[Spike-03] いじりれき 2003/06-2
インプレッション:
納車された翌週の週末、早速奥多摩までドライブに行ってきた。長めのドライブをして色々チェックしてきたので、インプレッションということで。
最初にまず外観だが、この車は開発時のデザインコンセプトがインゴット(金属の塊)だったそうだ。そのモチーフのとおり、全体的に四角い塊を直線的に削り出して作ったようなデザインになっている。ここ20年ほど車のデザインは3次元的な丸さを追求する傾向があったように思うが、この車は先祖返りしたかのような直線基調のデザインである。
あの頃のデザインと異なるのは、それぞれの角が丸く処理されていることだ。これを鋭角にしてしまっていたら、かなり古臭い印象のものになったのではないかと思う。
なぜか車体の下半分が遊んでいる。バンパーは下部にやや丸みを持たせあるし、タイヤはちょっと間抜けなデザインになっている。なんか、上はブランド物のスウェットで着こなしているのに、足元は便所サンダル、みたいなチグハグ感がある。
おそらく、完全に尖らせずにどこかユーモラスな部分を残しておこう、という意図があったのではないかと推察している。
そのアクの強さが、好き嫌いが分かれそうな部分だと思う。
だが、そこをエアロで武装すると、完全に尖った車になる。この車もモデューロのエアロとグリルが装着済のものなのでそういう印象だが、不思議とbBほどのワルっぽさがない。ホイールベースが長くてダックスフントみたいなせいだろうか。
折角スポーティなエアロで武装しているのに、ホイールが純正なので全く似合っていない。洒落たスニーカーを踏み履きしている、くらいの残念さだ。かかとを直してしっかり紐を結んであげたい。ということで、この辺は将来的にホイール交換などを検討してみたい部分である。
この車はエンジンは1.5リッターで、ミッションはCVTだ。
ディーラーで試乗した時の記事にも書いたが、1.5リッタークラスにしては車体が大きい。だが走りは意外にどんくさくはない。街乗りの巡航速度までの加速も、高速での追い越しの踏み増しもそれなりそつなくこなす。見た目のやんちゃな印象とは裏腹に、エンジンは大人しい優等生タイプといってよいかもしれない。
ただ、停止からの急加速はあまり得意ではないらしい。CVTの特性なのか回転数の割に加速が追い付かない印象である。
なので、交差点の右折待ちなどで対向車の微妙な隙間でねじ込もうとすると、思った以上に車が進まなくてちょっと焦る。
CVTとの相性が良いのか、最近CVT+7速マニュアルモードという組み合わせをよく見かけるようになった。
だが、乗ってみるとわかるのだが、ものすごくこまめなシフト操作をしないと無駄に回転数だけを上げることになる。回転数を上げてもエンジンが基本的に非力なので、回転数だけは盛大に上がってエンジンがうなるものの、全然加速しない、みたいな残念な結果になる。
回転数で美味しいところだけを選んでシフトアップすればジェントルだが、それはCVTに任せておけばいいんじゃない?みたいななんともしょっぱい答えが導き出される。
なんというか、7速もいらないんじゃないの?というのが正直な感想だ。多分4~5速くらいの方が操作していて楽しいような気がする。
ちなみにその操作はハンドルのスイッチで行うのだが、これがまたやりづらい。直進している時はまぁいいのだが、カーブの時は当たり前だがハンドルを回転させている。特に交差点などでは手も握り替えているので、まずシフトの位置が分からなくなる。だからハンドルを戻しつつ、適当なタイミングでシフトアップ、みたいなこともできない。せめてシフトレバーで操作出来たら、いじり甲斐があるのに。。。
エンジンはホンダ自慢のVTECを搭載しているが、エンジンのチューニングはあまりアクティブではないので、そもそも高回転域まで吹け上がる前にCVTが回転数を調整してしまう。
マニュアルモードにすれば、意図的に高回転領域を使うことも可能だが、なんかエンジンが悲鳴を上げているような感じがして、思わずごめん、という気分になる。
なので、高回転領域のトルク増強というよりは、低回転時の効率を追求したセッティングであるようだ。
減速時にブレーキを踏むと、15km/hくらいまでスピードが落ちたところで、シフトがニュートラルに戻るような挙動を示す。自分はブレーキを踏むときは10km/hくらいまでスピードが落ちてきたあたりで、ブレーキを緩めて停車時のショックを減らすようにコントロールするが、ブレーキを緩めようと思うより早いタイミングでエンジンの回転数が落ちてしまうので、急にブレーキの利きが強くなり、カックンブレーキっぽくなってしまう。慣れればそのタイミングも合わせられるようになってくるとは思うが、何かちょっと気持ちが悪い。
また、スパイクのCVTはトルコンが付いていて、ブレーキを離すとアクセルを踏まなくてもゆるゆるとクリープする。CVTは構造上クリープ現象が起こらないので、意図的にクリープさせているようだ。
で、そのクリープだが、ブレーキを離してワンテンポ遅れて発生するので、坂道でブレーキを離すと一瞬車が後退する。坂道で後退するといえば、かつてはマニュアル車の運転に不慣れなドライバーがやる残念運転の代名詞だったわけで、周りの車にそう思われているのではないかと思うと、ちょっと恥ずかしい。
続けて、車内にについて。
運転席周りはこんな感じ。これは納車されて少ししてから撮影したものなので、あれこれオプションがつけられた後の姿だが、まぁ、こういう雰囲気である。
着座している高さは、思ったよりもだいぶ乗用車ライクだ。ただ、その分、天井が全力で高いので、頭上はスカスカである。
フロントドアは3段階にロックがかかるようになっていて、狭い場所でちょっとだけ開きたい時に重宝する。そして同時にドアの上部がわずかに外側に傾斜するように開くので、そうした時の乗降しやすさに貢献している。
収納はいたるところに設けられている。小物を置く場所に困らないのがうれしい。
購入時は純正のCDプレーヤが付いていた。インパネのコンソールに合わせたデザインになっていてすっきりとしている。音も純正品にしてはしっかりしたアンプを使っているのか、意外と聞きやすい。
ただ、自分はもはやナビがないと生きられない体になってしまったので、納車されてすぐにLCWから外したAVN-8802Dを移植した。
それと、ディーラーオプションのウーハーがついていた。このウーハーはリアのクウォーターウィンドウ部分、といってもこの車にクウォーターウィンドウはないのだが、の部分にビルトインする形で取り付けられていた。
最初は洒落ているし、邪魔にならなくてよさそうだな、と思ったのだが、付いている位置が悪いのか、いざ音を出すと妙にブーミーで、低音のボワンボワンとした音だけが聞こえてきて、音の輪郭が全く見えなくなってしまうので、どうにも耳障りだった。
結局、これもLCWから外したJVCのサブウーファーを設置することにして撤去してしまった。設置場所は本来冊子などを仕舞っておけるよう柵がついているのだが、既に散逸していたので、ディーラーから取り寄せて取り付けておくことにした。
ちなみに、CDプレイヤー取り付け部にナビを取り付けるためには専用のベゼルを含む取り付けキットが必要になるのだが、これはI氏が取り寄せてプレゼントしてくれた。ありがたや~。
リアシートはこんな形状をしている。散らかった写真で恐縮だが。。。
ご覧のとおり割と簡素なつくりになっている。座席下が空洞になっているせいか、ベンチがおかれているような感じでまさしくベンチシートだ。
実際、後部座席に乗車することはエマージェンシーとまではいわないが、イレギュラー扱いであるようで、窓はちょっとしか開かないし、背もたれもほとんど倒れない。そのうえ、捕まるところもあまりないので、お世辞にも快適な座席とはいいがたい。もっとも、我が家の使い方において、ここに人を乗せることは基本ないので、取り立てて問題という訳ではない。
この簡素なシートのおかげで畳むとフラットな荷室が実現されていることを考慮すれば、シート形状はこれでよい。布団を敷いたらかなり快適に眠れそうだ。
ちなみに、この車もホンダの専売特許であるセンタータンクレイアウトが採用されている。本来ガソリンタンクが置かれている場所は丸っと空きスペースになっている。ここに普段使わないものなどを隠しておけば邪魔にならないので便利。また座面がチップアップできるようになっていて、チップアップすると荷室とは別に仕切られた空間が出現する。
カタログではその天井高を活かして、子供の着替え場所にしたり、尺のあるものを縦にしたまま積載したり、といった使い方が提案されていた。
ただ、リアシートの足を固定するフックが地面から5cmほどの高さに出っ張っている。そのせいで床面は完全にフラットにはなっておらず、あまり大きなものを置くと傾いてしまう。なのでそういう時はちょっと工夫が必要になる。流石にここはフラットにしてほしかったところだ。
ちなみに背後に見えているとおり、この車はクウォーターウィンドウが省略されている。その分そこを収納として使えるので、収納力の向上に貢献している。
自分の場合、そこに車の取説やオプション品のマニュアルを差し込んでいる。案外こういったものを置いておく場所ってないもので、こうした取り出しやすく、かつ邪魔にならない場所、というのは案外貴重だったりする。
ただし、ここに窓がないので、バックなどの際の見切りは相当悪い。慣れの問題かもしれないが。。。