005140 – SUBARU SAMBAR

2014/03/08

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伊豆大島に旅行に行くにあたり借りたレンタカーだ。
車中泊の予定がなかったので軽自動車を借りることにしたのだが、WEBサイトで車種をチェックしていたら軽の箱バンタイプがラインアップに載っていて、どんなオンボロが出てくるのかとちょっとわくわくしながら申し込んでみた。

で、用意されていたのがこのサンバーだった訳だが、錆で床が抜けそうになっているとか、メーターが動かないとか、リアゲートを開けるとドアが外れるとかそういうのを期待していたのに至って普通の商用バンだったので少し肩透かしだった。

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今回「海洋レンタカー」という業者で借りたのだが、電話連絡をしたとき「釣りはされますか?」と聞かれた。伊豆大島は釣りのメッカとして知られていて、釣り人がコマセを大量に持ち込んだりすることがあるということで事前に確認しているのだそうだ。一応やるつもりです、と答えておいたら、借りた車の荷室にゴムマットが敷かれていたので、これを準備するかどうか判断するためだったのかもしれない。

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ちなみに事前の申告なしに釣りをやって車内を汚してしまった場合は原状回復をしなければならなくなるので注意が必要だ。
もっとも、原付は時間が取れず結局竿は出さずじまいだったのだが。。。

軽のワンボックスを借りたのも久しぶりだが、更にキャブオーバータイプになると幼稚園の頃親が載っていたミニキャブ以来実に30年ぶりだ。

かつて軽のワンボックスは寸法を軽自動車の枠内にに収めつつ、かつ荷室部分を広くとることができるキャブオーバー型が一般的だったが、近年では衝突時の乗員の安全確保が難しいことと、ホイールベースが短くなってしまうため直進時の安定性が悪いという理由から、十数年前に軽の規格変更に合わせ、ホイールをキャビンの前へ出し、フロントにクラッシャブルゾーンを設けたセミキャブオーバー型の車種が発売されるようになった。

サンバーは現在の最新型こそダイハツハイゼットのOEMになり一般的なセミキャブオーバー型になってしまったが、他社がモデルチェンジに合わせてセミキャブオーバー型のモデルをリリースしていく中、自社開発していた前のモデル(つまり今回借りたモデル)まで頑なにキャブオーバー型を貫いていた車種として知られている。
他車種より荷室の寸法が大きかったため、運送業を中心に根強い需要があったらしい。

ちなみに、サンバーは規格変更の際、フロントの足元部分を前に拡大して衝突時の安全確保を行ったため、外から見ると鼻下が膨らんだ下膨れというか、よく言えばファニーフェイス、悪く言えばバランスの悪い不格好な形になってしまった。

前フリが長くなってしまった。
店員からキーを受け取り、カギを開けようとしたら、キーレスが付いてない。。。
いや、本来は付いていてこれはスペアキーなのかもしれないが、運転席のキーシリンダーにカギを差し込んで回しても、開くのは運転席ドアのみ。
どうやら連動ドアロックの機能も付いていないらしい。仕方ないので原付が運転席に乗り込んで腕を伸ばして助手席側のロックを解除するという動作を30年ぶりくらいにやった。

もっとも、そのあとコンソールに集中ドアロックのボタンが見つかったので以降はそれを使ったが。
車を離れるときには、これまた久しぶりに車内でロックをかけてからドアノブを引き上げながらドアを閉めてロックする方法を使った。この方法はうっかりするとキーを車内に閉じ込めてしまいえらいことになる。昔はそういうトラブルが非常に多かったが、あの頃のドアを閉める前の「本当にカギは手に持っているな」と確認する一瞬の緊張まで思い出すことができたw

まぁ、普通にドアを閉めてキーでロックすれば間違いないんだけどね。。。

エンジンをかけると、車体の後ろのほうからセルの回る音に続いてアイドリング音が聞こえてきた。
この車は他の車種とは異なる機構が多いのが特徴だが、このリアエンジンもその一つ。
他の車種はほとんどがエンジンはフロントシートの下に置かれており(ホンダバモスのみリアシートの下あたりに置かれている)、あえてリアエンジンに拘ったのは空荷の時にリアが軽くなるのを防ぐためだといわれている。

また足回りもフロントも含め4輪独立懸架サスペンションを採用していて乗り心地が良いという評判だ。これはセダンなどに用いられる方式で軽自動車では非常に珍しい機構とのこと。
そのおかげか悪路での走行安定性がよく、ギネスブックに「世界で一番早く農道を走る車」として登録されているそうだ。また、そのメカニズムがポルシェのそれと似ていることから、「農道のポルシェ」というありがたいようなありがたくないような称号まで持っている。

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運転席を見ると、足元のど真ん中にステアリングのシャフトが突き抜けていてなんか物珍しい。乗り込むとキャブオーバー型だけにタイヤハウスに足元を邪魔されないので、広々としている。
アトレーの時は足元にあるタイヤハウスのせいで着座位置に対して足元がオフセットされるような形状になっていて、不自然な足の向きで運転しなければならず、長時間の運転は結構疲れるものだった。

さて、早速走り出してみることに。
前述の通り、リアエンジン・リアドライブを採用しているので、アクセルを踏むと背後からエンジンの唸り声が上がった後、後ろから押されるように車が動き出す非常に独特な感覚が味わえる。
とはいえ以前に同じリアエンジン・リアドライブの三菱iにも乗った時はそういった挙動はあまり感じられなかったので、車のセッティングなどによるところも大きいのかもしれない。

交差点を曲がろうとすると、キャブオーバー型の構造ゆえハンドルを切るとワンテンポ遅れて車体の向きが変わるような挙動がある。路線バスの最前列の席に座ると似たような感覚が味わえると思う。

広い道に出て、少しアクセルを踏み込んでみた。後ろの方でエンジンが盛大に騒いでいる感じだ。メーターは40キロ辺りを指しているのに、体感的には60キロ以上で走っているような感覚になり、考え方を変えれば安全運転仕様ということができるかもしれない。

この車のもう一つの特徴として、軽自動車では割と珍しい4気筒エンジンを積んでいることが挙げられる。軽自動車は一般に3気筒を採用することが多いのだが、あえて4気筒にすることで高回転型のセッティングになり、高回転域にトルクバンドを持ってくるとちょうど良い感じになるという設計なのだが、大島のようにスピードをあまり上げることのない場所を走っていると、その恩恵を感じる瞬間は多くないかもしれない。
また高回転型ゆえ、燃費が悪くなりがちというデメリットがあり、そこはサンバーオーナーの悩みの種になっているとか。
にもかかわらず伊豆大島でサンバーは割とよく見かける車種だったりするのだが。

道中、ちょっとした悪路を通る場面があったのだが、ここでキャブオーバー型の泣き所の一つである、大げさなノーズダイブを体験した。
ちょっと大きめの段差にスピードを落とさずに突っ込んだり、急ブレーキを踏んだりすると、リアが持ち上がるんじゃないかと思うほどフロントがダイブダウンして、ヒヤリとさせられた。

さて、文章が続いたので写真とともに車内設備のほうを見てみましょうか。といっても商用バンなのであまりこれといったところはないのだが。。。

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まずはインパネ周り。
インパネからATセレクトレバー生えているが独特な形状をしている。
一時ミニバンなどでコラムからATセレクトレバーを生やす設計が流行したことがある。運転席と助手席を隔てるものを無くしベンチシートにすることで室内を広くする効果があったが、レバーの長さをステアリングの半径よりも長くしなければならずその分可動範囲が大きくなり操作性が悪いという欠点があった。
最近ではインパネにゲート型や直線型のセレクトレバーを設けている車種が主流になってきている。

サンバーは丁度過渡期に登場したせいか、両方の設計の折衷案みたいな形状になっていた。
これは一種のゲート式ともいえるが、レバーが長めのものになっていて、ドライバーの操作性を考慮しているのかもしれないが、そもそもATは頻繁に操作するものでもなく、また所詮スイッチなので場所はどこにあってもよく、考えすぎのような気がしないでもない。
最初のころはうっかり2速に入ってしまったり、バックしようとしてニュートラルまでしか入っていなかったりといったことが何度かあった。

フロントシートはシートの下にエンジンが置かれていないためクッションもまぁまぁ厚めで座り心地はまずまず。まぁ、貨物用なのでたかが知れているのだが。。。

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せっかくATセレクトレバーをインパネに押しやったのに、サイドブレーキはセンターに残ったままになっている。上に飛び出していない分多少は左右の移動もやりやすいのかもしれないが、なんだか片手落ちな感じがする。

ただし、カップホルダーについては前列2個、後列2個の計4個分がうまく配置されている。
前席はともかく後席の乗員にとってはありがたい設計かもしれない。

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リアシートは、まぁ、貨物用だ。
畳むことを前提にしているので、座面は薄く背もたれも必要最低限の高さしかなく、長時間の乗車はつらいかもしれない。

サイドウィンドウは運転席こそパワーウィンドウになっているものの、リアシートは手回し式だった。手回しで窓を開ける感覚が妙に懐かしくて、何度か上げ下げして遊んでしまった。

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そして荷物室は軽ワンボックス最大と謳うだけあって、かなり広々としている。脊髄反射的にシンクやテーブルなどを設置して軽キャンパーにしたら面白そうだな、と思ったが、この貧相な装備では目的地に着くまでに疲れ果ててしまいそうだ。。。

昔アトレーを買う時にサンバーのカタログも貰って比較したのだが、カタログでみるとインテリアの質感さほど悪くなさそうで、広い車内というメリットにも惹かれて結構悩んだことを思い出す。
まぁ、結果的に言うと選ばなくてよかったのかな、と言ったところである。
(貨物タイプと比較したらスバルの人に怒られそうだが。。。)

時間があったらリアのエンジン部分を開けてみたかったが、結局できずじまいだった。
この頃のサンバーって街中で見かけると、バンパーを凹ましたやつをよく見かける。他の軽バンと比べても突出して多い印象があるのだが、あれは軒並みリアを電柱にぶつけているのか?

あるいはリアにエンジンが置かれていることと何か関係があったりして。。。

Posted by gen_charly