApとFAだった。FAは流石にゴミでもしょうがないなと思うが、Apはまだ使えそうだ。それにGSはめちゃめちゃレアなPCである。夜になっても回収されていなかったのでこっそりApとGSだけ回収してきた。
ゴミ捨て場に粗大ごみとしてパソコンを捨ててしまうなんて今ではとても考えられないが、当時はまれによくあるイベントだった。まぁ捨ててあるくらいだから本気で故障している可能性がかなり高いのだが、自分の目でチェックして本当に壊れていたらまた捨てておけばよいのだから我が家のゴミにはならない。
(※補足:当時は世田谷区内においてまだ粗大ゴミが有料化される前だった。)
回収した日は小雨が降っていたが筐体の内部にまで浸水していなかった。内部はホコリもあまり溜まっておらず押し入れや倉庫で眠っていた時間が長い個体なのかもしれない。ホコリが水分を吸ったまま電源を入れると基板が壊れる可能性がありそうだったので、回収したその日にいったん解体して基板を水洗いした。乱暴な処置だが動かなくても何ら問題はないので思い切ることができた。
(※いうまでもないが、壊れて困るPCでは真似しないように)
水洗いした後は室内で完全に乾くまで数日ほど陰干しして、それから再度組付けて電源を入れてみた。
電源はちゃんと通電するしメモリチェックもパス。その後内蔵HDDからWindowsがロードされて何の問題もなく起動した。やるじゃん、お前w
インストールされていたWindowsはバージョン3.0。時代を感じさせる一品だ。というか実物を初めて見た。前の所有者が作成したと思われる文書もいくつか残っていたがこれといって興味を惹かれるものはなかった。というかデータも消さずに捨てるなんて度胸のある人だ・・・。

さてこのPC、型番をPC-98GSという。PC-9801GSではない。この機種が発売された当時は、パソコンでマルチメディアを扱うことが盛んに研究されていた時代だった。だがPC-9801シリーズはマルチメディアを扱うには装備が貧弱だった。
そこで、そうしたマルチメディアを扱えるデバイスを満載して登場したのがこの98GSである。当時としてはまだ珍しいCD-ROMドライブが搭載され、それ以外にも大容量のデータを処理するためのHDD(40MB)、高精細なグラフィックを表示するためのハイレゾボード、動画を取り込むためのビデオキャプチャなどが実装されている。CD-ROMは等速で、キャディというプラスチックのケースにディスクを収めてからドライブにセットする懐かしいものだ。
そうした立ち位置から9801とは一線を画してPC-98となったようだ。もっとも、そうした先進機能をあれこれ盛り込んだので販売価格はかなり高価で、本気でそういうことをやろうとしている人以外には見向きもされなかった。というか、そういうことをやりたい人はまずmacを選ぶよな・・・。
ということで、カタログでは見たことがあったが、実機を見るのは初めてだった。ゆえにレアものだったのだ。前の所有者はどういう用途でこれを買おうと思ったのだろうか。
その後も何度か通電してOSを起動させたりしたが、特に故障しているところもなく至って順調だったので、前の持ち主も壊れたから廃棄したというわけではなかったようだ。多分使い道がなくなってしまったのだろう。かくいう自分もこのPCの活用方法は全く見いだせず、結局ほどなく倉庫行きとなった。