[Delsol-08] いじりれき 2002/09-4
デッドニング加工:
ある日I氏と近所のオートバックスに定期巡回した時にデッドニングの話になった。デルソルの純正スピーカーはどうにも低音がスカスカで、再生していて気持ちよくないのだ。これを解決するためのソリューションはスピーカー交換やウーハー増設などが王道だが、それ以外にもデッドニングというのがあるということを教えてくれた。
スピーカー売場にデッドニングを体感できるデモが置かれていた。スピーカーを装着したオイル缶が2つ並べてあって、片方は未加工、もう片方は加工済みになっている。昔からあるやつデモだが自分はこの手のチューニングは眉唾物だという先入観があってこれまで試したことがなかった。
だがI氏によるとこの加工でかなりの音質改善が期待できるのだという。折角なのでその違いを体感してみたところ、確かに随分と聞こえ方が違う。音のスカスカ感が軽減して自分の耳の方に全ての音の成分が向いている感じだ。こんなに変わるものなのか。
その感動のあまり、これやりましょうよ!とI氏を唆して作業をした時の記録である。
デッドニングと言えば天下のエーモンの右に出る者はいない、というくらいエーモンのデッドニングキットは有名な商品である。デッドニングは制振シートという銀色のシートのほか、クッション風の吸音材などいくつものパーツがある。車両の特性に合わせて改善すべき所に合致する製品を単品で購入しても良いのだが、定番の部材をひとまとめにしたセットも販売している。
店舗よりオークションサイトの方が価格が安いので、物はネット通販で取り寄せることとなった。すまんAB。
罪滅ぼしという訳ではないが、折角デッドニングするならスピーカーも多少マシなものを奢っちゃおう、ということで吊るしで売っている安物のスピーカー(確かBoshman)を購入した。4000円くらいだったかな。
左が新たに購入したスピーカーで右が純正スピーカー。純正スピーカーは見た目からしてショボい。海外の安物スピーカー以下か。
部品到着の連絡を受けその週末に作業を行った。いつものことだが例によって夜中から作業開始。作業場所となるI氏の工房はご近所も町工場が並んでいるような場所なので多少の騒音くらいでは文句は出ないらしいが、民家がない訳じゃないので一応お静かに・・・。
まずはドアの内装パネルを外すところから始まる訳だが例によって脱着時の写真はなし。その辺は他サイトを参考頂きたい。
で、外すとこんな感じ。パネルを外した直後はこの鉄板部分にビニールシートやスピーカーが装着されていたがいずれも撤去済である。
・・・ってちょっと待て。なんでサービスホールの向こう側真っ黒なんだよ!
こんなものなのかと思いつつ運転席側のパネルを外すと、ちゃんと全面鮮やかなサンバグリーンで塗られている。そりゃそうだ、車の塗装はどぶ漬けで行われるのだからムラなく同じ色で塗られているのが普通だ。
やりおったな。。。
恐らくこの個体は一度助手席側ドアを交換している。ドア交換が必要になるほどの事故を経験しているようだ。
ただしドアの建付けにがたつきや違和感がないことはこれまでの乗車でチェックしている。フレームのゆがみもなさそうなので結局見て見ぬふりである。販売店に文句を言っても今更だと思うので。
ということで本題に戻る。ドアの鉄板にはいくつも穴が開いていてこれをサービスホールという。その名のとおりドア周りの作業をする際に鉄板の中にアクセスできるように開けられているものだが、それ以外にも車体の軽量化に伴う性能向上や材料費の削減などにも貢献している。この程度でも何万台も製造すればチリツモで莫大な差になるらしい。
だが、穴の開いたエンクロージャーに付けられたスピーカーから出る音がスカスカな音になるのは容易に想像がつく。そのうえ隙間だらけなので外部のノイズが入り込んできて、スピーカーから出力される音声をかき消す方向にも作用してしまう。
だったらその穴を塞いでドアパネルをスピーカーのエンクロージャーとして理想的な状態にしてあげましょうよ、というのがデッドニング加工の基本的な考え方である。
まずはサービスホールが塞がる程度にカットした制振シートを貼り付けていく。穴をふさぐシートを制振シートというのはこのサービスホールの中でスピーカーから出力された音が共鳴する際に場所によって振動が発生し、スピーカーから出力されたエネルギーが振動で相殺されてしまうので、単純に穴を塞ぐだけではなく振動を抑えるための機能を持たせてあるからだ。
アルミシートの裏側にはクッション状になったウレタンのようなシートが合わせてあってそれを粘着テープで貼り付けている。これが振動の吸収に効果を発揮してくれるらしい。
なお可動部品の上に貼らないよう注意。動かなくなる、あと、制振シートをカットする際には金切りバサミのような強い力で切れるハサミを使うとよいと思う。それと軍手もハメておけ。いまさら言うな。
スピーカーホールの周囲には必ず制振シートを貼っておく。ここが一番振動するそうだ。もちろんスピーカーホールそのものは塞いではならない。なので適当に切り抜いて使うこと。
切り抜いたシートは他の小さな穴を塞ぐのに利用する。
スピーカーホールの後ろ側に見えているのが吸音シート。要はスポンジだ。
これによってサービスホール内の余分な共鳴を吸収することができる。水が入りやすい所なので一番下から少し上げたところに貼っておいた方が良いかもしれない。
で、こんな感じに仕上がった。雑に横一文字に張ってある物体も吸音シートである。もっと要所要所に貼るのがベストらしいのだが、同梱しているものが短くてこのくらいしかなかった。一応こんな雑な仕上げでも多少の効果が期待できるようなので、とりあえずそのまま貼り付けてみた次第。
まぁ所詮スポンジなので、もっと頑張りたければ100円ショップに売っている隙間テープなどでも、特性の違いは多少あるにせよ効果はあるだろう。
で、最後にスピーカーを取り付けたら完成。
パネルを元に戻してオーディオのスイッチを入れてみたら爆音が出て焦った。
あれ、と思ってオーディオのボリューム設定を確認するが普段の音量と同じである。夜も深まり周りが静かになったから、というのもあるとは思うがこれほどまでに劇的に変化するとは思わなかった。
デルソルの設計がいかに音響設計を蔑ろにしているのか、ということと純正スピーカーのショボさが実によく分かった。
少し近所を走り回ってみた。スピーカーは低音から高音まで以前とは比較にならないクリアさで聞こえてくるようになった。
ノイズカットの効果も出ているらしく、走行時のロードノイズやエンジン音などが混ざっても音楽の明瞭さがあまりスポイルされなくなった。
これは良い加工であった。