沖縄離島探訪【9】(2006/11/21)

西表島温泉:


食後、少し腹が落ち着くのを待ってから温泉に向けて出発。西表島のナイトドライブはどんな感じだろう?

宿を出て数百mばかりの集落を抜けると、その先は道に街灯すらない県道が続いていた。ヘッドライトを点灯しないと真っ暗闇である。街灯のない道の運転は久々なのでパジェロミニで移動しているということも相まって冒険心を掻き立てられまくった。

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そんな道を進んで暫く行った辺りでカニが道を横切るようになった。踏んだらかわいそうなので最初のうちは踏まないよう避けながら進んでいたのだが、程なく道路を覆い尽くさんばかりの大量のカニが道を埋め尽くしていた。これは無理ゲー。

前に別の車に踏まれてしまったカニがそこかしこで力尽きている。できるだけ踏まないように気を使ったが、それでも自分も何匹かに引導を渡す羽目になってしまった。

西表島といえばイリオモテヤマネコである。言わずと知れた天然記念物。天然記念物になるくらいの生き物だから容易に見られるとは思っていなかったが案の定全くその姿を見かけることはなかった。

道がそんな状態なので優雅に流すことも出来ず、ハンドルを右に左に回しながらカニを避けて進むドライブとなってしまい、勢い速度も乗らない。結局温泉まで1時間弱かかってしまった。もし明日の朝も道がこんな状態だったら船に間に合わなくなるかもしれない。その時は心を鬼にして進むしかないだろうか。

 

西表島温泉は島で唯一の温泉施設である。入浴料金は1200円、日帰り温泉の値段としてはやや割高だがここは日本最南西端の温泉である。是が非でも入っておきたいところ。迷わず料金を支払った。

ちなみにこの温泉は露天風呂が混浴になっている。流石に水着着用だが運が良ければ目の保養になるかもしれない。内湯は男女別で一旦男湯と女湯に分かれるため、とりあえずカミさんには適当なタイミングで水着を着て出ておいでと伝えてそれぞれの浴室に移動。

内湯はいくつかの湯舟があるのだがこちらは水着は脱ぐ必要がある。入っておきたい気もしたが一旦体を濡らすと海パンを履く時に苦労しそうだったので内湯はスルーした。

更衣室で海パンを履いたあと、内湯を素通りして奥にあるもうひとつの扉から外に出る。外は広い庭園のようになっていてプールと露天風呂が点在していた。露天風呂としては大きな湯舟がひとつと、その周辺に2,3人くらいで入れそうな湯舟が点々と置かれているレイアウト。

カミさんの姿を探すが見当たらなかったので内湯にでも入っているのだろうとその辺の空いている湯舟に浸かった。
・・・なんだかぬるい、39℃くらいだろうか。沖縄では元々湯船につかる習慣があまりないため熱めのお湯は好まれないらしい。まぁ、あちこち巡ったら温まるかな。

湯船に浸かりながらカミさんの姿を探しつつ周りを見回わす。残念ながらいるのは殆ど家族連れだった。西表島はそもそもリゾート地ではないからそう言う趣向で訪れる人が少ないのかもしれない。

やがてカミさんが露天風呂エリアに出てきて合流。それから一頻り日本最南西端の温泉を楽しませてもらった。1時間ほど他愛もない会話をしつつのんびりしたが、いい加減のぼせてきたので終了。休憩所で少しのんびりしてから宿への帰路に就いた。
(註:2024年現在、西表島温泉は閉館してしまったとのこと)

 

相変わらずそこいらじゅうにカニがウロチョロしている。難儀なものだ。。。と、道の片隅に何か大きな影が見えた。
ウミガメかなんかが迷い込んでいるのだろうか、と思いつつ車を寄せたら、

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ヤシガニだった!ヤシガニは食べると絶品だと聞く。市場でもかなりの高値で取引されている生き物なのできっと希少なのだろうと思っていただけにこの遭遇はちょっと嬉しかった。

なんなら捕まえて宿に持って帰って調理してもらおうか、とすら思ったが、この時間に女将を働かすわけにもいかないし、何より生け捕りにするための道具が何もない。ヤシガニのハサミはかなり強力で本気を出したら人間の指くらいなら軽く折るほどだというのだから迂闊に触れない。

ということなので写真を撮るだけにしておいた。でもいいものが見れた。

更に真っ暗な道路を進んでいくと目の前を何かが素早く横切った。慌てて車を停めてその生き物が突っ込んでいった藪の方を見たらネズミっぽいシルエットの生き物の姿が一瞬見えた。だがネズミにしては妙にデカ過ぎる。30cmくらいはあっただろうか。もしかしてヤマネコ!?と車内が騒然となったが、走り方がウサギのようなピョンコピョンコとしていたので猫っぽくない。
かといって島にウサギがいるという話は聞かないし、ましてデカいネズミだとなれば既にちょっとした名物になっているはずだ。そう考えるとどちらでもないのか。。。

あの生き物は何だったのだろうか?

 

前述のとおり西表島温泉の辺りから上原の集落までの間は集落が全くない。真っ暗な道をヘッドライトだけを頼りに進んでいくので景色に抑揚がなくだんだん眠くなってくる。風呂上がりで体が温まっているのもそれに輪をかける。

それは自分だけではない。隣のカミさんはデカいネズミに興奮したかと思ったらもう居眠りをこいている。それを見ていると自分まで眠くなってくる。でもこんなところで力尽きる訳には行かない。お布団でゆっくり寝たい。必死にあれこれ眠気冷ましをしながら車を走らせたが、集落に入ったらもうすぐだという安心感で気が緩んだのか一瞬落ちてしまった。
次の瞬間目の前にはカーブ。慌ててハンドルを切って事なきを得たがちょっと焦った。すれ違う車も一切ないような場所だったからよかった。

 

宿に戻ったのは22時過ぎだった。明日のことを考えるとぼちぼち就寝の時間である。

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カミさんと布団の上でごろ寝しながら暫し旅の思い出を整理。隣の部屋から3,4人くらいのおじさんが談笑している声が聞こえてくる。
この民宿は工事関係者なども利用しているのだろう。

まぁ、そういう賑やかさも民宿の醍醐味。

Posted by gen_charly