四国初日の出【3】(2007/12/31)
海部駅(その2):
元々この路線は牟岐と高知の後免までの間を結ぶ国鉄阿佐線となる予定の路線だった。両方向から建設が進められたが、建設途中で工事が中止されたため未成線となってしまった。建設が進められほぼ完成に近い状態となっていた区間を活用して、地元自治体によって設立された阿佐海岸鉄道および高知県側の土佐くろしお鉄道が建設を続行して開業させたものである。
高知県側はある程度まとまった沿線人口があり開業後もまずまず堅調に推移しているが、一方の徳島県側は沿線人口が希薄であるため上述のとおりかなり苦しい経営を強いられている。途中まで作ったのにもったいないというくらいの気持ちで引き継いだのかもしれないが、盲腸線だから他線への連絡需要がないうえに、その距離が短いとなれば苦しい経営にならないわけがない。第三セクターを設立する際に各種試算は行っている筈だが、当時どのような需要予測をしたのか気になる所ではある。
暫くすると牟岐線の接続列車が到着した。こちらはキハ185系の特急車が入線してきた。間合い運用で入ったのだろうか。
2両編成の反対側は国鉄時代のデビュー時のカラーリングに戻された車両だった。いい色だな。こっちの方が似合っているように感じるのは自分のひいき目だろうか。それにしても運賃のみで特急用車両を普段使いできるとはうらやましい。
列車からは結構な人数が下車してきて、駅のホームがひととき賑やかになった。だが乗客の殆どは阿佐東線には目もくれずに階段を降りて行ってしまった。寂しい限りである。
室戸岬:
駅での撮影を済ませたら再び室戸岬への道のりを進む。海部駅から室戸岬まではまだ結構な距離があり、たっぷり2時間近くかかって22時過ぎにようやく到着した。岬への入口となる道路を入って少し進んだところに駐車場があったのでそこを本日の停泊地とした。
車外に出て一服していたら後ろの方からネコがのてのてと歩いてきた。なんかエサをくれと甘えてくる。その姿がかわいらしくてカミさんに何かあげられるものない?と聞くと、んー、、、と言いながら何かを取り出して窓からポイと投げた。すぐさまネコはその投げられたものを追いかけてかじり始めた。様子を見ていると口元からカリカリという音が聞こえてくる。。。
カミさんに何あげたの?と聞くと、これしかなくて、、、と言って煎餅の袋を見せた。いや、煎餅はダメじゃないだろうか。
ネコの様子を引き続き見ているとどうにか食べようともがいている。暫くの間格闘していたがやがて諦めてどこかへ行ってしまった。だよな。。。
一服を済ませて車に戻るとその煎餅の匂いに引き寄せられたのか、今度はノラ犬がやってきた。さっきネコが諦めて放置した煎餅を見るなりひとしきり匂いを嗅ぎ始めたが、結局それは食べず食べられるものをくれという目でこちらを見た。いやぁ、あげられるものないんだよねぇ。。。
ということでお犬様はノータッチ。
さて、2007年も静かに(若干動物が賑やかだったが)過ぎようとしている。とりあえず残すところあと1時間と少し。ここは年越しそばで締めようじゃないか、ということでカミさんが準備を始めた。
が、ほどなく、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・コンロ忘れた。」
さいですか。。。
普段の旅行なら、じゃあもう寝るべとなるのだが、大晦日となれば年越しそばをすすらないことにはどうにも落ち着かない。仕方ないので近隣のコンビニに行ってカップそばを調達することにした。地図で調べるとここから5キロほど行ったところにあるようだ。
でそのコンビニの店内でそばを探すが、こんな時間に売れ残っている訳がなかった。ただカレーうどんはあった。仕方ない、これで手を打つか。
で、その戻り道。交差点に警官が立っていて停車を命じられた。え、何も違反してないよ。。。
不安な気持ちで窓を開けると、その警官は今晩は岬へ向かう道路を一方通行にしているのでこちらからは進めませんと言っている。恐らく自分らのように明日初日の出を見ようとするものが大挙して訪れて道が渋滞するからだろう。
一度山を越えて向こう側の道から岬へと向かってくださいというので、指示されるがまま反対方向へ進んでいくと道すがらに珍走団とすれ違った。なんだかね。こんな所でも年越し暴走をやるヤカラがいるとは。寒いんだから家でぬくぬくしていればいいのに。。。
暫く進んで反対側の岬へ通じる道に出るとその交差点にも警官が立っていた。すんなり通されるのかと思ったらまた停められた。
初日の出の方ですか?と聞かれたので、そうですと答えると岬周辺のマップをくれた。それには駐車場の場所や一方通行となる区間などが記されていた。
再びさっきの駐車場まで戻り改めて年越しそば、、、じゃなくてうどんをすすった。だがカレーうどんでは行く年を名残惜しむ気持ちになれなかった。折角だから紅白歌合戦を見ようとテレビをつけたが全く受信しない。流石辺境。ラジオをつけてみたら辛うじて受信した。かなりノイズが混じったがそういうローファイな雰囲気も嫌いじゃないのでこれはこれで良し。
だが、時折中国か韓国あたりのラジオが混信してくる。DJが何やらまくし立てながらユーロビートのようなものを流している。おかげでしんみりした雰囲気はぶち壊しである。やがて食事が済むとそれにタイミングを合わせるようにゆく年くる年が始まった。
そして年越しを迎えた。2008年おめでとう。
ということでぼちぼち就寝。窓の外に目をやると星がキラキラと輝いているのが見えた。ということはあまり雲はなさそうだ。明日の朝までその状態であってくれることを祈って布団に入った。