沖縄社員旅行2007【8】(2007/07/16)

山の茶屋楽水:


さて浜辺の茶屋だ。その名のとおり海岸沿いに建てられた小屋で海を眺めながらお茶やデザートなどを頂くことが出来るリゾートなお店なのだが、行ってみたら入口の前に臨時休業の看板が掲げられていた。一昨日の台風で被害を受けたらしい。残念。。。

その看板の傍らに姉妹店である山の茶屋楽水は営業中と書かれていた。すぐ近所にあるらしいが初めて聞く名前だ。新しく開業したのだろうか。ここまで来たらお茶の一杯も飲んで帰りたいと思い、そちらへ行ってみることにした。

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暫く走っていくとその店の看板が見えてきた。駐車場とされている場所に車を置いたが店の敷地までは少し離れていた。
山の茶屋を称するだけあって建物は斜面の上にあり、そこまで階段が続いていた。

石垣と石畳が沖縄の城跡のような雰囲気だが、古い城跡を流用したのか、はたまたそれ風に拵えたのかは不明。

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階段を登って入口の前に立ってなんだこれ、となった。なんか建物のパースがおかしい。ビックリハウスか。
こういった妙な作りの建物を建てるような店って、自然のままのとか、人間本来のなんて言葉をキーワードにしがちな印象がある。ここもそうだろうか。

扉を開けると中から店員が出てきて、今は少しお待ちいただく感じなんですと言われた。どんな感じやねん。
浜辺の茶屋が臨時休業となったことで我々のような客が流れてきているようだ。

時間を聞くと30分ほどと言うことだった。今更他の店を探すのも面倒なので順番に並ぶことにした。と言っても店内には待ち合わせスペースがないらしいので、道向こうの磯で暇つぶしをすることにした。

 

目の前の磯は引き潮の時間帯であるせいか、遠くの方まで潮が引いて海底が露になっていた。
磯に来ると俄然張り切るカミさん。その辺で棒を拾って磯の生物を見つけてはつついて遊ぶ。浜辺の生き物からしたらいい迷惑であるw

ただ、そうして磯の生き物と戯れていたら、あっという間に20分経った。ぼちぼち戻るかとカミさんを促して陸の方へと歩き始めたとき、進路の先に妙な色の生き物がちょろちょろと走り回っているのが見えた。

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それがこのカニ。ホタル玉みたいな鮮やかな青と漆黒のカラーリングも強烈だが、何よりハサミが巨大なのが凄く変だ。
しかもそのハサミは右手だけで左手にはついていない。なぜこんなアシンメトリーな構造なんだろう。

その時は世の中には何とも不思議な生き物がいるねぇ、なんて言いながら見ていただけだったが、帰宅後に調べてみたら、シオマネキというカニの仲間だそうだ。名前はルリマダラシオマネキという。
この一族のオスは、皆左右どちらかのハサミが巨大化しているらしく、それを振って求愛行動をする様子が潮を招いているように見えることからこの名前が付いたそうだ。

こんなに片腕がデカかったら、普段邪魔で仕方ないと思うのだが、カニにはカニの世界があるのだろう。

 

さて、こんなところで油を売っていたら店の順番が過ぎてしまうので、カニの見学はほどほどに店に戻った。
その途中、突然スコールのような雨が降って来た。店まで一気に行くか一度車に戻って傘を取ってから行くか一瞬悩んだが、結局一度車に戻って傘を取り出してから店に向かった。

店につくと順番待ちが程よく解消されていて、すんなり席に案内された。

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外側がパースが乱れたデザインとなっていたが、店内もそのコンセプトは変わらずだった。
元からある斜面をそのまま活かした作りになっていて、植物が繁茂している。なんか虫とかが入り込んできそうだ。

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中は個室風にいくつかの小部屋に区切られていて、我々が通された部屋もまた屋根裏部屋のようなこじんまりとした区画だった。
なんか妙に落ち着く空間だったが、写真のとおりどちらが上でどちらが下なのか微妙に分かりづらい作りになっている。

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原付はチョコレートケーキ、カミさんはチーズケーキをそれぞれ注文。味は濃厚でなかなか美味。
小さな窓からさっき散策してきた磯を見ながらのデザートは、浜辺の茶屋とも勝るとも劣らないリゾート気分を味わうことが出来た。

 

店を出ると既に雨は上がっていた。止んでくれてよかったねーなんて言いながら車に戻ったら、ドアを閉めるか閉めないかのうちに再び土砂降りの雨が落ちてきた。そのタイミングまでウチらタイミングいいねぇ、なんて言って雨に当たられずに済んだことを喜んだのだが、次の瞬間、店に傘を置き忘れてきてしまっていることが発覚。

雨が止むのを少し待とうかとも思ったのだが、なかなか降り止まないので、結局雨の中店まで傘を取りに行く羽目になった。
濡れないように持参したのに。。。

びしょ濡れになったが傘は無事に回収。

 

さて、帰りの便の時間も近づいてきたので、ぼちぼち那覇へ移動することにした。
那覇で少し時間が残ったのでお土産を手配する時間にあてがって、それから帰路に就いた。

 

あとがき:


こうして5回目の社員旅行も無事に幕を下ろしたわけだが、実はこの旅行と前後する時期に職場の業績が低迷し始めていた。これまで好調な業績を支えてきたビジネスモデルが徐々に立ち行かなくなりつつあり、その売り上げ減少分をカバーするための多角化経営として他の商材などの取り扱いを始め、それに従事する社員も増強された。

ところが、それらの商材はいずれもヒットするには至らなかった。そうなると採用してしまった従業員の人件費が経営に重くのしかかるようになってくる。

社長は社員全員とその家族みんなで遠い所へ行ってストレス解消をすることを望んでいたが、この業績で多くの社員を従えて旅行に出かけるなど、もはや到底経営陣や株主の賛同が得られるものではなくなってしまった。

というわけで一族郎党連れ立っての社員旅行は、この年を最後に取りやめとなってしまった。

 

自分にとってその決定は残念ではあったが、5年前に初めて宮古島へ連れて行ってもらったことで沖縄界隈のリゾート地でも自分のような陰キャが楽しめるような観光地があることを知ったり、離島めぐりをする楽しさを知ったりすることが出来た。
その一歩を踏み出すことはかつての自分にとってなかなかハードルが高いものだったが、職場で半ば強制的に現地まで連れて行ってもらったことで、そうした精神的なハードルをだいぶ下げることが出来た。

そうして新たな場所へ連れて行ってもらえるのであれば、それはそれでありがたいことだが、もはや自分らだけでもどこへでも行けるようになった。福利厚生に金をかけるなら従業員の給料に回してくれ、という意見をよく聞くが、まぁ、それはそれでもっともである。だが、自分にとっては、世界を広げてくれるいい経験だったなと思っている。

 

(おわり)

Posted by gen_charly