[RentaCar-61] TOYOTA C+pod
2023/11/22
昨日、作業明けにFOMM ONEなる一風変わった小型モビリティEVを体験したわけだが、同じ場所にはC+podなるトヨタの小型モビリティEVも停められていた。どうせなら両方とも試してみたいと思ったのだが、レンタルが夜になってしまったのでFOMMの方しか借りられなかった。だが、翌日(つまり今日)も同じ場所で作業があり、しかもラッキーなことにその作業が午後イチで終わってしまったので、思い切って午後半休を取得してC+podの方も借りて試乗してみることにした。
借りるまでの手続きはFOMMと同じ。
スマホでチェックインを行うタイミングで車のドアロックが遠隔で解除され、車内に乗り込んだら助手席側足元にあるキーボックスに刺さっているエンジンキーを引き抜いて、それをハンドルのキーシリンダーに差し込めば始動する。
まずは外観の写真から。昨日のFOMMと比べて更に一回り小さい。こちらの車は2人乗りなのでその分前後方向が寸詰まりになっている。車両の長さは2.5mほど。
リアビューはこんな形をしている。リアゲートも付いていてFOMMと比較するとだいぶオーソドックスな印象だ。
車内の広さはこのくらい。フロントシート部分だけ見ていると超小型モビリティであることを一瞬忘れそうになるくらいにはゆったりしている。ただし寸法としては360cc時代の軽と同程度のサイズしかないので、2つの座席の間隔はかなり近接している。ただセンターコンソールがない分思ったよりは窮屈な感じでもない。
コンソールはこんな形。ハンドルは一般的な丸いタイプになっており、アクセルもペダル操作なので、普通の車を運転している時と同じ方法で操作ができる。
ステアリングコラムにはチルト機構が付いており、ハンドルを適切な高さに調整できるようになっていた。
足元部分。ペダルが2つとパーキングブレーキが並んでいる。幅が狭いせいかフットレストは車両センター付近に設置されている。サイズが大き目なので助手席の人と共有する想定かもしれない。
センターコンソール。トランスミッションのコントロールはFOMM同様、R-N-Dの3ポジション式で、ボタンをプッシュすることでレンジが設定される仕組みだ。
オーディオレスである所や、エアコンなし、暖房なしである所もFOMMと同じ。ただしC+podにはシートヒーターが装着されていて、最低限の防寒対策が可能。シートヒーターがあると背中から太ももにかけては非常に暖かく過ごせるが、室内が暖まるわけではないのでつま先や手先などは冷えるかもしれない。割り切ってバッテリ式のファンヒーターなんかを持ち込んだら快適になりそうだがそこまでする人もいないか。
メーターエリア。センターメーターになっていて、手前の部分はトレイとして使うことができる。電源コンセントとUSBコネクタがメーターの下に装着されている。電源は1500wまで供給できるそうだ。いざという時には家庭用電源としても使えるようになっているのが流石EVである。
ちなみに充電は100V電源対応とのこと。ただし充電は15時間ほどかかるそうなので、毎日長距離乗車するような使い方の場合は200Vを引かないと充電が追いつかないかもしれない。
電源を入れた状態で表示されるインフォメーションはこんな感じである。最低限必要な情報のみ表示されているが、FOMMよりは情報量が多い。
ワイパー、ウィンカー、ヘッドライトの操作レバーは一般的な日本車と同じ位置にある。
運転席側コンソール下にミラーのコントローラーやヘッドライトのレベリング調整ダイヤルが付いている。そのほか、安全運転支援システムも標準装備となっている。
サイドウィンドウは3分割されていて、真ん中のガラスだけが開閉可能になっている。その開閉方法は手動式だ。といってもレギュレーターをぐるぐる回すのではなく、つまみをつまんで引き下げるタイプだから原始的というか何というか。
開閉位置は任意の場所でストップできるようになっており、空気の入れ替え用にちょっとだけ開けたり全開したりは自由にできる。なので取り立てて不便ということもないが、贅沢に見える装備は省かずに割り切れる所は思い切って割り切ってしまうあたりがトヨタらしい。
フロントシートの後方はラゲッジスペースになっている。奥行きは50cm程あって普段使いで積むであろう程度の量なら問題なく積める。座席の背後に飛び出し防止用と思われるボードが立っているので、フロントシートはこれ以上後ろには下がらないし倒すこともできない。直角でびた一文動かない軽トラックのシートよりはマシといった感じか。
リア側から見るとこんな感じ。日常のちょっとした買い物とかそういった程度なら、この大きさで充分だと思う。
やはりトヨタが作っているだけあって非常に乗用車ライクな感じで、トリッキーなところがない。
さて、ぼちぼち出発してみたい。例によって習熟運転として駐車場の敷地内をちょこちょこと走り回ったが至って普通。習熟運転というほどの練習も必要なさそうだったので、そこそこに公道に出てみることにした。
例によってカーナビが非装着なのでスマホのナビ機能を使う。今回はまだ日があって明るいので白岡市にある柴山沼というところまで行ってみることにした。
走り出す時に一般的なハイブリット車に準じた機械の動作音のようなシンセサイザーサウンドが流れるようになっている。ハイブリッド車だと加速に伴ってエンジンに切り替わるが、EVなのでそのままモーターの唸り音が高まっていく。
馬力は12馬力ということだが、非力とはいってもEVはエネルギーの伝達効率がエンジンとは比較にならないほど良いので、加速感にそれほどのもたつきはない。このところエンジンで動く自動車も含めて出力をkw表示するようになった。馬力で表記すると数値と体感が乖離するからだろうか。とはいえモーター出力が弱いことには違わないので、速度が上がってくるとモーターがワンワンと唸るような感じになる。武蔵野線を爆走中のE231系のような音だと思った。
この車は最高速度が60キロに制限されている。一時国道を走る場面があったので試しにベタ踏みしてみたら、63キロあたりでリミッターがかかってそれ以上は加速できないようになっていた。そういう仕様なので高速道路の走行は不可。これでも普段使いに不自由がないといえばそのとおりだが、エマージェンシーで高速走行しなければならないケースも実際の利用シーンではあると思うので、80キロ辺りをリミッターとして60キロを越えたらキンコン、キンコンと大昔の車のようなアラーム音を流すような感じでもよいのではないかと思ったが、衝突安全が考慮されているのだろう。バッテリがリチウムなのでいざ火が付くと大爆発する。そうした危険を避けるためにもこのくらいが安全ということなのかもしれない。
というわけで基本的には走行車線をゆるゆると走るのが向いていそうだ。前方にもたもたしたトラックが走っていると、普段ならイライラすることもあるが、この車を運転している時はむしろ安心感だった。60キロのリミッター上限に張り付いたままの巡航はバッテリの消費が早まりそうな気がするが、先頭を走るとなると背後についた車両から煽られているのではないかというプレッシャーを感じてついつい活発な運転になってしまう。その点トラックの後ろならもたもたしているのが自分のせいじゃないと責任転嫁できるからだ。
乗り心地については平たい道を走っている分には寸足らずの車に乗っているような感じはなく、意外にどっしりしている。ただ段差を越えてサスペンションが延びた状態の時の挙動は腰砕けのようなふわふわとした揺れがありちょっと気持ちが悪かった。使われ方によるところもあると思うので個体の癖なのかもしれないが。
車内はグラスエリアが大きいせいか、この季節でも車内は結構暑くなった。とはいえファンを動作させたらそれはそれでバッテリの持ちが悪くなりそうだったので窓を開けてみたが、開けても意外に風を巻き込まなかった。夏場とかは流石に送風を使用しないと辛いかもしれない。
ちなみに窓を開けていると、足回りからキーキーと音がしていた。ブレーキのキャリパーが波打ったりしてパッドに触れている時に出る音だ。いろんな人が運転するので乗り方も様々だから仕方がないのかもしれないが、適度に手入れしておいてほしいと思った。
40分ほど運転して柴山沼に着いた。ここを目指した理由はこれといってない。地図を見てそこそこ離れていて、のんびりできそうなところを探していたらここがヒットしたという次第。ただの沼なのでこれといった感想もなく、軽い散歩とトイレ休憩のみで戻って来た。
シートはホールド性も見た目ほど悪くなく、1~2時間程度のドライブなら問題なさそうである。都合1.5時間ほどドライブしてみたが、街乗りに特化した車という前提で見たら何の不自由もなく乗れそうだと思った。地方暮らしで高速を走ることは全くないが、ちょっとした足がないと困るなんて場合にぴったりかもしれない。
走行距離は30キロほど。その間にバッテリのメモリは2つ分減った。満充電で150キロ程度走れるということだが、やはり高速走行を続けるとそのくらいは減ってしまうようだ。
車両価格は166万から175万ほどと、サイズや用途を考えると割高ではある。120万くらいまで下がってくると有力な選択肢になりそうだと思う。ちなみに今のところディーラーなどで普通に買うことはできないそうだ。基本的にはリース契約で入手するしかないということで、いずれ返却しなければならないのかとちょっと勿体ない気がしなくもないが、これまで同じ車を10年とかのスパンで乗ったことがないし、EVなのでいずれバッテリの交換などもしなければならないことを考えると、5年ごとのリースで最新式を乗り回す方が良いのかもしれない。
といっても今のところ入手する見込みはゼロだが。。。
ちなみについでに、自分が車を借りた大宮桜木駐車場のステーションにはFOMMとC+podの2車種しか置かれていなかったが、さいたま市の別のステーションにはekクロスのEVが置いてあるところがあるらしい。当面埼玉方面へ出かける用事がなくなってしまったので気軽に借りに行くことができないが、いずれ時間を作ってそちらもレビューしてみたいなと思った。