[Inst-14] YAMAHA MU90
以前SC-55mkⅡを入手して未だ追いついたとは言えないもののようやく世間並みに近づいてきたと思っていたのだが、自分がそういうモノを手に入れられる頃には世の中はずっと先に行ってしまっているのが常である。いつの間にか世間はSC-88が標準音源となっていた。
ネットにアップロードされているデータもSC-88で作られているものが多くSC-55mkⅡでもちゃんと再現できないことが増えてきた。
それで今度こそ世間に追いつくため新しい音源を手に入れようと思ったのだが、当時DTM音源の世界で2大巨頭となっていたローランドとヤマハのどちらの音源を買うかが悩ましかった。
音色の素直さという点ではローランドの方が優れているのだが、ピアノやシンセ系の音色は圧倒的にヤマハの方が優れている。個人的にはヤマハの音色の方が好みなのだが、ここ最近はヤマハ独自のXG規格という規格に準拠させているために、ローランドが提唱している規格であるGS規格と一部互換性がない部分があった。
自分はもはや自分でDTMをすることも殆どなく、もっぱら世間にアップロードされているMIDIデータをダウンロードして聞ければそれで良いのだが、音源としては圧倒的にローランドの音源の方が売れているので、アップロードされているデータもローランド音源向けであることが多い。となるとヤマハの音源を買ってしまうと再現性に難が出るかもしれない。
・・・などと悩んでいたら、北海道のS君からMU90いる?と打診があった。まじか。何たる渡りに船。二つ返事で譲り受けることにした。
S君は別の音源に興味が移ってもう使わないのだという。MU90もそれなりに高価な音源なのだが、彼は自分の趣味の金に糸目をつけない男である。見習いたいがマネできないw
まぁ、おかげでたまにそこそこの出物が下賜されることがあるのでありがたい存在だったりする。
彼の言い値はMU90の市場価格よりも圧倒的に安かった。だとしたら一旦譲り受けるべきだろう。もし気に入らなかったとしても改めてSC-88へ移行する道も残されるのでこちらにとっても良いことずくめなのだ。
この機種のよい所は音色のきれいさもあるが、なにより外部入力に対してエフェクトがかけられるところが素晴らしかった。ベースなどを接続してその音声にエフェクトをかけることが出来たので、MIDI音源のデータに合わせて演奏するときに個別のエフェクターを使わずにコーラスなどをかけられるのが便利だった。
肝心のMIDIデータについてはGS音源用のデータを再生させてもさほど違和感なく再現しているものが殆どだったので再現性の不安も杞憂だった。GS規格の仕様をフルに使いまくっているこだわりのデータなどは流石に上手く再生できないものもあったが、まぁ我慢できる範囲だった。
ただ残念なことに、その辺りの時期から著作権関連が五月蠅くなってしまい、MIDIデータに対してもいちゃもんを付けられるようになってしまった。ネットで有志がアップロードしているモノは大抵元の音源に肉薄するようなモノではなく、習作のようなモノが殆どだったのだが、規制団体が例外は認めないと強硬な態度に出てしまったので有志の人たちの殆どが作るのを辞めてしまった。
ネットのデータには、こんなものまで作っちゃうのかよと驚くような、才能の無駄遣い的面白データもあったのだが、それもなくなってしまった。
たまに打ち込みがしたくなることもあったが、それとて音取りで使う程度のものなので音色にこだわる必要も無い。PCに搭載されているサウンドブラスターで間に合わせてしまうようになったので、もはやMU90の出番はほぼなくなってしまった。
だが実はこの音源は未だに所持している。数年に渡り押入に入れっぱなしになっていたが、最近ちょっと使う用事が出来て引っ張り出してみたら何の問題もなく使えた。やっぱり昔の物は頑丈だね。。。