ギリギリ北海道【7】(2003/09/15~09/16)
フェリーに乗れたのはいいが・・・:
手続きを済ませて乗船する。帰り道くらいはゆっくり休みたかったので、2段ベッドの部屋を予約してある。寝台列車のB寝台のようなカーテンで区切られた区画だが、雑魚寝部屋よりは万倍快適に過ごせそうだ。そしてこの判断は正解だった。何しろ風邪っぴきである、雑魚寝部屋にしていたら、周りにいる人に移してしまいかねない。
手荷物を置いてベッドに横になる。久しぶりの平らな布団は快適そのもの。出港するかしないかのうちに爆睡していた。
大洗到着までは19時間もある。寝ようと思えば充分眠れる。ここで回復させておきたい。
数時間後にカミさんに起こされ、具合はどうか聞かれた。途中起きることもなく熟睡していたが、体のだるさは一向に解消しない。それからまたウトウトしていたら、再びカミさんに起こされた。小ざっぱりした表情で立っていて、お風呂が気持ちよかったから入ってくれば?と勧められた。
せっかくだからと入りに行ってみることにしたのだが、船の揺れのせいか分からないが、なんかフラフラする・・・。服を脱いで浴室に入ったのはいいが、体を洗おうと洗い場の腰掛に腰を下ろしたら目が回る。船酔いなのか何なのか、とにかく気分が悪くなってきた。なんだ俺、死ぬのか??
湯船でのんびりなんていう気にはなれなかったので、シャワーだけ浴びて終了。ベッドに横たわったらまた爆睡。
死ぬかと思った:
2003/09/16
気が付いたら朝だった。相変わらず体はダルいままだ。ダメだ、回復していない・・・。食欲もあまり無く、乗船前に買っておいたお菓子とかおにぎりとかで済ませてすぐ布団に逆戻り。
そうしてほとんどの時間をベッドで過ごしていたら、いつの間にか大洗に到着していた。この間にカミさんが何をして過ごしていたのかは知らない。それだけ寝たにもかかわらず、体調は回復の兆しを見せないどころか、更に喉は腫れて咳や鼻水が止まらない。
時間は既に20時近い時間だったが、朦朧としている自分の様子を見て、さすがに心配になったらしく、医者に行こうと言われた。
それで夜間診療をしている医者を見つけて駆け込んだ。先生は自分の体をあちこちチェックしながら、いやーよくこんなになるまで頑張ってたねぇと言った。え?そんな酷いの??
先生は続けて、
「熱も8度5分あるし、軽く喘息の発作も起きてますね・・・。点滴をして安静にしていれば少し落ち着くと思うから、今から点滴して行って下さい。」
喉は痛いし体はダルいし、意識はもうろうとするしで、なんだかしんどいなぁと思ってはいたが、診断を聞いて納得。むしろ旅行中に診断を聞かなくて良かったかもしれない。途中で聞いていたら気力が途切れていたかもしれない。
それはそうと、そんな人間のすぐ隣で何日も一緒に過ごしていたカミさんは、伝染る気配すらなくピンピンしている。伝染さなくて良かったと思うと同時に、どんだけ頑丈なんだ、と妙な感心をしてしまった。
先生に言われるがまま、点滴を受けて30分ほどベンチで安静にしていたら、体が随分と楽になった。こんなに劇的に変わるものなのか。自分が治療を受けている間、カミさんはずっと待ちぼうけ。でも嫌な顔はしていなかった。それが安心材料だった。
先生にお礼を言って病院を出発。時間は既に22時近い。今日はこの後カミさんを家に送り届けて、自分も帰宅しなければならない。点滴のおかげで体は随分と楽になったが、今度は猛烈な睡魔が襲ってきた。でもここで力尽きるわけには行かない。カミさんに横から声援を送ってもらいながら、どうにかカミさんを送り届けることができた。
さぁ、後は自分が帰宅できれば、今回の旅行は大団円である。だがこの先1人のドライブになる。眠くなった時に励ましてくれる人がいない。そこはかとない不安も残るが、とにかく安全運転で帰ろう。高速に入ってまっすぐ自宅を目指す。案の定再び睡魔に襲われた。
夜中なので走行する車はほとんどなかったが、念のためスピードは控えめにしてずっと走行車線を走るようにしていた・・・のだが。
「ーーーっ!!!」
次の瞬間、追い越し車線を対向車線の方向へ向けて斜めに走っていた。その先には中央分離帯のガードレールが見える。慌ててハンドルを切ったら、車がふらついて追い越し車線と走行車線の間を大蛇行。
幸いどこかにぶつかることも、急ハンドルによって車が横転することもなく、体勢を立て直すことができたが、心臓止まるかと思った。周りに車が走っていなくてよかった・・・。
同じラッキーは2度とないと心得て、すぐさま手近のPAに入り込んだ。この状態で家まで運転続行するのはあまりに危険な行為だと思った。
まぁ、カミさんは無事送り届けられたわけだし、最悪自分が遅刻するだけだから、無茶な運転して死ぬよりはその方がいい。朝までここで仮眠して早朝に帰宅することにした。リアシートを倒して作った寝台は思った以上に安眠できた。
気が付いたら朝になっていた。そして体調はすっかり回復していた。薬の力ってすごいものだ。すっかり快調になったので車を飛ばして帰宅。急いで準備を済ませて出勤したら、どうにか遅刻せずに済んだ。最後の最後までギリギリの旅だった。
あとがき:
なんだかんだと反省点の多い旅行だったが、一番はスケジュールの見通しが甘かったことだ。そのせいで全ての行動がケツかっちんになってしまい、カミさんの初北海道への期待に充分応えられたとは言い難い旅になってしまった。
そうそう、カミさんがなくしたといっていた腕時計だが、車の中をくまなく探したが結局見つからなかった。やはりカムイワッカ湯の滝に置き去りにしてしまったようだ。そうなると車を停めていたところに自分の靴と女物の腕時計を忘れてきたわけで、どんだけうっかりしているんだよと見つけた人に笑われているかもしれない。
仮に忘れ物としてどこかに届いていたとしても、どこに問い合わせればよいか分からないので結局回収は諦めたのだった。
ちなみにカムイワッカ湯の滝は、のちに知床半島が世界遺産に認定されたのを機に、登れる範囲がだいぶ制限されてしまったそうだ。現在は滝までマイカーで入ることもできず、斜里町内からバスで運んでもらう必要があるらしい。
そう考えるとまだ自由だったあの頃に登れてよかったなと思った。もう行きたくはないが。
(おわり)
