ほぼ日本一周ツアー【１１】（2000/09/22）

一畑電気鉄道：

2000/09/22

今回のあてどないぶらり旅もいよいよ佳境、本日が最終日である。
夜ここを出発するサンライズ出雲に乗って東京へ凱旋するのでそれまでが自由時間。

朝起きて窓を開けたらなんか微妙な天気。これはちょっと降られるかもしれない。
まぁそうはいっても、チェックアウトの時間には部屋を追い出されてしまう。そうぐずぐずとはしていられない。

とりあえず再び本館に出向いて朝食をいただく。朝食もまぁまぁなメニューだった。
それから荷物をまとめてチェックアウト。

さて本日は山陰地方唯一の私鉄である一畑電気鉄道（現：一畑電車）の写真を撮りに行くことにしている。
鉄道の写真を撮影するだけなら最寄りの松江温泉(現：松江しんじ湖温泉)駅まで歩けばそこに停まっている電車を撮影できるが、いくら何でもそれでは芸がないので旧大社駅と出雲大社に行ってみることにした。

まずはＪＲで出雲市駅へと向かう。

松江駅で入線してきたのはキハ５８だった（上の写真の列車ではない）。当時はまだその辺で走っている車両だったので乗車して特に趣を味わったりすることはなかったが、手入れが悪いのか走行中車体のあちこちからガタピシという音が鳴っていたのが印象深い。寄る年波には何とか、ってやつか。

出雲市駅で降りたらそこから出雲大社前駅まで一畑電気鉄道に乗車。
一畑電気鉄道は電鉄出雲市駅から宍道湖の北岸を松江市中心部にほど近い松江温泉駅まで結ぶ路線と、途中の川跡（かわと）駅から出雲大社前駅まで結ぶ路線の２路線を運行している。経営状態は決して良好とは言えず、近年は南海と京王の中古車がその運用に当たっているが、少し前まで昭和初期のクラシカルな電車が多数走っていた路線である。

電鉄出雲市駅から自分を運ぶのは元南海２１０００系の３０００系であった。昭和初期の旧型電車ではなかったがこの電車もなかなかに古い。

そして、途中の川跡駅で大社線に乗り換え。
南海の電車の間に挟まれているのが元京王の２１００系。当時の一畑電鉄の車両が一堂に会す。

川跡駅奥の留置線に元西武の６０形が停まっていた。この旅行で持参したカメラは写ルンですだったのでズームも何もなしでホームから撮影した写真だ。小さく映っているのをトリミングしたら流石にぼんやりしてしまった。

当時はほぼ引退状態だったはず。こんな遠い所から撮影してもしょうがないなと思いつつ撮影したが、今思えば撮影しておいてよかったと思える車両である。

国鉄大社駅跡と出雲大社：

そして終点の出雲大社前駅まで乗車。そこからまずは旧国鉄大社線の大社駅跡の建物を見学しに行ってみることに。

出発から微妙な雲行きだったが、駅から出たあたりでとうとうパラパラと雨が落ちてきた。慌てて折り畳み傘を取り出したが実はこの日も荷物を駅でデポしてくるのを忘れてしまい今フル装備状態である。

肩には重たいスポーツバッグ、手には折り畳み傘。歩きにくいったらありゃしない。。。

そして、えっちらおっちら歩いて大社駅へ。
国鉄大社線は出雲市駅から大社駅までの間を結んでいた国鉄路線であるが、平成の世に入って程なく廃止されてしまった。

だが大社駅は重要文化財に指定され保存されることとなった。

さっきパラついた雨は少し前に一旦上がったが、積乱雲が続々と頭上を通過していく中で撮影したので写真が夕方みたいに暗い。
撮影してから駅舎内に入ったら直後に盛大な夕立。とうとう降り出したか。。。

夕立ならほどなく止むだろうということで、駅舎内のクラシカルな設備の数々を見学しながら雨宿り。

少ししたら雨が上がったので今度は出雲大社へ移動。雨上がりの直後なので雨煙にけぶったような写真になった。

出雲大社は縁結びの神様として知られている。だが今の所自分は寂しいが結ばれたい縁があるわけではない。そう言う意味ではちょっと場違いな気がしないこともなかったが雨で人影が途切れてたからまぁいいかｗ

それから境内を一周して駅に戻ってきた。

出雲大社前駅は国鉄の大社駅の純和風建築に対抗したと言われている洋風の建築になっている。こじんまりとした駅舎だがこちらはこちらで味のあるデザインである。

ホームにはこれも元京王の５０００系を改造した５０００系の出雲大社号が停車中だった。
ここから再び一畑電鉄に乗って終点の松江温泉駅まで乗車するわけだが、出雲大社号よりも先に出発する列車があったのでそちらに乗車。

乗った車両はまた３０００系だった。各駅に停車しながら松江温泉駅を目指す。折からの雨で車内は湿気ていて窓が結露していた。
その窓越しにコントラストの低い宍道湖の水面が見えたり見えなかったり。地元の高校生たちの通学時間に当たったらしく途中駅からゾロゾロと乗車してきて一頻り車内が賑やかになるが、一駅ごとに彼らを降ろしてそのうち再び静かになった。

これぞローカル線の醍醐味である。こういうのに乗りたかったのだ。経営状態は苦しいとのことだが頑張って残って欲しいなと思う乗車体験だった。