[DigiItem-01] SHARP書院 WD-40(多分)

1988年頃入手(多分)


自分が小学生の頃、近所に住む友だちが親のワープロを貰ったと自慢してきた。「絵文字が使えるんだよー」と言って色々な絵文字を印刷したものを見せて貰ったら自分も欲しくなってしまった。で、早速、親にワープロが欲しい!とねだってみたのだが、親にしてみたら小学生風情がワープロなんか何に使うんだと首をかしげる訳で最初は全く相手にしてもらえなかった。

でも欲しいものは欲しいのだ。ということで何かの用事で電気屋に行く度にしつこくねだっていたら、とうとう根負けして買って貰えることになった。


と言っても我が家は子どもに本格的なワープロを買い与えてくれるような家じゃない。量販店に行って、家庭向けの出来るだけ安いやつないですか?と店員に相談したところ、おススメされたのがこの書院だった。型番は多分タイトルに記載した物の筈だが、いかんせんはっきりとは覚えていない。リンクをクリックすると画像検索の結果が出ると思うが、こんなような形のワープロだった気がする。正直な所大きな画面が付いているやつが欲しいなと思っていたのだが、そういう物は価格が何倍も高く、とてもそれが良いとは言えなかった。そうして親にケチられて痛い目に合うことは過去に何度もあったが、買って貰えないよりは買った貰った方がいいに決まってるのでそれで手を打つことにした。


で、ようやく手にした自分のワープロだが、入門機と言うだけあって機能はかなりショボかった。基本的に文章を書く→印刷する→電源を切る、という処理しかできず今でいう所のテプラをちょっと高機能にした程度のマシンだった。

入力した文字が表示されるのはわずか2行の液晶画面。2行しかないので長文を書いたらどんな出来ばえになっているのかすら分かりづらい物だった。一応画面の右の隅にものすごく大雑把なプレビュー機能(文字のある所が1文字1ドットで表示される)はついていたが、誤字脱字は1行ずつチェックしていくより他なかったので、印刷した後で気づくなんてことはザラにあった。とはいえ、所詮色々な文字や絵文字が入力できてそれが印刷できたらそれだけで満足だったのでそんな程度の物でも充分楽しめた。

このワープロで結構な駄文を書き散らかした。父に大阪へ連れて行ってもらった時の旅行記を書いたことははっきり覚えている。当時から文章を書きたい欲が凄かったんだな。。。その時のプリントはもうすでに手元にないが残っていたら今頃旅のぞうりにエントリが増えていたかもしれないw


さて、そうして文書を入力し終えたら次は印刷である。流石にプリンタは標準装備になっていたが熱転写リボン方式だった(と言っても当時のワープロ機では一般的な方式だが)。熱転写リボン方式というのはカセットテープのようなケースにインクの付いたテープが入っていて、プリンタのヘッドが紙にそれを押し付けて熱の力で転写するというものである。

色は4色か5色くらい発売されていたような気がする。1カートリッジ1色なのでカラー印刷をするといっても単色刷りである。まぁテプラを思い浮かべて貰ったら大体一緒だ。
(もしかしたら途中で一時停止させてカートリッジを交換させながら多色刷りするような機能があったかもしれない。。。)

カートリッジは1本1000円くらいしたと思う。小学生の小遣いでは気軽に買えるものじゃなかったのでそれはそれは大事に使った。だから印字後に誤字に気づくと大いにがっかりするのである。

で、カートリッジがカセットテープ型なので当然そのうち最後まで使い切ってしまう。一応、説明書には使い切ったら買い替えてくださいと書いてあるのだがそんな贅沢は出来ない。実はカセットの芯に鉛筆を差し込んでぐるぐると巻き戻すともう一度使うことが出来たのでそうして再利用をして使っていた。と言っても前回の印字で紙にインクを乗せたところは流石にもう色が出ない。文字と文字の間の部分とか、入力した文字のアウトラインが大幅に異なる所(要はリボンにインクが残っているところ)が使えたので、この方法で2、3回くらい再利用した。

だが流石に3回目くらいになってくると、文字のかすれが目立つようになってくるのでその辺で打ち止めである。

ちなみに熱転写タイプなので感熱紙を使うこともできた。感熱紙はモノクロオンリーだがカセットリボンよりは安価だった。ただし感熱紙なので暫くすると変色・退色してしまう宿命だ。なので長期間保存する用途には向いていない。
自分は当然、長期保存する前提で文書を書いているので感熱紙はあまり使わなかった。

・・・とか言っている割に当の印刷物は散逸させてしまったんだから、なんだかなーという感じではあるがw


で、文書を作り終えて印刷も終えたらどうするのか。前述のとおり電源を切るのである。保存?なにそれウマいの?の世界である。
一応カセットテープに文書保存する機能がありオプションのテープレコーダーも発売されていたが、これが本体よりも高くて当然買って貰える訳がない。でも電源を切ったらこれまで頑張って入力した文書がきれいさっぱり消えてしまうのはどうにも勿体ない。

その外付けテープレコーダーをつなげるための端子を見ると単なるミニジャックだった。出力と入力の2本コネクタが付いていたのでイヤホン端子とマイク端子が付いている録再のラジカセが使えるのではないかと考えた。丁度自宅のラジカセはライン録音が出来る機種だったのでこれで代用してみることにした。

ケーブルだけどうにか手配して自宅のラジカセに接続。ラジカセだからワープロと同期させることが出来ないので、まず録音ボタンを押してそのあとマニュアルに沿って保存を実行する。暫く後保存完了のメッセージが画面に出た。やればできるじゃん。

だが、ロードは何度やっても失敗してしまった。純正品とはテープの回転数とかが違うのだろうか。ということで自宅ラジカセ代用案はあえなく失敗となった。そうなったら印刷が終わるまでひたすら電源を入れておくしかない。件の大阪に行った時の話を書いた時は2週間くらいつけっぱなしだったと思う。(途中、親が電気代がもったいないと言ってコンセントを抜いてしまい、イチからやり直しした時間も含めて。。。)


ということでこのワープロが自分がパソコンの世界へと足を踏み入れるきっかけとなった記念すべきマイルストーンなのである。ゲームでもなく、プログラミングでもなく、文書を書き散らかしたい、という動機が何とも自分らしいというかなんというか。

Posted by gen_charly