[読み物-03] 住まいで振り返る半生記【22】

部屋番号15 - 埼玉県坂戸市某所

ということで、実家に出戻りである。

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新築された実家は大きく、広々としていた。自分に割り当てられた部屋は2階の8畳の部屋。今までの自分の部屋としては一番大きな部屋だ。だけどあまりうれしくなかった。自分には広すぎるのだ、いや、2部屋で計8畳だったらうれしいのだが、広い8畳間が一つドーンとあってもなんだか背中がスースーする感じで落ち着かなかい。

ちなみに、実家の間取りを公開してもしょうがないので、掲載は省略。自分の部屋の3D画像のみで勘弁願いたい。


実家に戻ることを了承した理由が家賃の節約であったことは前エントリで述べたとおりだが、引っ越してひと月経った頃、後妻から生活費を要求された。ちょっと、聞いてないよ!
もちろん実家住まいをするなら、家にお金を入れるのは当たり前。だがそれは一般論、そういうことじゃないのだ。なんでアンタに金払わなきゃならないのか、ということだ。お金を入れたら食事や家事の面倒を見てくれるのか、と言えば否である。単に実家の一部屋に住まわせてもらうための家賃を入れろ、と言われているのである。そりゃ下宿だ。要求額は月5万円、だったら14.の家に住んでいるのと大して変わらない。

だから反抗した。が交渉は不調に終わる。というか完全敗退。流石はひとかどの成功を収めているだけのことはあり、弁が立ちまくり。こちらは出て行けと言われたら行く所がないので強く出られず。。。
おのれ、生活費をむしるために、嵌めおったな。。。騙された、と思ったときには時すでにお寿司であった。父はこうして時々人をハメるようなことをするのでイマイチ信用ならない。


それはさておき。自分の部屋にはエアコンが付いていなかった。妹の部屋には付いているのに。
引っ越したのは9月ごろだったと思うが、それから程なく冬がやってきた。当然部屋は寒くなる。が、後妻から暖房の使用禁止を厳命される。

後妻の言い分は、1階で暖房つけていれば温かい空気は2階に上がるから不要、というものだった。じゃあ、なぜ妹の部屋にだけエアコンがあるのか。その言葉どおり、温かい空気が2階に上がってきてくれるなら我慢もするが、実際には2階に上がってくる前に冷えてしまう。すなわち、部屋の中は温まらない。
いや、そんな風に言葉を額面どおりに受け取るような話ではない。お前からは金をむしるつもりはあるが、施すつもりはない、と言われているのだ。


パソコンを触っていると手先が冷える。キーボードを叩く手がかじかんで動かなくなるレベルで寒かった。何なら吐く息も白くなるくらいだ。寒そうだろ?寒いんだよ。。。
自分は皮膚が弱いので、寒さと乾燥で首や顔がどんどん荒れてくる。これがかゆくて、夜中に何度も目が覚ました。
堪らずストーブを置かせてほしい、と後妻に訴えた。が、聞く耳を持ってくれない。暖房器具を買ってくれと言っているんじゃない、自分で用意するから使わせてくれ、と言っているのになぜ拒否る?

いよいよ耐えかねて、後妻の命令を無視して近所の電気屋で安売りしていた電気ストーブを買ってきた。広い部屋に小さな電気ストーブでは焼け石に水だったが、それでもないよりマシ。以前よりだいぶ快適になった。肌荒れが治まり夜も眠れるようになった。だがバレたら何を言われるか分からないので、普段は洋服ダンスに隠しておいた。


年を越したある日、帰宅すると玄関にその電気ストーブが置かれていた。なんで?と思う間もなく後妻がリビングからつかつかと出てきて「これはなに?」と詰問される。なに、って見ての通り電気ストーブですが?

急に電気代が跳ね上がって気が付いたという。なんでもなにも、肌荒れがひどくて夜も眠れないって何度も訴えたじゃん。
電気ストーブを使いたいなら電気代を月5千円払え、と言われた。この銭ゲバめ。。。

ということで大喧嘩である。こんな窮屈な環境で生活するくらいなら、お金が苦しくても一人暮らししていた方がよっぽどマシだ。
一瞬でも節約に目がくらんだ自分が馬鹿だった。
もう、これ以上振り回されるのは御免なので、再び家を出る決意をする。二度と実家には戻らないと心に誓ったのであった。


オヤジは年中これやってるんだよな、と思うと、その心中は察するに余りある。こんなクソ女別れてしまえ、と思わなくもないが、それなりに上手くやっているようにも見えたので、嫌いだけど好きみたいな微妙な関係だったようだ。

それを知っていたので、苦労は偲ぶが上手くやってくれ、と思うしかない。そもそも、いっときの気の迷いで離婚なんてされたら自分が父の面倒を見なければならない。正直それは回避したい。なので大変だなと同情はするが、別れてしまえという言葉は口にしなかった。

Posted by gen_charly