アメリカ西海岸の旅【6】(1991/04/02)
ミステリースポット:
これから向かうミステリースポットだが、どんな観光地なのかまだ書いていなかった。簡単に説明すると、この一帯の重力(磁場だったかも)の異常により、様々な不可解な現象が起こっているという場所だ。ボールが坂道を上方向に転がったり、まっすぐぶら下げた紐があらぬ方向に引き寄せられたり、そういった現象を観察できる場所である。
テレビで初めて見た時には、世界にはそんな不思議な場所があるのかと驚いたものである。

歩きながら撮影したのでブレた写真で恐縮だが、もしかしたら、このマークを見たことがあるという人もいると思う。日本では当時、割と頻繁にテレビに取り上げられていたので、結構有名な物件だったりする。
中に入ると、薄暗い杉林の中に、緑の屋根の異様に傾いた掘っ立て小屋が建っている。かつてまっすぐ普通に建てた小屋だったが、重力に引っ張られて、やがてこんなに傾いてしまったのだという。
ちなみにこの記事を執筆するにあたって、改めてネットで調べてみたら、この建物は3メートル上から滑り落ちてきたという、新たな設定が加わっていた。ま、そういう施設である。

「まっすぐな場所で紐を垂らすと、重力のせいで引っ張られて紐が斜めに垂れ下がるのです。」

「建物の中でまっすぐ立ちますよ。そうすると自然と斜めになるのです。そちらの方向に重力がかかっているので、登るのは簡単だけど降りるのは大変なんです。」

「鴨居にぶら下がってみますね。ほらこんなに体が傾いてしまうのです。これも重力の影響です。」

「ここの不思議なところはそれだけじゃないのです。こちらの女性2人、背の大きさは全然違いますね。」
「では、逆に並んでください。」

「ほら!2人の身長が同じくらいになったでしょ?これも重力の異常で身長が伸び縮みしているからなんです。」
・・・とまぁ、そんな具合だ。当時でも純粋に信じていたわけではないが、その前提で見ても不思議な施設だった。
ここの滞在は1時間くらいだっただろうか。自分がテレビで見たあの場所に来て、実物を目の当たりにしているんだということが、とても満足だった。

ガイドの説明の後は20分くらいの自由時間が与えられた。ただし建物の中は10分以上いると体調が悪くなる人がいるので、それまでに出てください、と制限された。
で、自分たちもめいめい鴨居にぶら下がってみたりした。写真を見返すと不思議な感じだが、ぶら下がっている自分はこれといった違和感がなかった。感受性が悪いのだろうか。
ちなみに父はこの旅行の翌年に再婚したのだが、再婚後、後妻と2人で再び西海岸の旅をしに行っていた。その折にもミステリースポットを回るツアーに申し込んだらしいのだが、その時のガイドもこの人だったそうだ。
父が撮影したビデオが残っていたが、全く同じことを言ってて笑った。
サンフランシスコ市内散歩:
夕方くらいにホテルに戻ってきた。一息ついた後、撮影した写真がどんな具合か早く見てみたくなり、ここで現像してみたいと父に提案した。根拠はないが、アメリカの物価は概ね日本より安かったので、現像もこちらでした方が安上がりなんじゃないか?という話をした気がする。
父も賛成と言って、ホテル近辺の散策の傍ら、現像サービスをやっている店を探すことになった。「Photo」とか「D.P.E.」のようなキーワードがある店を探していたら、それっぽい店があったので店内に入る。
その店の店主に身振り手振りで質問したら、ちゃんと現像をやっている店だったので、更に身振り手振りで説明して、ここまで撮影したフィルムをまとめて現像に出した。仕上がりは当日中とのこと。それまでの間に散策と夕食を済ませる。

ホテルはパウエルストリートのケーブルカー終点の近くにあったので、まずはケーブルカーの撮影大会。とはいえ、既に日が傾いているので、撮影した写真は建物の影などが入り込んで薄暗くなってしまった。

終点には転車台があって、係員が手押しで車両の向きを変えていた。ケーブルカーなのに向きを変えるんだ。
それから夕食。細かいことは覚えていないが、通りを歩いていて、おいしそうだったステーキの店に入った。アメリカの食事は大味でまずい、という話は昔からよく耳にしていた。ステーキをトンカチで叩いてのこぎりで切る、なんて本当か嘘か分からないような挿絵も目にしたことがある。
だが、出てきたステーキはとても美味しかった。今回の旅で自分が食べた食事にまずかったものの印象がない。自分がバカ舌という面も否定できないが、自分がアメリカに移住しなければならなくなっても、生きていけそうだなと思った。
食事が済んだら、ぼちぼち写真ができあがる時間になったので取りに行って、仕上がった写真を受け取ってホテルの部屋でさっそく開けてみる。まぁ、うまく撮れている写真もあるし、そうでないものもある。持って行った一眼レフは、旅行の少し前に父が買ったもので、まだ使い慣れていなかった。デジカメのように、撮影後すぐに仕上がりを確認することなどできなかったので仕方なしである。もちろん今更撮り直しもできないので、失敗の写真を残念がってもしょうがない。
写真ははがきサイズで印刷されていた。アメリカはやっぱりなんでも大きいねぇなんて、現地では笑っていたが、帰ってきて困ったことになった。日本で写真を現像すると、大抵サービス版と呼ばれるサイズの紙にプリントしてくれるので、はがきサイズの写真が入るアルバムなんてものが売っていないのである。写真は300枚以上あるので改めて焼き直すわけにもいかない。結局はがきサイズの写真に対応したアルバムを見つけるまで、5年以上フィルムエンベローブの中で眠らせることになってしまった。それはさておき。
写真を見て、少しホテルで休憩してから、再度ケーブルカーの駅の方へ散策しに出かけた。切符を買うためである。

券売機はケーブルカーの駅のすぐ脇にあった。駅舎などがあるわけではなく、券売機も道端にしれっと置かれていた。
明日はツアー最終日である。終日フリータイムで特にツアーなども手配していないので、市内を散策して回ることにしている。父は再び海岸の方に行ってみたいと言い、自分は前述のとおり、市内の鉄道路線を乗り歩くツアーがやりたかった。
協議の結果、午前中に市内散策をし、午後に鉄道乗り歩きをすることになった。