奄美大島上陸【7】(2007/09/21)

県道79号線:


2007/09/21

奄美大島3日目。昨日までは様々なアクティビティを終日詰め込んでいたが、今日から残りの日程は気ままに島内散策などをして楽しむことにしている。カミさんがどこかでスノーケリングをやりたいと言っているので、よさげな海岸があったらそこで少し海と戯れる時間も取りたいと思う。

準備を済ませたらレンタカーに乗って出発。奄美大島は北東→南西に長い島だが、北東側は細く南西側に向かうにつれて幅が広くなる二等辺三角形のような形状になっている。その島の南側を鹿児島から沖縄まで続く国道58号が通っている。

島の南西端に位置するのが瀬戸内町という町で、その中心市街地の古仁屋まで名瀬から国道58号経由で40キロほどある。そちらを進んでもよいのだが今回はあえて北岸沿いに延びる県道79号の方を進んでみようと思う。

このルートかなり大回りになり、古仁屋までおよそ90キロほどの道のりになるらしい。多分国道と比べたら貧弱な道だと思うので単純な距離の差以上に時間がかかることが考えられるが、島の海沿いに点在する集落の鄙びたムードを堪能することが目的なのでのんびり行ってみよう。

 

群倉:


名瀬の市街を出てるとその先はずっと山がちで、海岸にへばりつくように進むようなところも沢山ある。アップダウンを繰り返しつつ山の斜面に沿って右に左にカーブするような険しい道だ。

山を一つ越えると小さな湾がありその湾に面して小さな集落がある。こうした風景を何度も繰り返していく。
景色はとにかく素晴らしいの一言に尽きる。どの場所にいても見える景色が全てフォトジェニック。その一方見所的なものはそれほど多くない。

ゆえにあまりこの道について紙幅が割けないが、立ち寄った見どころについて何カ所かご紹介したい。

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名瀬を出て暫く行くとやがて隣村の大和村(やまとそん)に入る。

中心街は大和浜という集落で、その集落内にあるのがこの群倉(ぼれぐら)である。
一見かやぶき屋根の民家のようだがよく見ると屋根から下には柱しかない。この屋根の中が倉庫になっていて食品などの保管庫として使われていたそうだ。

奄美は高温多湿で害虫や害獣も多いことから、倉の床面を高い所にあげてそれらを防いでいるのだという。南洋の島々や八丈島などにも同じような形式の高倉があって、そうしたところから伝わったのではないか、とのこと。

詳細はこちらをご参照のほど。

 

さらに少し進むと大金久という集落がある。ここの海岸が綺麗だったのでちょっと降りてみることに。

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あわよくばここでスノーケリングと思ったが、水中は思いのほかすぐ深くなっているらしく、打ち寄せる波も少し高めに感じたのでここはパス。

代わりに少し砂浜を散策してみると視界の先に大きな海蝕洞が口を開けた岩礁が見えた。本土にあったらちょっとしたパワースポットに祀り上げられそうな神秘的な岩礁だが、特に観光地化されている訳でもなくガイドにも載っていない。現地で案内するものもないしなんなら地図で見ても特に名前が付いた場所ではないようだ。この辺りでは取り立てて珍しいものでもないということだろうか。

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砂浜の隅の方には小さな川が流れ込んでいた。写真のとおり一跨ぎできるほどの小川だ。
丁度カミさんが渡ろうとしていたので写真に撮ってみたのだが、目の錯覚でカミさんがものすごく巨大に見える。

そう思って20秒見続けてほしい。きっと見えるから。

 

徳浜の断崖:


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さらに進んでいくと視界の先にうずたかい断崖絶壁が見えてくる。100mくらいはあるだろうか。海岸とほぼ同じ高さの道の所から崖のてっぺんまでほぼ垂直に立ち上がっていて、通るものを威圧している。

道は崖の下に車がようやく通れるくらいの小さなトンネルを掘って反対側へと抜けている。まるで崖の機嫌を損ねないように遠慮しているかのようだ。

この崖は徳浜の断崖と呼ばれている。鎌倉時代の大地震によって出来たものらしいが元々断層でもあったのだろうか。これだけの規模で崩壊したとなったら相当な大災害だった筈である。撮影のために車を降りたが、こうして立ってる間に突然崖が大崩壊を始めるのではないかと思うとゾワゾワして落ち着かなかった。

その崖と反対側、海に面している方は歩道部分が鉄板で作られた桟橋になっているのだが、

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一面サビっサビになっていて、そこら中に穴が開いている。
その穴から大海原が見えた。こんな所歩いたらいつ何時踏み抜いて下に落ちるか分からない。

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徳浜の断崖をトンネルで抜けると名音という集落に入る。業界用語ではない。道はここで一旦山側に迂回して標高を稼いでからその先の断崖に挑む。
その途中、開け放した窓から子供たちのワイワイとした声が聞こえてきた。

聞くとはなしに聞いているとどうやら運動会の応援合戦の練習をしているようだ。小さな集落なのに意外なほど多くの声が聞こえる。
その声に和みつつ崖を越えたら岬の先端に綺麗に整列している岩礁が見えた。

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高い空、青い海、飛行機雲。沖縄本島で見たのと同じような青い海と青い空だが、山は険しく緑も濃い。だから沖縄のそれとはやっぱりちょっと違う。これこそが奄美なんだろうなと感じる風景である。

暫く海岸沿いに進んできた道は今里という集落にたどり着いたところで山のほうへと進路を変える。山あいを抜けると宇検村(うけんそん)に入り、再び海沿いに出た所が宇検の集落だった。

 

奄美なんだろうな、といえば地名も由来の分からない地名が多い気がする。沖縄の地名もまた由来が分からないものが多いが、奄美の地名はそれに輪をかけて耳馴染のない地名が多いように感じる。

上記の宇検という地名もそうだが、地図を眺めていると「●勝」、「●連」、「●鈍」という名前があちこちにある。なんか全体的に字面が堅くて勇ましい印象だ。当て字とも違う感じだがどのような由来があるのだろうか。

Posted by gen_charly