四国初日の出【10】(2008/01/02)
土佐岩原駅:
珍鳥センターの見学を終えたら14時を回っていた。今日は他にもう1か所行ってみたいところがある。徳島の山奥にあるかずら橋だ。
今からならまだ暗くなる前に見に行けそうなのでぼちぼち出発。
高知と徳島を隔てる山脈を分け入るように国道32号が延びている。ここは交通の隘路となっていて高知自動車道と国道32号とJR土讃線が寄り添うように峠へ挑んでいる。
途中、高知自動車道が何かを思い出したかのように愛媛県の方向に進路を変えると、いよいよ狭隘となり国道と鉄路がほぼ寄り添うようになる。
もう間もなく高知を脱するか、という所を走っていたら並走する線路をキハ32の列車が通過していった。
そのまま進んでいくと豊永駅に停車しているところを追い越した。ということは次の駅に先回りすればやってくる列車を撮影できる。ということで気持ち急いで進んでひとつ先の土佐岩原駅で車を停めた。
この駅は高知県側最後の駅となる。この次の駅は徳島県だ。
駅名標がいくつか剥がれ落ちていて何駅か微妙に分かりづらい。駅は無人なのでそのままホームにお邪魔する。と間もなくさっき追い越した列車が到着した。
キハ32形の富士重工製バージョンだ。自分の知っていたキハ32はこの形である。
2両目はキハ54が連結されていた。これも四国では初めて見る車両である。
この駅は列車交換ができるようになっている。到着した列車がなかなか発車しないのでこれは列車交換があるなと対向列車の到着を待ってみた。
やってきたのは特急南風の2000形だった。2000形は山あいのカーブが多い線区でも高速に走行できるように振り子式になっている。なので隣のキハ32と比べて大きく傾いている。
かずら橋:
列車の発車を見送った後で我々も先へ進む。程なく徳島県に入る。徳島に入ってすぐの辺りは大歩危、小歩危という有名な渓谷に沿って走る。おおぼけという名前のせいで有名になったような場所だが、もちろんボケのことではない。漢字表記のとおり歩くのに危険が伴うような場所は歩危(ほき)と呼ばれることが多い。ここもそれであるがなぜか訛って「ぼけ」となってしまったのが悲運の始まりである(?)。
大歩危駅の手前で右に分岐する県道45号へ入ると道はガチの山道になる。狭い道なうえこの辺りまで標高が上がるとそこかしこに残雪がある。スリップしないように気をつけながら右へ左へハンドルを切っていくと、西祖谷の集落に入る。西祖谷で県道32号(なんか32という数字に縁があるな。)を右折して更に暫く進むとめざすかずら橋が見えてくる。
最寄りの駐車場に車を停めて看板に従ってかずら橋降り口と書かれた方向へ階段を降りる。とそこには土産物屋があった。もしかしたらこの土産物屋が客寄せのために作った近道かもしれない。
店は正月休みだったので客引き的なものには遭遇しなかったが、営業していたら何か買わされる羽目になったかもしれない。
少し進むと景色が開けてかずら橋が眼下に見えた。
こちらも正月休みかもしれないと思いつつやってきたが、橋を渡る人がいるのが見えるのでどうやら営業しているようだ。
手元のガイドブックに冬季閉鎖と書かれていたのでそう思っていたのだが、改めて見直したら冬季閉鎖は奥祖谷の二重かずら橋の方だった。
橋のたもとに受付があり、入場券(通行料?)を払って早速橋の前に立つ。
かずら橋は日本三大奇橋のひとつに数えられている。その名のとおりかずら(シラクチカズラ)の木を編んで作られたつり橋である。主要な部分は丸太が使われているが、それらを固定するものが全て2cmほどの太さのかずらである。何重にもぐるぐる巻きにされているが、それでももしかして重みや老朽化で突如破断するのではないかというスリリングさがある。
なので、橋の前に立ったはいいが渡って大丈夫なものかとちょっと尻込み。
人はなぜか吊り橋を渡る時に揺らしてみたくなる生き物らしい。いい大人が楽しそうに足を踏ん張って橋を揺らす。
編まれている部分を拡大するとこんな感じだ。まぁ大丈夫だろうなと言う気もするし、何かのきっかけで千切れてしまうのではないかと言う気もする。
この橋は水面から14mほどの所にかかっているそうだ。数字だけ聞くとそれほど高度感がないような気がするが、渡ってみるとその高度感はなかなかのものだ。渓谷には岩が転がっているので転落したらそこにしこたま体をぶち当てて死ぬのだろうな、という嫌な想像が頭をよぎる。万一岩に当たらず水面に落ちたとしても周囲に雪が残るような陽気なので流れる水の冷たさは推して知るべし。着水した瞬間心臓が止まって死ぬのだろうな、というこれまた嫌な想像が頭をよぎる。要は怖い。
足元はハシゴ状に板が渡されているだけなので水面がシースルー状態である。一応板と板の間は15cmほどなので仮に隙間から足を落としても落下することはなさそうだが迂闊に歩けば躓いてしまいそうだ。
だから自ずと足元を注意しながら歩かざるを得ない訳だが、足元を見れば自動的にその向こうの水面まで一望することになる。
足元ばかり見ていると足がすくみそうになるので出来るだけ遠くの景色を見ながら進もうとすると足元がおぼつかない。
で、そんなさなかに橋を揺らす馬鹿者がいるから生きた心地がしない。。。
橋が落ちる、落ちない、自分が落ちる、落ちない、足元を見る、見ない、早く向こう岸に付きたい、でも景色も楽しみたい、などなど頭の中で色々な思いがぐるぐると回りながら渡り終えた。
カミさんはスリリングで面白かったねなんて言っている。やはりあまりあれこれ考えない方が良いのかもしれない。
対岸から50mほど進んだ先に滝がある。琵琶の滝という。平家の落人がこの滝の下で琵琶を奏でて慰めあった、という伝説からその名がついたそうだ。
さて、これで今日予定していたアクティビティは全て消化できた。あとは帰るだけ。明日中に帰れれば良いのでそんなに慌てなくてもよさそうだが、まぁこの先これと言って自分らに刺さる見どころがないのでとりあえずのんびり帰ろうと思う。
戻り道の途中見晴らしの良い所があった。本当に山深い場所だ。平家の隠れ里と言われるのもうなずける。