沖縄離島探訪【3】(2006/11/20)

湧水ムイガー:


さて、自分だけが満足して次の見どころへ。
その見どころはムイガーという。なんだか戦隊もののヒーローの名前のようだが、宮古島でかつて使われていた井戸のひとつである。ダムの次は井戸か!

一応こちらの井戸は島のガイドブックなどにも記載されている観光名所になっている。

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宮古島は基本的に平坦な島と言うことだが、こうしてみると案外起伏がある。特にこの辺りの海岸線は高い崖になっていて、白いビーチの印象が強い宮古島のステレオタイプなイメージとは随分とかけ離れている。

アップダウンの続く道を非力な軽自動車でえっちら進んでいくと、道端に「湧水 ムイガー」の標識があった。

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ここからはハイキングコースのような遊歩道を進む。
写真手前の陸地とその奥に広がる海との間の高低差が大きそうに見える所にご注目。

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2つ上の写真でもその片鱗を見せていたが、この辺りは結構な崖になっている。遊歩道は崖下へ降りる道となっている。
その途中から崖下を覗くと海面とほぼ同じくらいの高さの所にため池が見える。これがムイガーである。ムイガーの「ガー」は宮古島の方言で井戸を指す言葉だ。

福里地下ダムの項でも触れたとおり、地下に浸透した雨水が泥岩の層を辿ってこういう所に湧出する。
逆に言うとこれよりも上ではいくら井戸を掘っても水が出ない。そのためかつての島の人たちは飲み水を得るために1日何度もこの崖を上り下りしたという。

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今立っている場所からさっき通ってきた道のある方向を撮影したのがこの写真。真水が得られる場所がこうした荒々しい崖の波打ち際にしかないのである。毎日の上り下りもうんざりだが、ひとたび天気が荒れたら水くみ場に近づくことすら容易ではなくなってしまう。そうした環境で日々の生活を維持していかなければならなかった昔の人の苦労がしのばれる。

 

さて、再び車に戻る途中の道に何やら文字のようなものが書かれているのが見えたのでちょっと見に行ってみた。

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暫く何と書いてあるのか解読に苦労したが、よく見ると「ワイドー」と書かれていた。ワイドーは宮古の方言で、標準語でいうところの「頑張れ」と言う意味だ。

なぜ道端にそんなことが書かれているのだろうか。色々想像を巡らせたが、よく考えてみたら宮古島はトライアスロンの島だった。
恐らくこの道がそのコースとなっているのだろう。

 

ふと時計を見ると時間はもう15時を回っていた。今晩は石垣島に渡って1泊するので夕方に石垣島行きの飛行機に乗ることになっているのだが、その時間は17:05。もうそんなに時間がない。気が付けばまだ昼食も食べていない。そろそろ何か食べておきたいところだ。

職場に宮古島に縁のある人がいて、旅行前にその人から宮古島の有名な沖縄そばの店を紹介してもらっている。カミさんは沖縄そばがあまり好きではないらしく、その話をしてもあまりいい顔をしていなかったが、折角紹介して貰ったのに行かずじまいというのも何なので食べて何かしら感想を報告しようとその店に行ってみることにしたのだが、着いてみると店は繁盛していて行列になっていた。

その行列を待っていたら飛行機に乗り遅れてしまうかもしれない。カミさんも乗り気じゃないので飛行機の時間の都合を言い訳にして結局行くのをやめた。とは言え腹は減っている。他の店を探してみようと周辺をウロウロしてみたのだが、2人が今食べたいものに一致する店が見つからない。道すがらに弁当屋があったのでそこならめいめい好きなものが食べられるからいいかなとも思ったが、流石に島まで来て弁当と言うのもなんだかパッとしない。

決まらないんだから石垣に着いてから夕食でもいいかな、と思い始めた時にカミさんがもう弁当食べちゃおうよと言った。カミさんがいいならいいかと言うことで結局その弁当屋で弁当を買って車の中で食べた。

 

そうこうするうちもう出発の時間である。レンタカーを返却して空港に戻り搭乗手続きを済ませる。
振り返れば宮古島に来てやったことは、ダムを見て、井戸を見て、弁当屋で弁当を食らっただけだ。流石に新婚旅行初日の行動としてこれはいかがなものか。。。

まぁ、明日以降はちゃんと人並み?のアクティビティを考えているので、こうご期待!

 

石垣への空路:


宮古島から石垣島へ向かう航路は便によってRACのプロペラ機かJTAのジェット機のいずれかで運行される。自分はまだプロペラ機に乗ったことがないのであえてプロペラ機で運行される便を選んだ。

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チェックインの際に渡されたチケットは磁気テープがないものだった。磁気テープがないので手続きはすべて手作業。何ともアナログだがこうした小道具(小道具じゃないな)が離島を旅している雰囲気を盛り上げてくれる。何時までこのような光景を見ることが出来るのだろうか。

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飛行機への搭乗はエプロンから行うということで、駐機している飛行機のすぐ近くまで地面を歩いていく。これまた珍しい。

この飛行機が我々を石垣に運んでくれる飛行機だ。流石に小ぢんまりとしている。

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機体の位置がそれほど高くないので、こんなかわいらしいタラップで搭乗する。

乗り込むと機内は2席の座席が両側に並び、真ん中に通路と言うレイアウト。自分は窓側の席に座らせてもらったのだが、壁が機体の曲面に合わせて強くカーブしていて足元が少し窮屈な感じだった。

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着席したら程なく離陸時刻となり、滑走路へ移動したあとプロペラが回転の速度を上げた。なかなか盛大な音である。

回転が安定したらいよいよテイクオフだが、ジェット機のように座席に押し付けられるような急加速でもなく、ゆるゆると加速してほどほどの速度で離陸。飛行機に乗るのが怖いという人でも、もしかしたらこれならそんなに怖くないかもなと思った。

写真のとおり自分の席は主翼の近くだった。だがプロペラ機の主翼は屋根上に固定されているので、窓からの景色は下方を遮るものがなく見晴らしがよかった。
そして目の前でぶんぶん回るプロペラを眺めているのもなんか面白かった。

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離陸して数分後伊良部島・下地島の上空を通過。

既に外は日が落ちて夕闇迫る時間帯だったので目視は出来るものの写真は上手に写せなかった。何度か試行錯誤して比較的まともに撮影できたのが上の写真だ。

右側が伊良部島、左側が下地島で下地島にはジャンボ機がタッチアンドゴーの練習をする下地島空港が見える。
そして両島が向かい合っている部分に小刻みに蛇行しつつ島を隔てている海峡の様子が良く見える。伊良部も下地も対面している部分の陸地の長さがほとんど同じである。中央の海峡がなければひとつの島だったとしても全く違和感のない海岸線の形状をしている。
特段の高低差があるわけでもなく、ここに海峡が形作らなければならない理由が全く思い浮かばないが、どうしてこうなったのであろう。

 

そんな伊良部・下地島を通過すると、この先石垣島までの間に多良間島や水納島があるということなのだが、その頃には完全に闇夜となってしまいそれらの島の姿は目視できなかった。

なんとものどかで優雅なプロペラ機の旅だが宮古から石垣までの間はわずか35分のフライトである。安定飛行に切り替わったと思ったらほどなく降下開始、あっという間の空の旅だった。

あっという間と言えば大東諸島の北大東島と南大東島を結ぶ空路はわずか10分のフライトだそうだ。10分で離陸から着陸までを行うフライトがどのようなものなのかとても興味がある。だが大東諸島は沖縄本島からかなり離れたところにあるので気軽に行けないのが悩み。いずれにしても死ぬまでに一度は訪問してみたい島のひとつだ。
(この空路は残念ながら2024年に廃止となったため、体験は叶わぬ望みとなった)

Posted by gen_charly