[DIY-10] 8mmビデオデッキのトラッキング調整

ある日父から、過去の旅行などで撮影した8mmビデオテープを預かって欲しいと頼まれた。で、預かって自宅に持ち帰ってきたのだが、そのほとんどは父が後妻と出かけた時の映像なので、個人的には興味がない。ただ、いくつか自分が子供の頃に父と出かけた時の映像や、タイトルの貼られていないテープがもあったので、それはちょっとチェックしてみることにした。

そしたらその中に、自分が高校生の頃に文化祭の企画で撮影したものが紛れてた。そういえばそんなこともやったなぁ。これはちょっと懐かしい思い出なのでデジタル化させておくことにした・・・のだが、映像、音声共にノイズがひどくて見れたものではない。こうしてノイズが入ってしまうテープは、テープそのものの劣化や再生不良などで傷がついてしまっている場合もあるが、多くの場合はトラッキングの調整で直せるらしい。じゃあ、トラッキングを調整してみようとデッキを眺めるが、どこにもトラッキング調整レバーが見つからない。


そこからネットでの調査が始まった。調べていくとそもそも8mmビデオデッキはマニュアルトラッキングができないことが分かった。規格としてオートトラッキングが定められているせいらしい。つまり、テープのトラッキング調整は再生機器側で勝手にやってくれているということだ。にもかかわらずノイズが乗ってしまうのは、その機器が調整できるオートトラッキングの調整幅を超えたテープを再生しようとしているからであるらしい。

いや待ってくれ。規格で定められているのに、なぜ調整幅を超えてしまうのだ?・・・と思ったらかつて8mmビデオカメラを製造していたメーカーが複数あり、そのメーカーごとに微妙にセッティングが異なっているらしいのだ。すなわち、撮影をした機器で再生すれば、正常に再生できるということだ。だが父は時代の流行廃りに合わせて、何度かカメラを買い直しているので、もう撮影したカメラは手元に残っていない。


じゃあ詰みだね、とそれで終わってしまったら、エントリを立てた意味がない。これはネットで調べて見つけた方法だが、これから紹介する方法は、もしかしたらうまく再生できる最後の一手となるかもしれないものなのだ。

その方法は、一言でいうと力業マニュアルトラッキングだ。どういうことか。

ビデオデッキはカセットが挿入されると、ガイドを動かしてテープをヘッドに押しつけることで映像を再生することができる。このときテープとヘッドが理想的な角度で接していれば、映像は綺麗に再生される。だが、このガイドの位置や調整幅がメーカーごとにちょっとずつ異なっているため、他社の機器で撮影されたテープを挿入するとトラッキングに失敗するというわけである。

そこで逆転の発想で、そのガイドの位置を人為的に少し動かしてやることで、機器側で定められたトラッキング幅を逸脱したトラッキング調整をさせよう、というのがこの荒療治の概要となる。自分のテープに出ている事象が、それに該当するのかはまだ分からないが、試してみる価値はあるだろう。最後の砦なので、これで駄目だったテープ劣化で処置なしと諦めるしかない。


ということで、チャレンジ開始。

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手元にある8mmテープ再生機はこれである。サムソンのVP-880L。父が昔購入したものを借りてきた。

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まずはケースを開けてみる。筐体がコンパクトなので取り回しが楽でよろしいw

しかし8mmのビデオデッキなんて、よく今まで壊れずに残っていたものだ。それはさておき、上の写真の中央付近、斜めに取り付けられている銀色の円筒形の部品が再生ヘッドである。

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ヘッド部分の拡大がこちら。カセットテープを挿入すると、左斜め上にある斜めになったガイドピンと、その左隣のマイナスねじのような溝が切られたピンがテープをひっかけて下に見える溝を移動して、テープをヘッドに押し付ける。

それと同時に左にある中心が金色になっているパーツと、そのさらに左上にある黒いパーツの間にテープを挟んで音声信号を読み取る仕組みになっている。

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カセットテープを差し込んで再生させた状態がこれである。

被検体となるテープだが、万一テープが損傷したら取り返しがつかないので、まずは既にバックアップの済んでいる、別の同じ事象が出ているテープで試してみよう。

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最初はこのようにきれいに再生されるが、

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一旦何かのきっかけでノイズが乗ると、トラッキングがおかしくなって、

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そのあとこんな具合になる。ずっと再生させているとそのうち元に戻るが、その間音声・映像が乱れまくるので、何が映っているかさっぱり分からない。

ここで、力業マニュアルトラッキングの出番である。

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分かるだろうか。

要はガイドピンに力をかけて、テープがヘッドに当たる角度を微調整しているわけである。指で少し力を加えると、それまでノイズで見れなかった画面が見られるようになった。ノイズで見られなかった画面がクリアになった瞬間に思わず声を上げてしまったw

その力の掛け具合は、各自探ってくださいとしか言いようがないのだが、力をかけている割にピンはほとんど動かない。そのくらいの力のかけ方である。また、どっち方向に力を入れればよいかもケースバイケースなので、うまく微調整して丁度良くなる場所を探ってみて欲しい。

なお、あまり力をかけ過ぎるとテープが絡まるので注意。自分もそれでテープを1本だめにした。さらに音声ヘッド側の当たりがおかしくなって音声の方にノイズが出たり、音声が聞こえなくなったりすることもあるので、そこも要注意である。そもそも、デッキ自体が今となっては貴重な再生機器なので、あまり強引なことをやって壊さないように注意してほしい。その辺の匙加減が不安な人は修復業者を頼ってみた方が間違いないかもしれない。

ちなみに、テープのシワや傷に由来するノイズは、この方法では消すことができなかった。


ということで、高校時代の懐かしい思い出がつまったテープは、ノイズが乗ってしまう範囲のうち、7割ほどが正常に見られるようになった。

残りの3割は、同じポジションを維持して微調整を続けていると再びノイズが乗ってしまうことがあり、恐らくその位置でトラッキングの状態が変わってしまっているらしい。その時に最適なポジションを再度探ったりしたのだが、数値で表せるような調整ではないので、瞬間的にトラッキングが合わせられず、それ以上の調整は断念せざるを得なかった。

Posted by gen_charly