[D.I.Y.-11] 外壁のコケ取り
今住んでいる家は引っ越してきて5年になる。もうそんなに経ったのか。
最初の頃は真新しくツヤのあった外壁もなんだかくすんできた。と言うか、コケである。
戸建て住宅では避けて通れないコケの問題。
我が家は北側に道路があって日が当たらない側の風通しもそれほど悪くはないのだが、それでもうっすらと緑色に色づき始めてきている。
一般には外壁塗装業者を呼んで塗り直して貰うことになると思うが、外壁塗装をやるとなったら足場を組んで作業してもらう必要があるので、1回あたりの費用は概ね100万円前後と言われている。
建物を綺麗に維持するために、10年に一度くらいのペースで再塗装してください、とメーカーも塗装業者も口を揃えるが、そんなに頻繁に100万からの費用が捻出できる訳がない。
とはいえ、徐々に緑色に変色していく外壁を見ているとみすぼらしい気持ちになってしまうので、高圧洗浄機を入手して、年に1回くらいのペースで洗浄していた。
これで概ね綺麗になるので、うまくすれば再塗装しなくても済むんじゃないかと思っていたのだが、どうもこれはNGらしい。なんでも水圧によって外壁材のコーティングを剥がしてしまうらしく、かえって汚れが付きやすくなってしまうばかりか、雨水が壁材の内側に浸透するようになり、最悪の場合、家を腐らせてしまう可能性がある、ということだ。
慌てて高圧洗浄機を封印したのは言うまでもない。高圧洗浄機が使えないとなれば、あとはブラシで地道にこするくらいしか手立てがないが、そんなのやってられない。出来るだけ壁材を傷めずにDIYで清潔感を維持できるメンテナンス方法はないものだろうか。
ある日、同じ並びのご近所さんが噴霧器を使って壁に液体を噴霧していた。何をしているのかと聞いてみたら、コケ取り剤を撒いていると教えてくれた。
コケ取り剤を散布することで、コケの除去と発生防止が出来るらしく、一度散布すると一定期間キープしてくれるらしい。どれほどの効果があるのか分からなかったので、ランニングした結果をまた教えてください、と伝えておいた。
それから数か月後、チビと公園へ遊びに行った時に、そこに遊びに来ていた別の子供のパパと世間話をする機会があった。何気ない会話の中で何故か外壁のコケの話になった。やっぱり、どこのウチでもコケ問題は悩みどころなのだろうか。
で、その人が教えてくれたのが逆性石鹸を使ったお手入れだという。
その人もチャレンジ中で、まだ結果は出ていないらしいのだが、曰くドラッグストアなどで売られている逆性石鹸を買ってきて、水で希釈して吹き付けるとかなり効果的らしい。
液体は入手しやすいうえ、10倍程度に希釈して使うので、非常に安価に済むらしい。これのコケ除去効果はなかなか優秀らしいのだが、その割に植物等への影響も少ないということで、気軽に施工できるとのことだ。
そんな魔法みたいな液体があるのか!
その話を聞いて自分でもチャレンジしてみたくなった。ただ、今は夏の盛りで、こんな暑い中で散布してもすぐに乾いてしまって充分に馴染まなさそうな気がするし、自分も熱中症にやられかねない。
夏が過ぎ、秋の長雨の季節が近づいてくるにつれ、壁のコケがだんだん目立つようになってきたので、自分もタイミングを見計らって買い求めてみた。
これが逆性石鹸である。製品名オスバンS、その正体はベンザルコニウム塩化物液というアルカリ性の液体である。近所のドラッグストアで600mlのものが750円で売られていた。
名前に石鹸と付いているとおり、手指の消毒にも使われるものだそうだ。また、衣類などの生乾きの悪臭を除菌する用途でも使用可能とのこと。つまり、人間に対しては比較的害が少ないが、細菌やコケなどには優れた殺菌効果を発揮する絶妙な溶液とのことだ。
外壁のコケ取り用としては、10倍程度に希釈して使えばOKとのこと。と言うことはこれ一本で6リットル分。相当広範囲に施工できそうだ。
とりあえず、まずはどこか目立たないところで試してみようと思い、霧吹きに希釈液を作って、コケが気になる所に吹き付けてみた。
ちょっと写真が分かりづらいと思うが、上の金網の下の部分が押しなべて黄緑色になっているのが分かると思う。ここに散布してみた。
すぐに写真を撮らなかったので、1カ月後くらいの写真になっているが、散布後2日ほどでこの状態になっていた。
薬剤を吹き付けてそのまま放置していただけである。にもかかわらずこれほどまでに完璧に除去してくれるとは。
アルカリ性の液体のため、金属への塗布は推奨されないが、散布後早めに水洗いなどをしておけば特に問題はないらしい。
なので、1週間以内くらいに雨の予報が出ている日を狙えばベスト。自分はちゃんと確認した訳ではないが、2、3日後に水で洗い流しておけば多分大丈夫だと思う。
十分すぎる手ごたえを得ることが出来たので、家全体に施工してみることにした。ただし霧吹きで吹いていたらキリがないので、薬液の噴霧器を買ってきた。
農薬の散布などに使う噴霧器で、長いノズルによって4mくらいの高さまで噴霧できるそうだ。
噴霧器には手動式と電池による自動式の2種類があって、自動の方は2,000円くらい高かったが、どうせ毎年実施する物だろうから、多少奮発してもらくちんな方がよさそうだ、と言うことで電動タイプの物を選択した。
これは、KOSHINというメーカーのガーデンマスターGT-5HSと言う製品。単一の乾電池6本で動作する。
タンクは5リットルあるので、オスバン1本で1.2回分くらいは施工できる。まぁ、我が家のコケの程度なら10倍に厳密にこだわらず、13~15倍くらいの希釈でも問題なさそうだ。
もし、効果が薄かったら、もう少し濃度を上げて再度やっても良いだろう。
ノズル先端はこんな感じ。先端部分は左右に振って同時に広範囲に噴霧することも可能だが、最大値の4mの高さに噴霧する場合は片方のノズルを閉じて圧を上げる必要があるそうだ。
ノズル自体は2m強なので、手を伸ばした先2mほどまで噴射できる圧力を持っているようだ。
我が家は地面から屋根のてっぺんまでの高さがおよそ5mある。そうなると屋根下1mほどは届かないが、今の所最上部はそれほどコケが付着していないようなので、とりあえず4mまでの範囲で噴霧してみようと思う。
まぁ、いざとなれば、脚立に登って作業すれば屋根まで届くだろう。
これでうまく行けば業者に頼むよりははるかにリーズナブルである。もっとも外壁が汚れたり傷んだりしてきたら、流石に業者を頼らざるを得ないと思うが、その頻度は減らせることを期待したい。
ということで、早速施工である。まずはベランダ。施工前はこんな感じ。
1年以内に高圧洗浄機で除去しているので今の所それほどひどい状態でもないが、早めに手を打てばその分予後が良いと思う。
タンクにオスバンを入れて、それから水を入れる・・・と、オスバンが盛大に発泡し始めた。しまった、順番が逆だった。
泡が吹き出ないようにちょろちょろと少しずつ水を入れたので時間がかかったが準備完了。スイッチを入れて、手元のレバーを押すと薬液が噴出する。これは楽ちん。
壁面を含めざっと散布。
それから、1Fの風通しが悪い側のフェンスにも施工。
物は試し、庭に置いてあるボックスにも吹き付けてみた。なんだかんだ言ってこれが一番コケびっしりかな。。。
ボックスに散布したらそこで薬液がなくなった。お替りを作って今度は壁面へ施工する。
高所の壁面への作業性がこの噴霧器の真価が問われる場面となる。パイプを最大限に伸ばして噴出孔先端の拡散ノズルを絞り、最大限に飛距離が伸ばせるセッティングにする。
その状態でスイッチを入れたら、水鉄砲のような細い水流となって結構高い位置まで薬液を飛ばすことが出来た。ただし、水鉄砲なので、水流は一直線となり、一面にまんべんなくと言う訳にはいかなかった。薄く広く壁面全体にムラなく塗れるのが理想だが、まるで色鉛筆で塗り絵をするかのように少しずつ塗り広めていく必要があった。
更に風が吹くと薬液が風に流されてしまい、狙ったところに散布できない。そうしたこともあり、いくらか無駄遣いをしてしまう結果になった。
まぁ、それでも地面から壁面の7割ほどまでの高さをカバーできたので、成果は充分ではないかと思う。
ただ、もっと丁寧に作業をしようと思ったらやはり脚立を使って作業した方が確実かな、と言う気がする。
あと、壁面への作業時はほぼ上を向きながらの作業となるので、吹き付けた薬液の飛沫が盛大に降り注いでくる。
そのため、眼鏡とマスクは必須だ。また、服にもかかるので、レインコートのようなすぐ洗い流せる服を着ておくとベストと思う。
自分はトレーナー姿で作業してしまったが、作業後すぐに洗濯したら特に色落ちなどすることはなかったので、そこまでナーバスに気にしなくても大丈夫とは思うが。
それと、噴霧後は噴霧器を念入りに洗浄しておく必要がある。年に一度ほどしか出番がないので、薬液が付着したまましまい込むと次回詰まって使えなくなってしまうそうだ。
この噴霧器はポンプを逆流させるモードが付いていて、それを使って洗浄してから収納した。
さて、数日ほど経ったので、再度状態をチェックしてみた。
再掲となるが、作業前の写真
角の所や排水口付近のコケがなくなったのが分かると思う。黒ずんだ色はコケによるものではなかったので落ちなかった。
これは過去にもブラシでこすったり高圧洗浄機を当ててみたりしているが、全く歯が立たない謎の汚れだ。汚れではなく変色かもしれない。
▲ビフォー
▲アフター
フェンスの下の部分のコケが綺麗に除去されている。
▲ビフォー
▲アフター
このボックスが一番効果が分かりやすいかと思う。
▲ビフォー
▲アフター
最後に外壁。ご覧のとおり薬液が付着したところは綺麗になった。当たらなかった部分がムラになって残ってしまっているが、概ね綺麗に仕上がったと思う。やはり次回はムラなく施工する方法を検討した方がよさそうだ。
ということで、僅か1,000円弱でここまできれいにすることが出来た(噴霧器も購入したので初回は6,000円ほどかかっているが)。
これで外壁塗装業者に作業を依頼する回数を半分に出来れば、それだけでTCOで100万円近い削減効果が期待できる訳である。
もっと早く知っていればなぁ。
あとは、この効果がどのくらい持続するかだが、それは暫く観察してみたいと思う。