ギリギリ北海道【４】（2003/09/14）
上川アイスパビリオン：
軽い仮眠のみで７時くらいに起床となった。Ｓ君にうちらはこれからアイスパビリオンに行くけどどうする？と聞くと一緒に行くよ、とのことだった。
アイスパビリオンなる施設は旭川の先の上川町と言う所にある。正しくは上川アイスパビリオンという、ややＢ級？なスポットである。多分旭川動物園とかを訪問する方が正しいカップルのデートプランになるような気がするのだが、本日の目的地は旭川ではなく、その先の網走でもなく、さらに先にある知床半島のカムイワッカ湯の滝なのだ。そこまで行くことを考えたら旭川でのんびり動物を見ている時間はない。とはいえただひたすら移動もなんだからちょっと息抜きのつもりで行ってみよう、と言うわけである。
アイスパビリオンを目指して準備もそこそこに上川町を目指して出発。で、到着。
上川町は明治の頃に日本で一番低い気温を記録した町である。その温度－４１℃、バナナで釘が打てる温度だ。
その－４１℃と言うのがどういう世界なのかを体験できるのがこのアイスパビリオンである。
この施設は９９年の旅行でも訪ねているが、カミさんにもそのアホらしさをぜひ体験してもらおうと思って再訪した次第。
受付を済ませるとダウンのジャンパーを渡される。それを着込んで順路に従って進むと最初のゾーンがー２０℃を体験できるエリアとなる。自動ドアで仕切られた区画の中は冷気に包まれている。
だが外が汗ばむくらいの陽気だったので体が温まっている。ジャンパーの断熱効果もあってそれほど寒さは感じない。まぁ、そう思ったのはー２０℃エリアに滞在していたのがせいぜい数分程度だからだと思うが。
そして更に進むとー４１℃の体験ゾーンへと入る。
－２０℃ゾーンより一回り頑丈そうな自動ドアを開けると、中から冷気が噴き出してくる。通常、冷凍庫の温度はせいぜい－１０℃である。－２０℃でも相当な低温だがその倍である。きっと入った瞬間鼻水が凍るような痛い寒さに見舞われるのだろうなと覚悟していたのだが、中に入った瞬間はそこまで寒さを感じなかった。その冷気を寒いと感じるには少しタイムラグがあるのだ。最初の１、２分は全然余裕、未だ外気によって高められた体温が下がり切っていないので、それまでの間はー４１℃の世界など恐るるに足らずだ。
だが、あくまでそれは入室して１、２分の話。猛烈な冷気によって体温はどんどん奪われる。なんかやっぱり寒いかな、と思う頃には体ががっつり冷えているので途端に猛烈な寒気が襲ってくる。すぐに歯の根がガクガク震え始める。
もうそうなったら早く出たくて仕方ない。足早に部屋を出た。
仕切りの外は出口で常温の世界。つまり７０℃近い気温差があるのでカミさんの眼鏡が一気に曇った。それを見て笑っていたらくしゃみが出た。と同時に鼻水も垂れてきた。まずい、温度差で鼻炎になってしまった。カミさんのことを笑っている場合ではない。。。
とまぁ上川アイスパビリオンはかような施設である。もし興味がある方はぜひ。
で、鼻をすすりながらＳ君に我々の次の目的地が網走になることを伝える。２人はどうする？と聞くと、網走行くっしょ！とのこと。そういうノリか。あれ、ちょっとしたドライブと言って奥さんを連れ出したんじゃなかったっけ？北海道基準では網走に行くくらいはちょっとしたドライブの範疇なのだろうか？
まぁそこはＳ家の事情。２人が折り合い付いているならいいや、と言うことで再び先に進む。
しかし双方が別の車で移動しているのでお互いの会話はない。車を降りている時だけしか会話できないのだが、車を降りたら降りたで新婚水入らずを邪魔するのも悪いかなと思って、あまり積極的に声をかけないようにしていた。なので一緒に行動する意味はぶっちゃけあまりない。カミさんも流石に大丈夫かなと不安がっている。
それはさておき、北海道の国道は「●●号」ではなく「●●国道」と呼ばれている。網走方面へ向かう国道３３３号線は「上越国道」「遠軽国道」と呼ばれている。
北海道には険しく入り組んだ山が少ないせいか、道は広くゆったりと続いている。だから走る車は基本的にみんなペースが速い。流れについて行くように８０キロ程度の速度で走っていてもそれを猛スピードで追い抜いていく車がたまにいる。まぁ集落以外に信号もないのだからそれも当然か。それぞれの街の間が離れているので急がないといつまで経っても目的地に着かないと言うのもあるかもしれない。
そうして快調に走っていくと燃費はどんどん良くなる。気が付いたらスパイクの平均燃費表示に１８キロと表示されていた。こんな数字見たことない。流石は北海道と思った。
それでも目的地である網走までは３時間余りの道のりだ。遠い。カミさんも少し前から助手席で舟をこぎ続けている。
能取湖のサンゴ草：
網走に近くなったのでカミさんを起して、どこか行きたいところがないか聞いてみたら能取湖のサンゴ草を見に行きたいといった。
サンゴ草とは正式にはアッケシソウと呼ばれる植物で秋ごろに赤く色づく品種だそうだ。
自分の人生において草を見物しに行く日が来るとは思いもしなかった。やっぱり人が違えば見たいものも変わるのだなぁ、と改めて感心した。
カミさんが見たいというのなら、と言うことで能取湖に進路を取る。
時期は丁度ドンピシャで、赤く色づいたサンゴ草はまるで赤いじゅうたんを敷き詰めたかのようだった。
ウッドデッキの散策路には鈴なりの見物客。こんなに見たいと思っている人がいるのか。
さて、ここまで同行していたＳ君夫妻。この後どうする？滝行く？と聞いたら、釧路にでも行くよ、と言ってここでお別れとなった。流石にＳ君もこの微妙な空気感に気が付いたか。
で、我々はカムイワッカ湯の滝を目指す。ここはカミさんがテレビかネットで調べてきて、ぜひ行きたいと言っているスポットだった。なので今回の旅行でマストの観光スポットとなる。
この滝は水源が温泉で川全体がお湯になっているらしい。そんなエルドラドのようなところがあるのか。その滝壺はそのまま湯舟になり野趣あふれる入浴が楽しめるそうだ。
ただし滝は数段の連瀑になっていて下流ほど湯温が下がるので、最下流の滝壺はお風呂として浸かるには流石に温いらしい。そのため適温となる滝壺に入るためには少し滝登りをしなければならない。
滝登りとなればそれなりの時間が必要になりそうなのだが、この時点で昼時はとっくに過ぎていた。
あまりのんびりしていると日が暮れてしまうので、Ｓ君たちと解散した後は少しペースを上げて現地へ向かった。