[RentaCar-59] HONDA N-BOX – 4

2023/11/12

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岡山出張の作業翌日に観光の足として借りたレンタカーである。現行型N-BOXだが、登場して4年近くが経ち、そろそろモデルチェンジの発表がありそうだなというタイミングでようやく乗車することが出来た。

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実はお義母さんが数年前にこの車を購入しているのだが、同時期に我が家が一戸建てに引っ越して、車いじりが自宅庭でできるようになったことと、カミさんが自らの運転でチビを連れて実家に帰るようになったのとで、自分が実家にお邪魔する頻度が減ってしまい、まだ一度も乗ることができていない。

というわけでようやくインプレッションである。

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借りた車はNAのノーマルグレードで、室内は落ち着いたレイアウトになっている。落ち着いた、といってもブラウンにアイボリーの組み合わせは軽自動車の枠で考えるとなかなか奇抜で手が込んでいる感じがするが。このところ軽自動車をファーストカーとして使いたいというユーザーが増えたためか、ベースグレードであっても安っぽく見えない工夫がなされている。装備も充実していて、ホンダの力の入れようが見て取れる。

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この車はパーキングブレーキが電動式になっており、乗車前に店のスタッフから簡単に説明を受けたが、長らく足で踏む癖が付いていたので手でスイッチを操作する感覚は暫く慣れなかった。

運転席に着席した時の見切り感などは先代モデルと大きな違いはなかったが、エンジンのフィーリングは随分違うなと感じた。先代は発進時に低速で回転する電気モーターのような音がしていたが、この車はそういう頑張った感じの音もしないまま、時速20キロくらいまでグッとトルクがかかって、その後は巡航速度までスルスルとスピードが乗っていくような感じだった。

大体4000回転辺りを使って加速しているようなのだが、その割に車内はそれほどうるさくならず、いつの間にか時速60キロくらいまでスムーズに加速している感じで、日常よく使う領域でストレスにならないように工夫されている印象だ。

ただし、60キロを超えたあたりからの加速は流石にエンジンが頑張り始める。物は試し高速の導入路でベタ踏みしてみたら、意外にもレッドゾーン手前となる7000回転あたりまでスルスルっと上がっていった。その辺の回転数になると流石にトルクが細くなり、回転数ばかりが盛大でその割に加速はユルユルな印象だったが。ホンダのエンジンが高回転型であることは昔からの評判なので、ストレスなくギューンと回転数が上がっていく様は流石ホンダと思わせるものでなかなか気持ちが良かったが、燃費にはよくない影響しかない。

この車にはHonda Sensingという前車追従型のクルーズコントロールが付いている。ベースグレードにも標準装備とするあたりホンダの本気度が伝わってくる。自分も早速試してみようと思ったのだが、この車には何故か取説が搭載されておらず、操作方法が分からなくてあれこれ試行錯誤する羽目になった。

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Honda Sensingは、まずハンドルのMAINボタンを押してACC LKASをオンにする(メーター内のインジケーターが点灯)。その後、任意の速度でSetボタンを押すとクルーズコントロールが開始される。前車が既にいる場合や、追いついてセンサーの範囲に入った時は前車に速度を合わせて追従を行う。更に前車が車線変更や、加速して離れるなどでセンサーの範囲外になると、Set時に設定した速度に復帰してオートクルーズに戻る。前車が減速すると自車も自動的に減速する感覚が新鮮で面白い。

ただし、前車追従時の速度の同調については、ちょっとその挙動がナーバスな印象だった。ちょっと車間が空くとすかさず加速して、それで前車に近づいたらすぐにブレーキがかかる。これを繰り返すので乗り心地がギクシャクした感じになる。前を走る車が一定の速度で走っているとは限らないので、人間が操作する場合はその揺れの範囲を見抜いて、ギクシャクしないようにアクセルをコントロールする。前車に近づきつつある時も閾値を超えたらブレーキ、ではなく、もっと手前からアクセルを緩めて車間をゆっくりと詰めるようにコントロールしているはずだ。そういうスムーズな挙動を期待していたのだが、そこまで細かい判断はできないらしい。

特に登り坂などこの車の性能的に厳しい場面だと、挙動が更にヒステリックになる。頑張って追従しようとするので、非力なエンジンが大いに唸る。ベタ踏みのような回転数で坂を登っていく様は燃費を度外視しているのだろうか?という気がしなくもない。

また、例えば90キロ巡航にセットしておいて、80キロくらいで走る前車がいなくなると設定した90キロまで加速する。こんな時も一気にその速度まで加速しようとするので、これまたエンジンがうるさくなる。そんなに頑張らなくても、ゆるゆると加速しながら近づいていくくらいの挙動でよいのだが。

任務に忠実なあまり乗員の快適性を損なってしまっては元も子もない。
このあたりは将来に期待といったところだ。

ちなみに結構な低速でも追従モードを設定することができた。ものは試し、交通量が少なめの幹線道路で設定してみたところ、前の車が右左折でセンサー範囲からいなくなった瞬間、設定速度まで一気に加速しようとする。任務に愚直すぎて困る。特に交差点で赤信号の直前に前車がいなくなった場合などでも、車は信号の判断はしないので加速しようとする。だが人間は無意識に停まるよね、と思っているから余計に怖い。

車の挙動に慣れてきたらもしかしたらもう少し上手く付き合えるのかもしれないが、少なくともあまり市街地で使うものではないなと思った。

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さて、室内の方にも目を向けてみたい。まず車内を見渡すと、あちこちに小物入れやトレイが設けられている。これまでデッドスペースとなっていた場所を徹底的に見直している感じがする。ただ、そこに何を置いたらいいかな?と考えさせるような収納スペースもある。

グローブボックス上のトレイは色々置くのに丁度よさそうなスペースで、実際ここが一番活用されそうな気がする。代わりにグローブボックスは車検証と取説を入れたらそれで一杯になるくらいの小さなものとなっている。

それらの収納のほとんどは蓋のないトレイ形状になっているので、逆にいうと目のつかないところに隠してしまえるような場所は少ない。

 

カーナビはケンウッドの社外品が取り付けられていた。以前同じ店で別の車を借りた時にもこのナビが付いていたが、とにかく使いづらい。タッチセンサーの位置がずれが起こっていて、ボタンの上でタップしても別の所が反応したりするし、地図をスクロールさせたり拡大縮小をしようとしたときも頻繁に誤作動する。
設定画面でタッチパネルの位置調整が出来ないかチェックしてみたが、それらしきメニューが見当たらなかったので、結局調整できないまま使う羽目になった。前の車も同じ症状が出ていたので、もしかしたら製品のクセのようなものなのかもしれない。

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エアコンのコントロールパネル。無駄のないデザインで好ましい。またエアコンの動作音(というかダクトに共鳴する音)が静かなのが意外だった。ダクトの設計も色々試行錯誤しているのだろうか。
コントロールパネル内にシートヒーターのスイッチがある。シートヒーターは強さを2段階に変えられるようになっていた。その違いが分かるほど寒い環境での運転ではなかったので詳細は未確認。

また、パーキングブレーキスイッチに隣接するボタンが何に使うものかは分からなかった、タイマーのようなアイコンに+と-の表示だったので、アイドリングストップの時間を調節するものと予想したが、ボタンを押しても反応がなかった。これを書いている時に、インフォメーションディスプレイ内の時計の時刻を調整するためのスイッチかなと思ったのだが、そのためのボタンにしては大げさすぎるような気もする。取説があればなぁ。。。

ヘッドライトのスイッチはAUTOが標準位置となっていた。消灯する時はOFFの方に回すことになるが、そのあとAUTO位置に戻ってしまう。つまり消したままに出来ない仕様である。乗車時はその珍しい設定にHonda Sensingとの関連を考えたが、後に法令改正によるものであることが分かった。

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サイドからの眺め。シートは座面が大きくて座り心地は悪くなかった。また、ハイトアジャスターが付いているので、ポジションも調整しやすかった。ちなみにハンドルも上下チルトができるようになっていた。こういう機能をベースグレードで省かないところは立派。

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リアシートはこんな感じ。背もたれが他の軽よりも高い。そして、アームレストが付いているのが最高。このクラスではN-BOXにしかついていない装備である。リアシートに座った時の快適さはこの車がピカイチだと思う。

シート格納は肩の部分についているレバーを引けばワンタッチで格納できる。今風だ。

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最近のこのクラスの車には標準装備となりつつあるシートバックテーブルもちゃんとついている。便利そうなので我がスペーシアにも欲しい装備なのだが、社外品は華奢で見た目が悪くなるのでやはり純正品が良い。これは車を買い換えた時のお楽しみとなりそうだ。

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そして、ホンダ伝統のチップアップも忘れずに装着されている。モビリオスパイクの時代は座席下の足を固定するキャッチャー部分が床面から出っ張っていて邪魔だったが、その辺もちゃんと改良されていた。

本当はシートのフルフラットもチェックしておきたかったのだが、今回は時間に余裕のない旅行だったので、そこまでチェックする時間が取れなかった。うまいこと調整して3人が眠るスペースが確保できるなら、次期マイカーとして検討したいなとも思ったが。。。まぁ、それならルーフテントをつけちゃった方が手っ取り早いか。

というわけで久しぶりにがっつりレビューした。やっぱりホンダの軽自動車は他社の軽自動車と比べて特徴的な部分が多いなと感じる。普通乗用車と遜色ない装備が奢られていて、軽自動車のオーナーであるという引け目を感じさせない。

ただ、高いんだよなぁ。

Posted by gen_charly