[Inst-02] ROLAND HS-80

19961000_740120

中学生の頃、親にねだってCASIOのCT-607というエントリモデルのキーボードを買って貰った。何かを演奏するために音を出すという目的だけであれば特に不満もなく使えていたのだが、MIDI端子が付いていなかったりタッチレスポンスが付いていなかったり、音色もなんかしょぼいし、、、などなど徐々に不満が出るようになってきた。

それで再び親と交渉して高校生3年の誕生日に新しいキーボードを買って貰えることになったのだが、当時のキーボードシーンを席巻していたヤマハのEOSとかはとてもじゃないけど高くて手が出ない代物だった。かといってカシオトーンだと上位機種を選んでも根本的なショボさは変わらない、みたいな感じでできればカシオトーン以外にしたかったのだが、値段がお手頃でそこそこ機能の付いているモデルと言うのがなかなか見つからなかった。

 

その当時、本川越駅の近くにあるリサイクルショップが楽器を扱っていたのでたまに覗きに行っていたのだが、ある日そこそこいい感じのキーボードが売られているのを見つけた。それがこれである。タッチレスポンスもベンドもMIDI端子も付いている。それでいて中古なので価格は4万円ほどとお手頃。ということで購入して我が家へとやってきたのだった。

音色はプリセットで128音、簡単なシンセサイザーのような機能も付いていたので音色をエディットしてユーザーバンクに登録することも出来た。本格的なキーボードが手に入れられた嬉しさで暫くの間は毎日のように弾き倒した。

 

このキーボードは発売当時のローランドの標準的な音源であるLA音源方式が採用されていた。LA音源はシンセサイザーによる音色合成がベースになっていて、ストリングスやいわゆるシンセサイザー系と呼ばれるものの音色はなかなかリアルな仕上がりになっていたものの、ピアノやギターなど打鍵系の音色についてはあまり得意でなかったようで、当時PCMによるサンプリング音源を採用していたヤマハの音源と比べるとだいぶ見劣りする感じだった。

それでも気に入っていたので結構長いこと所有していたのだが、1人暮らしを始めて部屋が狭くなったことと、キーボードよりベースを弾いていることが多くなってきたのとでだんだん押入の奥に押し込まれている時間が長くなっていった。

 

ある日、久しぶりに引っ張り出して弾いてみたらいつの間にか3オクターブ目のF#の音がでなくなっていた。もうあんまり使わないし手放そうかなと思ったら、知り合いが打ち込み用に使いたいというので彼の元へと旅立っていった。

Posted by gen_charly