[Spada-29] いじりれき 2010/09

エアコン故障:


我がステップワゴンのエアコンは購入当初からなんとなく効きが悪いなと感じていた。エアコンのガスが抜け始めているのだろうか。と言ってもまだ6年落ちなので普通ならそんなに早くガス抜けはしないような気もする。どちらかといえばスパイクよりも室内が広い分効きにくいと感じているだけじゃないだろうか。うん、多分そうだろう、そうに違いない、ということであまり深くは追求しなかった。まぁ、自分自身がそれほど暑がりなタイプではないのでそれでも我慢できたからと言うのもあると思うが。

仮にガスが抜けているのだとしたらディーラーに持って行けば補充して貰うことができる。それで改善するならやって貰った方が良いような気もするがガス交換は結構費用がかかる。まぁそれほど困っている訳でもないし・・・、ということでずっと放置していた。

この年の夏、東北方面への車中泊の旅行を企画した。東北といえど8月にもなればがっつり暑くなる。それで改めてエアコンの効きの悪さが心配になった。もし旅行中に故障したら死活問題である。

折角だからこの機会にガスを補充しておこうか、なんて考えていたらカミさんが色々調べてくれた。曰く、エアコンのガスは配管類が劣化しているなどが無ければ基本的に勝手に抜けていくものではないそうだ。その正常性はエアコンのスイッチを入れてコンプレッサーが動いているときに、ガス配管に設けられた点検窓から中の液体の様子を見れば分かるそうだ。配管には泡状になったガスが常時流れており、それが点検窓からさらさら血液よろしく淀みなく流れているのが見えれば正常だそうだ。

それで自分もチェックしてみたのだが、点検窓を流れる泡は春の小川並にさらさらと流れていた。と言うことはガスじゃないのか。じゃあ気にしなくてよいな、ということでそのまま東北旅行に出発した。

真夏の東北は想定どおりの酷暑でエアコンも何度も動作させたが、相変わらず効きが悪いもののこれと言ったトラブルが生じることもなく無事帰宅した。

ところが、翌週末のバンドリハの際、車でスタジオに行った帰り道で事件が起こった。
いつもどおりエアコンのスイッチを入れたら、なぜかむわっとした熱風しか出てこない。暫く回しても一向に涼しい風が出てくる気配がない。ついに壊れたか。。。

再び例の点検窓をチェックしてみようとボンネットを開けたらそもそもコンプレッサーが動いていない。そっちか。
走行中は窓を開けていればどうにか凌げたが、この日も関東地方は猛烈な暑さで信号などで停車すると熱気で頭の中がゆだりそうだった。流石にこの状態は放置できないと思い、帰りがけに近所のディーラーに持ち込んで点検してもらった。

で、待つこと数十分。点検結果を基に作成した見積を持ってメカニック担当が報告に来た。

  • 切り分けの結果、電気的な問題はなく各部品まで信号は伝わっている。
  • ただし、エンジンとコンプレッサーの間にあるクラッチがうまく繋がっておらず、そのせいでコンプレッサーが動いていない。だから送風しか行われない状態になっている。
  • この症状の場合、クラッチとコンプレッサーの交換が必要。かつ、コンプレッサーが破損したときに破片が配管内に入り込んでいる可能性があり万全を期すならそこまで一式で交換した方がよい。

そう言って出された見積には、コンプレッサー、クラッチ、ステーター、ベルト、フィルター、エキスパンジョンバルブ、フロン(エアコンガス)、オイル、工賃、と沢山の部品がリストアップされていてシメて金額は13万オーバー。まじか。簡単に言うけど結構なインパクトのある金額だぞ。家のエアコンだったら新品買ってもおつりがくる。でもエアコンなしで凌げるような状況でもないしどうしようか、、、苦虫を噛み潰したような顔して見積を見ていたら更に補足があった。

  • この見積は全て新品価格だがコンプレッサーにはリビルド品というものがあって、そっちなら15000円程度安くなると思う。
  • また中古品という選択もあって、それだと半額程度で収まるかもしれない。
  • ただし中古は一切保障ナシで、新品・リビルド品は1年または1万キロの保障がつく。

そのコンプレッサーというのは見積の中で一番高額な部品で6万円ほどだった。これがリビルド品なら4万5千円、中古品なら3万円くらいらしい。新品の安心感が一番高いのは言うまでもない。リビルド品も一応手入れがされたものになるのだから次点で安心感が高い。ただ、保証が気になった。1年 or 1万キロって言ったら来年の夏には保証が切れるって事だから、もし来年の夏に再び壊れたらもう保証されないという話だ。エアコンなんて夏が一番壊れるのだから次に壊れるとしたらその辺だろう。そう考えると中古品もリビルド品も大差がないというか価格差に見合っていないような気がする。逆にそれなら中古で良いような気もするが、これはこれで来月壊れたなんてことになったら大問題だ。

さらに、

  • この見積はコンデンサより手前の部分までの交換の費用となっている。通常破片はコンデンサ手前のフィルターで除去されるのでその先に影響が出ることはないが、万が一除去しきれずコンデンサ内にまで破片が入り込んでいたら交換が必要になるため更に追加費用が発生する可能性がある。

とも言われた。事と次第によっては見積金額以上に費用がかかる可能性もあるということか。そんな末期的な状況になっているなどとは考えたくもないが、破片が入っているかどうかはバラしてみないと分からないらしく、発注を貰ってからじゃないと調べられないそうだ。

そこまで話を聞いてメカニックの話を鵜呑みにして良いものかどうか、ちょっと判断に困った。そもそもコンプレッサーのリビルド品とか中古品がどの程度の信頼性があるものなのかもよく分からない。一旦専門家に聞いてみるか。

と言うこと見積を持ち帰ってその晩に従弟に電話。専門家と言うのは彼のことだ。彼は岩手で自動車整備士をやっている。何か助言が得られないかと電話口で質問攻めにした。

彼曰く、

それってマグネットクラッチっていう部品がイカれただけだと思うから、多分クラッチだけ交換すれば直るよ。こないだ同じ症状で入庫したオデッセイもクラッチの交換だけで直ったし。ホンダ車はこのトラブル結構多いんだよ。まぁ、ディーラーは中途半端な対応ができないのでリスクヘッジとして全交換とか言っているだけだと思うので、とりあえず後で出た不具合はまたその時考えるのでマグネットクラッチだけ交換してもらえませんか?って聞いてみるといいよ。」

とのことだった。やっぱり持つべきは専門家だなぁ。というわけでその情報を携えて翌週に再びディーラーに行って上記を伝えてみた。

  • 今回のような症状の場合、コンプレッサーも壊れていることが多いので見積に含めている。
  • 最初の見積は考えられる関連パーツを全て交換する前提で作成したものなので、全て交換が必要になるわけではない。チェックして正常な部分は交換しないのでその分値段は下がるが、故障個所の特定には一旦ユニットを降ろす必要があるので現時点で確定の見積は出せない。見積確定が必要であれば1週間くらい車を預けてもらう必要がある。

とのこと。コンプレッサーとかは高額パーツなので、こちらが判断できないことを良いことに故障していたとか偽って見積に含められたりしないだろうか。その辺も含めてちゃんとチェックして貰ってからの方が良いなと思ったのだが、翌週は車を使う予定があったので結局再度持ち帰り検討とした。

帰宅後、再度従弟に連絡して店でのやりとりを報告した。ディーラーがそういう回答をしてくるであろうことは想定どおりだったらしい。そのうえで、

「まぁディーラーが交換した方が良いというなら底は信用してやって貰っても良いんじゃないかな、ただしリビルド品が良いけど中古はメンテナンスされていない部品なのでやめといた方が良いよ。何なら岩手まで部品持ってきてくれたら工賃不要で直してあげるよ。」

身内に直して貰えるならその方が安心だし、交流を深める意味でも持って行ってお願いしちゃおうかなと一瞬思ったが、つい先日東北に行ったばかりでまた行くのは流石にしんどい。好意だけ受け取って結局ディーラーで直すことにした。

さらに翌週、再度ディーラーを訪ねて故障個所の特定をお願いした。できるだけ費用を抑えたいので現時点で正常に動いているものは交換不要でよろしく、と伝えて車を置いてきた。調査に1週間ということだったので今週は車使えないなぁ、と思ったら夕方にチェック完了したと連絡があった。随分早いなぁ。。。エアコンないと困るだろうからと順番を優先してくれたのかもしれない。

で、そのまま電話口で調査結果が報告された。それによるとフィルターにごく微量のカスの付着が確認できたが、コンプレッサー故障を疑うほどではないので現時点では交換しなくても大丈夫だと思う。だだし本来ここはカスが付着しないのが正常なので、近いうちにコンプレッサーが壊れる可能性は考えられる、とのこと。うーん、そりゃそうだろうけど。その可能性がどのくらいなのか分からないと予防保守として交換しておいた方が良いかのジャッジが出来ない。でもディーラーもそれは答えようがないだろう。

自分としてはコンプレッサーは交換せずに済めばそれが一番ありがたい。とはいえディーラーの言うとおり早々に壊れて再入庫、ってのも馬鹿らしい。いや、コンプレッサーが壊れるだけならまだいいのだが、その先のパーツまで壊れたりしたら今回直しておけば良かったと後悔する羽目にもなりかねない。とりあえず電話を切って再度従弟の助言を仰いだ。

「それならコンプレッサーは壊れたときに交換でいいよ。コンプレッサーが壊れてもエキスパンションバルブとかまで壊れるって話は滅多に聞かないからそこまで大がかりな話にはならないと思うよ。」

そういう肌感覚が聞きたかった。次に壊れた時それがレアケースだというなら諦めもつくし、可能性が高いならちゃんと交換して安心しておきたい。

ちなみに見積にガス交換が含まれていることが気になった。クラッチの交換だけならガスは関係ないんじゃないかと思ってそれも質問したら、

ホンダのエンジンって整備性悪いのよ。クラッチだけを外す為の工具がないし、位置が悪くて力がかけられないからコンプレッサーごと一旦外して作業するはずなんだ。だからガスも入れ直しになっちゃうのよね。」

その話を聞いて、ふと冒頭のエアコンガスの事が気になったのでついでに聞いてみた。

エアコンガスって抜けるよ。一応建前上は抜けないことになっているけど、低圧管と高圧管のバルブってタイヤのバルブみたいになっているから、タイヤの空気が徐々に抜けるのと一緒で結局抜けちゃうんだよね。前から効きが悪かったんでしょ?それってガスが抜けてコンプレッサーが圧縮するものがなくなってクラッチが焼きついた、って言うのがオチなんじゃないの?」

それだ。全てが繋がって一気に腑に落ちた。

ディーラーに連絡してコンプレッサーの修理は不要である旨を伝えて再度見積を作ってもらった。その結果、

  • クラッチとステーターのセットの交換
  • フィルターの交換
  • ガスの入れ直し
  • 工賃

が作業内容となり、シメて5万円ちょっとという金額が提示された。5万円なら致し方なしということで修理をお願いした。修理は数日ほどかかるそうだ。ところがすんなりと行かないのが今の運気、と言うことか。ディーラーから電話があり、この所の猛暑でエアコン故障の車が相次いでいるらしくクラッチの在庫がなくなってしまった、と言われた。従弟の言うとおりホンダ車で多発しがちなトラブルであることが図らずもディーラーの説明によって証明された。

次の入荷が翌週になるので週末の納車に間に合わないとのことだ。それウチが入庫する前に確保しておいてよ。。。
週末は再び車を使う用事があったのでやむを得ず一時退院。

翌週末に部品入荷の連絡が来たので再入院。もう何度この店に足を運んだことか。。。
段取りが整理されたのか、数時間程度で直せると言うことだったのでそのまま店で待機。暫く待っていたら作業完了の連絡があった。

車に戻りドアを開けた瞬間、冷蔵庫を開けた時のような涼風がドアから流れ出してきた。おお、本当はこんなに良く効くエアコンだったのか!w

とりあえず無事に直ったようだ。従弟の予想どおりコンプレッサーは故障しておらず交換も不要だった。とはいってもいつ壊れるか分からない爆弾を抱えた状態であることには違わない。その日が来ないことを祈るしかない。

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コンプレッサー付近の写真を撮ってみた。まぁどこが交換されたのか分からないんだがw

で、運気がやっぱりイマイチっぽい。あれほど連日うだるような暑さの毎日が続いていたのが嘘のように、車を受け取った翌週末から一気に気温が下がった。なんでやねん。

エアコンを付けなくても窓を開けているだけで凌げるような陽気になり、結局それ以降エアコンのお世話になることなく冬を迎えた。
まぁ考えてみたらエアコンが故障してから修理上がりまで1ヶ月近くかかっている訳だからそりゃ季節も変わるという訳で。

Posted by gen_charly