サプラ伊豆【1】(2008/03/08)
3月はカミさんの誕生月である。例年プレゼントに頭を悩ますわけだが、この年は一泊の温泉旅行をプレゼントしてみようと思った。
カミさんに内緒で宿を検索。折角宿に泊まるなら部屋食の宿だと嬉しいのだがそういう宿は大抵高い。自分らのような貧乏人の視点だとそういう宿の宿泊費は費用対効果が見合っていないような気がして、なかなか思い切って泊ってみようと言う気にならない。
が、あれこれ調べていたら南伊豆の弓ヶ浜の近くに部屋食提供の温泉宿を見つけた。古民家を移築して開業したらしく鄙びた雰囲気を楽しめるそうだ。しかも宿泊費は1泊1万円ちょっととリーズナブル。空き状況を確認したら丁度空いていたのですぐに予約した。夕食には一品料理の追加も可能と言うことだったので金目の煮つけを追加でオーダー。伊豆と言えば金目である。これはぜひ食べておきたい。
かように全部入りの宿ではあったが、ひとつだけ気がかりな点があった。宿の名前がちょんまげの宿ホテル山海というのだ。ちょんまげ?調べてみたらこの宿のオーナーがちょんまげを結っていることに由来しているらしい。ふざけているのか気難しいのか、どっちだ?
ちょんまげの宿ホテル山海:
2008/03/08
宿の手配を済ませて準備万端、満を持してカミさんを伊豆ドライブに誘った。もちろん宿泊の件は内緒だ。
普段なら夜のうちに出発するのが我が家の通例だが、今回は宿に泊まることが自体が主目的なので行程を欲張る必要もなく、朝方からのんびりと出発。
そういう時に限って些細なことがきっかけで車内で口論になった。あまりにも分からず屋だったのでぶち切れてしまい、もうお出かけをやめて帰ろうと思った。宿のキャンセル料などくそくらえだ。
・・・なんて具合になるまで険悪な状況に陥ったのだが、そういう時に放置しないのがカミさんの立派な所。なぜそこまで話がこじれたのかを再度整理していくとある一点で認識に齟齬があったに過ぎなかった。夫婦喧嘩は犬も食わないって有名な格言があるのでここに詳細は書かないが、まぁ、そんなことがありつつなんとも言えない空気感の元、宿に到着。
こちらが本日宿泊するちょんまげの宿 ホテル山海だ。山の斜面を背負うように数棟の古民家が建っている。これは期待できそうだ。おもむろに敷地に入って駐車場に車を停める。カミさんは何事?という顔で自分を見ている。ここで本日ここに泊まることを暴露。
まぁサプライズとしては大したものではないが、カミさんはアンティーク物が好きな人なので宿泊できることを大いに喜んでいた。
ロビーには昔の小道具などが飾られていたりしてプチ民俗博物館状態。だがごちゃごちゃと置かれているというほどでもない。節度があって思ったよりは普通の宿っぽい。
チェックインを済ませる。受付のスタッフから、ここのオーナーがちょんまげを結っていることが宿の名前の由来になっていて、運が良ければ会えると思いますよ、なんて説明を受けた。遭遇してもなんて声をかければよいか分からんが。
それから部屋へ案内された。写真はその途中の廊下。斜面に建っている都合で建物同士が立体的に接続されている。なので廊下もあちこち分岐があって迷路みたいだ。こういうの大好き。
部屋まで案内してくれた女中?は恭しくお辞儀をして戻って行った。
古民家と言うからには部屋に囲炉裏などが置かれているのではないかと期待していたが、流石にそれはなかった。それどころか綺麗にリフォームされていて想像以上に快適そうな部屋だった。とはいえ部屋の作りや低めの天井に古民家時代の名残を残している。
嬉しかったのは照明が昔ながらの天吊りタイプのものになっていたことだ。照明の真ん中から紐が延びていてそれを引っ張るごとに点いたり消えたりするやつだ。やっぱ和室と言えばこれだ。吊っているので天井周りが暗くなってしまったり、地震の時に激しく揺れて落下したりする可能性があったりで近年では和室でもシーリングライト風の照明が付いている部屋が多くなった。
でも違うんだよな、やっぱりこの天吊りがいいんだよ。天井周りが暗くなるのだって郷愁が想起されて最高じゃないか。煙草の煙が照明の上の方にゆらゆらと漂うようなあの饐えた感じが好きなのだ。まぁそれはさておき。
部屋は続き間になっていて片方の部屋は寝室、もう片方は居間として使えるようになっている。ある意味スイートルームだ。布団の出し入れの度にテーブルを片付けなくてよいのが嬉しい。そして意外にもちゃんとユニットバスが設置されていた。これで1泊1万円ちょっとというのは随分リーズナブルである。場所柄、景色は大したものが見えないがこの宿はそれを求める物ではない。
夕食と温泉:
荷物を置いたらすぐに備え付けのお茶請けで一服。テレビをつけて緩い時間を過ごしていたらほどなく夕食の時間になったらしく、廊下の向こうでせわしなく動き回る音が聞こえてきた。
やがて部屋の戸が叩かれて、お夕食の準備が出来ましたと言いながら女中がお膳を部屋に運びこんできた。
整然とちゃぶ台の上に料理が並べられていく。この上げ膳据え膳がたまらない。各部屋への配膳には並々ならなぬ手間がかかるものなのにこの値段でそれができているのが不思議である。
食事は何度かに分けて運ばれて来たので写真の時点では全品が乗せられていないが、追加オーダーした金目の煮つけは早々に食卓にあげられた。料理のひとつひとつに分かりやすい豪華さはないがそれぞれ丁寧に作っている印象である。大規模なホテルなどでは厨房で作り置きになって出される頃には冷えてカピカピ、なんてひどい所もある。それと比べてなんと豪勢なことか。
2人してお酒をほぼ飲まないので食べ物の味をひたすら楽しんだ。食卓が大きいせいか並べられた姿を見て最初はちょっと物足りなさそうな気がしたが、食べてみたらしっかり満腹になることが出来た。幸せ。
食後、少し腹を落ち着かせてから風呂に入りに行った。部屋にもユニットバスがあるがここへきて温泉に入らない選択肢はない。
この宿は温泉が引かれているのだがあまりそれをアピールしている感じではなかった。なので期待せずに入りに行ったのだが、広さはそれほどでもないものの露天風呂もあって意外にちゃんとしていた。
自分が入浴する際に誰も入っていなかったのでカメラで撮影してみたが、フラッシュなしでは暗くて映らないし、炊くと湯気が反射して見えない。なのでそのディティールが分かりづらいと思うが、まぁ3人くらいで丁度良いくらいの小ぢんまりとした湯舟である。お湯はどちらかというと温め。自分が入浴中は誰も入ってこず独り占めだったのでしっかり堪能して上がった。
部屋に戻ると23時過ぎ。今日は本当に宿に泊まるだけの1日となった。自分らの旅行にしてはかなり珍しいパターンだがたまにはこういう旅もいいものだ。まだ日付が変わっていないが、もうやることもないので明日は早起きしようといって早々に就寝となった。