[Inst-43] カンカラ三線の修理とお手入れ
もうずいぶん昔の話だが、沖縄に旅行に行った際に買ったカンカラ三線がある。目が欲しかっただけなので、買ったはいいが大して弾きこなすことができず半ばオブジェと化していた。でもせっかく入手したのだから、たまには弾かないとなと一念発起し、数年前に一度手に取ったのだが、チューニングを合わせようとカラクイを回していたら、なんと折れてしまった。
カラクイはギターでいうところのペグに相当するもので、これが折れてしまうとチューニングができなくなる。三線なんて半分手作りのような楽器だから、楽器屋に修理に出さないと直せない気がするが、所詮おもちゃなので、これに大金はたいて直そうという気にもならず、そのまま完全なるオブジェとして余生を過ごすこととなった。
そうして数年。先日、チビが習っているピアノ教室で、関係者の三線奏者が三線が持ち込んで演奏したらしい。それでチビが興味を持ったらしく、この三線を見て、これ弾けるようにならないの?と言ってきた。チビが弾くというなら直してあげたいが、ずっと使うことは多分ない気がするので、本格的に修理に出すほどでもない。修理に出すくらいなら新しく買った方が安い気がする。ということで、DIYでリペアできるならやってみようかな、くらいの気持ちで情報収集してみることにした。
改めて状態をチェック。よく見たらチル(弦)を乗せるウマ(ギターでいうところのサドル)がいつの間にか紛失していた。ウマは取り外せるようになっており、なくさないように外していたのだが、それがどこかに行ってしまった。なくさないようにしまったはずなのに・・・。
ウマくらいならアマゾンあたりで売っていないかなと思って調べてみたらやっぱりあった。それならカラクイもあるんじゃないかと思って調べたらこれも売られている。
それなら手順が分かればDIYできそうだ。ということでネットで修理方法を検索してみたら、直し方が書かれたサイトも見つかった。そのサイトを熟読したら、どうやら自分でもどうにかできそうな感じだったので、チャレンジしてみることにした。
カラクイはアマゾンで多種多様なものが売られていたが、ちゃんとした三線に付ける前提の装飾の施されたものが多かった。そんなのをカンカラ三線に取り付けたら、カラクイだけが浮いてしまうので、ただの丸木を加工したようなシンプルなものを選んでみた。ちなみにそのカラクイは穴あけ済みということだ。三線はカラクイに空けられた穴にチルを通して巻き取る仕組みなので、カラクイの先端に穴が開いている必要があるのだが、売られているものは穴が開けられていないものがほとんどだった。
というのも三線は手作り楽器なので、ヘッド部分の作りに個体差があり、現物に合わせて微調整しながら穴を開ける必要があるかららしい。だが、これは所詮おもちゃなのでそこはこだわらない。というか5mm程度しかないカラクイの先端部に、直径1mmの穴をまっすぐあけるなんて、とてもDIYでできる気がしない。
この三線は購入して15年以上経つが、その間一切ノーメンテだった。弾いていないのだから手入れもしないというわけで。これからチビが演奏に使うのであれば、この機会に消耗品類も一式交換した方が良いだろう。ということでチルと糸掛けも一緒に交換してしまうことにした。
発注して数日後に部品が届いた。上のコの字形というかCの字形というか、のパーツがウマ、その下の黒い結ばれた糸のようなものが糸掛け。そしてチルとカラクイ。
カラクイはなんか作りが雑だった。それぞれの長さも違うし、テーパーになっている部分の処理もまちまち。1,000円くらいで売られてたものなので、まぁこんなものなのかな・・・。
ということで交換開始。まずは古いチルとカラクイを外す。カラクイが残っているチルはカラクイを回して糸を外したが、カラクイが折れているチルは回せないので、チルを切ってほどいて外した。
チルはブリッジに相当する場所で糸掛けに結ばれている。糸掛けはスルーネック状のボディーの尻の部分(ミジアティ)に引っかけてあるだけなので、カラクイ側のチルを外したらそのまま糸掛けごと外すことができた。
折れていないカラクイはヘッドから引っこ抜くだけで外すことができたが、折れているカラクイは引っこ抜けるだけの長さがなかったので、反対側の穴からキリで押し出して外した。
チルを外してネックが露になる珍しい機会なので、ネック部分にオレンジオイルを塗って指板保護をしておくことに。
オイルが乾くまでの時間の間に、新しいチルを糸掛けに結ぶ。結び方がよく分からなかったので、ネットに出ていた方法を参考にして結び付けた。
そして新しいカラクイの取り付け。元のカラクイ同様に穴にさし込んでみたら、反対側の受け穴まで届かなかった。
穴に合わせた加工が為されているわけではないので、やむなしか・・・。
ヤスリを持ち出して、カラクイをころころ転がしながら、先端部分の径を少しずつ細く削っていく。カラクイは穴との摩擦の力によってチルが緩まないようになっているので、削りすぎたらアウト。少しずつ現物合わせしながら、程よい太さになるまで削った。
カラクイがちゃんと奥まで差し込めたのを確認してから、チルを結んだ糸掛けをミジアティにひっかけて、カラクイへ通す。
カラクイを回して弦にテンションをかけるが、途中何度かチョーキングして締め付けてやらないとすぐに緩んでしまうのは他の弦楽器と同様。
それからウマを立ててチルを乗せた状態でチューニング。アナログ楽器なうえ、張りたての弦なので、チューニングが一向に落ち着かない。
暫くあれこれいじって、どうにかいい感じのところでチューニングも整った。
ということで、数年ぶりに復活した我がカンカラ三線。
チビに渡した当初は手慰みに弾くくらいだったが、次の発表会で沖縄の曲をやることになり、この三線でステージに上がることになったので、それ以降本腰入れて練習していた。まだ運指が適当だし、ピッチの取り方もイマイチだが、それでも一生懸命練習してステージで堂々と演奏していた。この楽器を買ってよかったと思った瞬間だった。
せっかくなのでこの機に自分も何か1曲くらい覚えてみようかな。