沖縄離島探訪【24】(2006/11/24)
はての浜:
クルーザーはオーハ島とはての浜の間の海をまっすぐ進んでいく。視界の先には白い砂浜だけが海から盛り上がったような陸地が見えている。
手前にはメーヌ浜、ナカノ浜も見えているが、目的地はあくまではての浜。
砂浜だけの島に船着き場なんて無粋なものはない。全てが自然のままである。砂浜に船の先端を付けてそこから飛び移るようにして上陸。
この当時はパノラマ写真を撮るという概念がなかったので一部分しか切り取れていないが、これが果ての浜である。凄い景色だろ。
島は貸し切りかと思うほど閑散としていた。そんなはての浜が自分の島旅42番目の島となった。
見渡す限り白い砂浜が広がっているのみで海の家もなければ植物すらもない。だがここもオンシーズンになれば大層な賑わいを見せるらしい。この砂浜が湘南海岸顔負けの海水浴客で埋まっている写真を見たことがあるが、砂の地面が見えなくなるほどの芋洗い場の様相を呈していた。そんなタイミングでは絶対に上陸したくない。
でもシーズンオフともなればこんなものだ。ここでの唯一の楽しみを封じられているのだからそれも仕方なかろう。
とはいえこれだけ閑散としたはての浜と言うのもまた珍しい光景だと思う。惜しむらくは空模様、薄曇りなので空に抜けるような青さがない。写真も何とも言えないコントラストになっている。まぁ雨が降っていないだけマシではあるのだが。
久米島の方へと目を向けると目と鼻の先にナカノ浜が見えた。
オーハ島のイベントも現実感のないものだったが、この景色もまた現実感がない。ここは本当に日本か。
こうして文章を書いていてもあの日の出来事は夢だったのではないか、と言う思いが度々湧き上がってくる。
透明度の高い海:
あちこちキョロキョロ見回して物珍しい光景をカメラに収めた。その脇で一刻も早く海に入りたいカミさんがさっさと着替えを始めた。
久米島を出発する時は登山ルックだったが、あれでも一応海に入れるように中は水着着用で来ている。
着替えたはいいが水温はどうだろうか。地元の人が無理じゃないかなぁと言っているくらいだからあまり期待はできない。とはいえ今日は半袖でも汗ばむくらいの陽気だからギリギリで入れそうな気もする。足を入れてみた感じはちょっとした冷たさを感じたが、海ってこんなもんかなと思うくらいのもので入って入れないこともなさそうだ。この辺りはリーフの内側で水深が浅いので水温がその分上がっているのかもしれない。じゃあ入ってみようか、と言うことでまずは準備体操を念入りに。
自分は埼玉と言う海なし県で育った人間なのでこれまで海で遊んだことが殆どない。それでも何年かに1度くらい家族で海に行ったことがないでもないが、それとてもう15年以上前の話である。なので海はあまり得意ではない。
一気に入ったら冷たさで死んでしまいそうなので、水をかけながら体を慣らして静々と体を沈めていくと何とか入ることが出来た。入れないものだとばかり思っていた海に入ることが出来てよかった。これでカミさんも今回の旅行を良い思い出にすることが出来るだろう。
カミさんはスノーケルと水中メガネのいでたちで早速海の中を覗きながらその辺を泳いで回っていた。
自分は地面に足が付く範囲限定。泳げない訳ではないのだが久々すぎて足のつかないところまで行くのはちょっと不安だった。
しかし恐るべき透明度だ。顔をつけると何十mか先の方までくっきり見えている。こんな透明度の高い海初めてだ。地味に感動。
浦島太郎が見た竜宮城はこうしたものだったか、と思うほどあちこちに魚が泳いでいる。
西表島でも使った水中対応の使い捨てカメラを持ってきたので何枚か撮影してみた。
水中で好き好きに泳ぎ回っている魚を体のバランスを維持しながら撮影するのはかなり難しいものだと知った。しかもデジカメではないので写真の出来栄えは現像してみないと分からない。
そうして現像して出来上がって来たのが上の写真だが、他に撮影した写真は見れたものじゃなかった。
気が付いたら沖の方に流されてた、なんてことにならないよう時々顔を上げて現在地を確認する。水中に慣れてくると冷たさは全く感じなくなったが、体を起こして立ち上がると外気に触れる部分に冷たさを感じた。小学校のプールの時も思ったがなぜ外気の方が高いのに寒く感じるのだろう。
周りを見ると10mほど離れたところでカミさんもぷかぷか浮かんでいた。海に入るまでシュノーケリングで沖の方まで行って魚を見たいと息巻いていたのだが、自分はカミさんがどれほど泳ぎがうまいのかは知らないので、思わずやめときなよと口にしてしまった。それを聞いてなんか不服そうな顔をしていたのでガン無視で沖合の方に行ってしまうのではないかと思ったが、陸のすぐ近くでも透明度があって魚が沢山泳いでいるせいか、沖に行かなくても満足できたようだ。
休憩時間:
1時間ほど浮遊して一旦陸に上がった。ぼちぼち腹も減ったので昼食にしよう。
ちょっと手を付けた後に撮ったものなので見栄えが悪いが、出された弁当はおかずがたっぷり入ってボリューム満点だった。
しかも野菜系が多めなので海でお腹を冷やして痛くする心配も少ない。よく考えられている。
インプットしたら次はアウトプット、ちょっとトイレに行きたくなった。これまたビロウでごめんなさい。さっき島には海の家もないと書いたがトイレはある。ただし仮設トイレ。お世辞にも快適とは言い難かったがなきゃないで困るものだ。
そしてアウトプットが済んだらリラックスタイム。食後の一服である。カバンから煙草を取り出す。だがライターが見当たらない。どこ行った?
久米島を出港する前に一服してるので持ってきてはいる筈なんだけどどっかで落としたか?・・・とそこまで思いをめぐらした時にハッとした。恐る恐る海パンのポケットを探ると。。。あった。びしょびしょに濡れたやつが。。。
海に入っていた1時間そこそこの間でもう金属部分にサビが浮き始めていた。なるほど海岸沿いの設備がどんどんサビる訳だ。
食後の一服は喫煙におけるもっとも美味いタバコの時間だ。がっつり水没したライターなど着火しないだろうなと思いつつ悪あがき。もちろんダメだった。それでも往生際悪く何回もカチカチやっていたら、後ろで見ていたカミさんから呆れた顔で諦めなさいとたしなめられた。ぐうの音も出ない。
島内散策:
食事の後は船が迎えに来る時間まで島の中を散策してみることにした。と言っても砂場しかない訳だが。
とはいえ全く変化がない訳ではない。島の南岸側にはビーチロックが形成されていた。白い砂浜ばかりと思っていただけに意外。
こうしたビーチロックがやがてこの砂が吹きだまっているだけの砂嘴を島へと成長させていくのだろう。何万年と言うスパンで考えたら、はての浜もやがて宮古島のように隆起サンゴの島になっていくのだろうか。
散策と言っても、この島は東西1.5キロほどあるので端から端まで歩き回るような時間はない。あっても見渡す限り砂浜なのでどこまで行っても見えるものは一緒の筈。なのでちょっとビーチロックを見学したらもうおしまい。ただ船の時間までもうちょっとあったので戻り道でビーチロックの隙間に転がる貝殻を集めた。きれいな貝殻も沢山落ちているが、ものによっては中からヤドカリが顔を出すのでそう言うのはリリース。貝殻を手にして暫く様子を見て住民が出て来なかった物だけを収集。
散策から戻ってきたら丁度帰りの船が迎えに来たところだった。もうお時間ですか。
もう少しのんびりできたらよかったが、オーハ島にも立ち寄っているのでこちらの滞在時間が少なくなってしまうのは致し方ない所。
荷物をまとめて船に乗りこむ。行きの時に一緒に乗っていたカップルの姿はなく帰りは適度にばらけるようだ。