[RentaCar-27] HONDA INSIGHT
2009/04/12
大阪へ出張へ行った際、作業が土曜日だったので、翌日曜日がフリーになった。関西方面の私鉄写真も久しく撮影していなかったので、レンタカーを借りてササっと撮影しに行くことにした。それでレンタカーを探していたら、インサイト指定のレンタルプランを提供している店を見つけた。インサイトといえば、ホンダが満を持して世に送り出したハイブリッドカーじゃないですか。それは乗ってみたいということで、脊髄反射的にその店で予約した。
いまホンダが満を持してと書いたが、実はこのモデルは2代目になる。初代は2004年という比較的早い時期にデビューしている。だが、初代はコンセプトカー的なモデルで、2シーターでリアの半分がバッテリースペースという、実用性という意味ではイマイチな車だった。そのせいかほとんど市場に出回っておらず、街中で見かける機会はほとんどなかった。
初代インサイトのデビューは初代プリウスデビューの5年後だったが、そのあとホンダはなぜかハイブリッドカーほとんど作らなかった(一応、シビック・ハイブリッドがあったが、それもほぼ市場に出回らなかった)。恐らくハイブリッド化によるコストアップなどへの影響を見極めていたのだろう。で、それからさらに5年が過ぎた2009年に、鳴り物入りでデビューしたのがこの2代目インサイトである。
ベースグレードは200万を切るプライスが設定されていて、ホンダもハイブリッドカーを本格的に売っていくぞ、という意気込みが感じられた。実際、このモデルは割とヒットして、街中でもその姿を見かけることが多かった。
では、まず室内から。運転席周りの様子はこんな感じである。随所に近未来的なデザインコンセプトが感じられるが、全体的なレイアウトは比較的オーソドックスにまとめられている。
シートにはハイトアジャスターが、ハンドルにはチルトステアリングが付いているので、ポジション決めはやりやすい感じだ。
スピードメーターは最近のホンダ車の流行に則って、前方窓際の方に押しやられていている。一方でハンドルの奥にもメーターエリアがあり2段構えになっている。ハンドル奥のメーターエリアには、ど真ん中にタコメーターが鎮座する珍しいレイアウトである。またこのエリア内にハイブリッド周りのインフォメーションも表示されるようになっている。そのインフォメーションディスプレイの表示を切り替えるスイッチはハンドルの右側に設置されている。
借りた車のグレードはGというベースグレードで、一部装備が省かれている。ステアリングコラムのパドルシフトが未設定なのが、目で分かる装備の違いとなっている。とはいえ、エンジン回りなどの仕様は同一なので、運転していてグレードの違いは気にならない。
エアコンの操作パネルは、メーターエリアとオーディオエリアの間に斜めに配置され、この辺にちょっと近未来感を感じぬこともない。ただし位置が運転席寄りになっているので、助手席側からは若干操作し辛そうな気がする。
オーディオエリア下部には引き出し状になった小物入れがある。小銭やたばこなどを入れておく感じだろうか。

中央部分にはオーディオコンソールがある。周囲のパネルは光沢のあるプラスチックになっているが、ナビを操作する時にちょこちょこ指が当たって、その部分が指紋となって残ってしまった。綺麗になっている時は高級感があってよさげだが、日々の使用においては指紋によって見栄えが悪くなりそうだ。
カーナビはストラーダの楽ナビが付いていた。自分はストラーダのナビはこれまで使ったことがなかったのだが、案内時の右左折タイミングのアナウンスが、自車で使っているエクリプスと比べてワンテンポ遅いのが気になった。そのせいで何度か交差点を曲がりそびれてしまうことがあった。

カップホルダーは左右のドアポケットとセンターの2ヶ所にある。センターのカップホルダーは大きなトレイの中に脱着式の仕切りを置いたような設計になっていて、仕切りを撤去するとちょっとしたハンドバックぐらいなら置けそうな大き目のトレイになる。
全体的に硬いプラスチックが多用されていて、高級感はあまりない。戦略的な価格で販売されている分、こうしたところでコストダウンの工夫をしているのだろう。
リアシートはこんな感じ。シート表地はメッシュっぽい生地になっていて肌触りがいい。このグレードはセンターアームレストが省略されていた。足元の広さは普通のセダン並みで、ワンボックスのような広さはないが、かといって狭いというほどでもない。
天井の低い車なので、頭上はやや窮屈な感じがするが、リアドアの開口部はリアシートの背もたれの辺りまで開くようになっていて、乗り降りを容易にしている。
ラゲッジルームは車の見た目よりはだいぶ広々としていた。ただしリアのガラスがかなり寝ているので、ラゲッジルームの上はほぼグラスエリアになっている。そのせいで燦燦と陽光が降り注ぐので、夏場などは温度が上がりやすいかもしれない。そういう意味でここに置くものを選ぶような気がする。
リアゲートの開口部はハッチバックによってかなり大きく開き、荷物の出し入れはしやすそうだ。リアシートの背もたれは前方に倒すことができ、その状態ならそこそこ大きい荷物も搭載できそうな感じだ。手前側にある1mほどの切り込みはフタになっていて、その下にも物入が設けられていた。普段は使わない工具類などをしまっておく場所ととなると思う。
というわけで、室内側のチェックが終わったところで早速走ってみたいと思う。エンジンは、イグニッションをONにするとモーターの力で始動させるようになっていて、キュルキュルという音を立てずに始動する。今までずっとその音を聞いて育ってきたのでなんか変な感じだ。
インサイトの場合、ハイブリッドカーではあるが、モーターのみの走行はしない。エンジンがメインでモーターはそのアシストに徹するような設計なので、さしずめ電動アシスト自動車といえそうだ。なのでスタート時もトヨタのハイブリッドと違って、まずエンジンが始動状態となる。
ちょっと横道にそれるが、インサイトの外観上の特徴であるセパレートされたリアウィンドウ。リアのグラスエリアの真ん中に仕切りがあると、室内側からどのように見えるのか、乗る前からちょっと気になっていた。
結果、こんな風に見えた。何とも言えないところではあるが、邪魔といえば邪魔だし、気にならないと思えば気にならないみたいな感じだ。走行中にたまに後方をチェックする程度であれば、ほとんど気にならないが、後続車の位置によってはライト部分と仕切りがカブって、ウィンカーが見えないことがあった。自分の場合、例えば車線変更の時など、後続車の挙動もチェックしたいので、これが見えなくて不安を感じる場面が何度かあった。
で、公道に出て少し走ってみた。この車はエンジン排気量が1,300ccで102馬力、というスペックになっている。車格からしたらだいぶ小さなエンジンだが、アクセルを踏んだ時の加速感にもたつきは感じられなかった。その分モーターがしっかりアシストしているようである。
一般道をひとしきり走った後、今度は高速に乗ってみた。合流時に強めに踏んでみたら、モーターの動作音が聞こえてきた。アクセルの開度に合わせてアシスト量が調整されるので、恐らくアシスト量が最大になっていたようだ。といっても耳に付くようなものではなく、盛大に回るエンジン音の裏で、なんか高周波な音が聞こえるなといった程度だ。目隠しをして乗せられたら、ハイブリッド車に乗っていることに気が付かないかもしれない。
車体は燃費向上のために、空力を最大限に考慮したデザインになっている。そのおかげで走行中に不安定感は感じられなかった。ただし、足回りが硬いからか、あるいは車体が軽いからか大き目の継ぎ目を越えたりすると、車体が大きくバウンドする感じがあった。サスペンションが伸びた時に、一瞬コントロールを失いそうな挙動があって、ちょっと怖さを感じた。

メーターエリア上段はデジタル式のスピードメーターとなっている。シンプルに速度のみが表示されるが、アンビエントメーターになっていて、走行状態に応じて緑~青に変化する。

こちらは強めの加速時。青色に切り替わる。
踏み方に応じて色が頻繁に変わるので、自分のアクセルワークがエコな運転となっているかが一目瞭然となり、そうなるとできるだけ緑の状態を維持して走りたくなる。気が付くと無意識に省エネ運転に貢献していた。

下段の中央部に、モーターアシスト状況を表示するイラストがアニメーションで表示される。これを見ると、モーター(バッテリー)とエンジン(給油ノズル)のどちらから動力供給が行われているか分かる。
写真の状態はバッテリーからのみ動力が供給されている状態を示している。一方でタコメーターの針は1700回転辺りを指している。つまりエンジンは始動状態である。アクセルを甘踏みしている時に、たまにこの状態になるのだが、トヨタのハイブリッドと違って、モーターパワーのみで走行している時もエンジンは停止させていないことが分かる。燃料供給のみカットしているのだろう。

アイドリングストップは標準装備となっている。停車時、時速10キロを下回る辺りでエンジンが停止し、停止中はメーター上の 「AUTO STOP」のインジケーターが点灯する。
エンジンが停止するとエンジンブレーキが失効するので、フットブレーキの踏み具合がちょっと変化する。ブレーキ力が弱まった感じになるのだが、前方に車がある場合、その車はもう目前に迫っている状態となる。なのでぶつかりそうな気がしてちょっと焦る。なので少し踏み増して停車させようとするのだが、本来その場面ではカックンブレーキにならないように踏む力を少し弱めようかなと思う場面だ。なのでなんか気持ちが悪い。慣れれば大したことじゃないと思うが。
エンジン停止中はエアコンが止まる。外気温が高い時だとエアコン停止後すぐに室内がムワっとしてくる。ハンドルを動かしたりブレーキを少し離してあげるとアイドリングストップが解除されるので、暑くてたまらんなと思う時はエンジンを再始動させるか、アイドリングストップを無効化する必要がある。
一応、車内の温度はチェックされているらしく、エアコンON状態の時はエンジンが再始動するまでの時間がいくらか短いように感じた。ちなみに、発進停止を繰り返すような場面の場合、アイドリングストップが行われないこともあった。

走行時はエンジンブレーキがかかるタイミングや、フットブレーキを踏んでいる間に回生モードになって、バッテリーへの充電が行われる。回生自体にもエンジンブレーキのように減速させる効果があるが、エンジンブレーキ含め減速力は比較的マイルドである。場面によっては強めのエンジンブレーキが欲しい時もある。エコドライブを心がけるには急発進急停止を行わないことはもちろんだが、エンジンブレーキを上手に活用することも必要になる。なのでATのセレクトレバーをSやLのポジションに入れてみたのだが、そういう場面ではアイドリングストップはOFFになるようで、エンジンが停止しなかった。
エンジンブレーキと、アイドリングストップではどちらがより節約効果があるのだろうか。もちろん計測していないので、その辺りは不明だが、メーターのチャージ状況を表示するインジケーターの動きを見ていると、エンジンブレーキを活用した時と、フットブレーキを踏んだ時ではフットブレーキを踏んだ時の方がより多く回生が行われていた。エンジンが頑張って減速したら、モーター側の減速力をセーブしないと急ブレーキになるからだろう。そういった意味では、あまりエンジンブレーキは多用しない方が良いのかもしれない。
ちなみに発進時には、エンジンが再始動した後、ギアがニュートラルからドライブに切り替わるまでに若干のタイムラグがある。なのでそれより前にアクセルを踏むと回転数だけが上がってしまう。恐らくその一発でアイドリングストップによって稼いだ節約分が吹っ飛ぶような気がする。これまでの車では、信号が変わったらすぐにアクセルを踏めば車がスムーズに発進したが、アイドリングストップの場合、ブレーキを離してから発進するまでの間にエンジン始動の処理が挟まるので、どうしても発進がもたついてしまう。それを良しとしないドライバーの場合、この一瞬のタイムラグはもどかしく感じることだろう。だが、それではエコドライブに反してしまうので、一呼吸置く癖をつけた方が良さそうだ。

ちなみについでに、エコドライブを心がけたいドライバ向けに、最近のホンダ車はECONボタンを設けている。で、この車の場合、このボタンを押すとエンジン制御がマイルドになると同時に、減速時の回生を積極的に行うようになるそうだ。
そうだ、としたのは、運転中に何度かこのボタンのON/OFFを試してみたのだが、その違いがあまりよく分からなかったからだ。自分が鈍感であるせいかもしれないが、もし普段どおりの運転と変わらないフィーリングを維持したうえで、自動的に省燃費になるのであればそれに越したことはない。
最後に、今回は朝9時から20時までのおよそ半日に渡ってこの車に乗車した。その間に走行した距離は400キロ弱であった。燃料計はおよそ半分程度には減っていたが、給油してみたところ16リッターで満タンになった。ということはタンクは30リットルか。そして走行距離を給油量で割ると、大体リッター25キロくらいとなった。それなりにエコドライブを意識しながらのドライブではあったが、神経質にこだわったわけでもない。にもかかわらずこんな燃費をたたき出すのだからなかなか優秀だ。
それだけ十分にモーターがアシストしてくれているということだろう。身の回りでこの買う予定の人は今のところいないし、自分もまたマイカーにしようとは考えていないのだが、それでも機会があればもう一度くらい乗ってみたいなと思う車だった。