小笠原上陸【9】(2008/09/13)

父島列島:


デッキに出ると船は既に父島列島の付近まで来ていた。

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最初に見えてきたのは弟島だ。南に控えている兄島の脇を通過するといよいよ父島に入港である。
辺りに島影が見えない場所をずっと航行してきたおがさわら丸にしてみたら、島影が見えてきてホッとしている所だろう。

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弟島の脇を通過すると隣接する兄島の脇を通過する。手前に見える島影は西島という。
島の上空に浮かぶ雲がボディービルダーがダブルバイセップスをしている姿のように見えたw

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そして兄島の脇も通過するとすぐに父島が近づいてくる。港のある二見湾に入り込むとほどなく一隻のボートが近づいてきた。見ると父島タクシーのボートのようだ。父島では船の出港に合わせて島内の業者がボートで並走するというパフォーマンスがあるのだが、入港時にもやってくれる業者がいるとは知らなかった。

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あれが長いこと憧れを持ち続けていた父島の陸地か。

あと10分ほどで入港するということなので、ここで船室に戻って荷物を持ってロビーへ向かう。ロビーに到着すると既に下船待ちの乗客で埋め尽くされていた。

 

父島上陸:


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という訳で無事接岸し、我々はついに父島の地に降り立った。
丸1日ぶりに硬い地面の上に足を降ろす。ずっと足元がゆらゆらとする場所にいたので動かない地面に変な違和感を感じた。

幸いなことに船酔い状態に陥ることなく無事到着した。いや正確に言うと下船直前ロビーで待っている間にちょっと気分が悪くなった。ロビーにいる人たちの様子をキョロキョロと見まわしたのが良くなかったのかもしれない。それと酔い止めの効果は丸1日ということだから、ぼちぼち効果が切れかかっていたのもあったのだと思う。その後10分もしないうちに下船できたので事なきを得たが。
いずれにしても酔い止め薬の効果は覿面であった。これまで船酔いが心配で船に乗ることを避けていた部分があったが、これだけ効くならこれからも気にせず船に乗ることができる。

 

ともあれ父島上陸である。まさか自分が父島に降り立つ日が来るとは旅行計画が持ち上がるまで微塵も考えていなかっただけにその感慨もひとしおだ。そして自分の島旅における記念すべき50島目の島となった。そういう節目での上陸が出来たこともまた嬉しかった。

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港は島民による歓迎ムードにあふれていた。宿の人が宿泊者を迎えに来ていたり、旧友を訪ねてきたのか手を取り合って再会を祝う人がいたり。そんなシーンを南国ムードあふれるスティールドラムの演奏が引き立てていた。

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空は見事に快晴である。完全に天気予報が外れてくれた。やはり自分らは晴れ男・晴れ女なのだ!と2人でガッツポーズで合図した。

好天なだけあって汗ばむような陽気だ。東京ももちろんそんな陽気だったが東京とはまるで空気感が違う。こんな場所で暮らしたらさぞかし長生きできそうだw

これほどまでに南国そのものの島であるがここも東京都である。というか今回の旅は東京都から一歩も出ない。本州における東京都の領域はほんのわずかだが、海へ出るとどこまで行っても東京都、というとてつもない広がりを持っている。

だがこの島は東京都であるからこそ現在のレベルを維持できているとも言える。それは他の道府県と比べて財政面で圧倒的な余裕があるからだ。

 

ははじま丸出港までの間に:


さて、いつまでも島に上陸できた喜びを噛みしめている余裕はない。我々はこの後母島まで行かなけれならないのだ。

母島へ向かうははじま丸の乗船口はおがさわら丸が接岸した場所から100mばかり離れたところにあった。乗船券は事前に手配が出来なかったので、まずはそこに行って窓口で乗船券を入手する必要がある。

窓口の周囲におがさわら丸からの乗り継ぎと思しき乗客が多く押し寄せて待合所は賑わっていた。とはいってもおがさわら丸に乗っていた人数からするとほんの一部、と言う感じだ。

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チケットは無事に購入完了。出港まであと50分ほど。その間に少しでも島の中を散策してみたい思いがなくもなかったがあまり港から離れたらよくないと思い、自分はここに留まることにした。

一方、カミさんは自分が船で船外に落下させてしまったサングラスの替えを買いに行ってくれることになった。島内のどこで売られているか不明だが土産物屋のひとつくらいちょっと歩けばあるだろう。

 

留まっている間ボンヤリ待っててもしょうがないので、レンタルバイクの手配を済ませておくことにした。念のため待合所にある案内所に行って島のレンタルバイクの業者を問い合わせてみたら、やはり父島には父島タクシーパパヤマリンスポーツの2軒しかないそうだ。

パパヤの方は出発前に電話をして当日先着順という回答を貰っているが、電話をかけてみたら既に全車予約済みとなっています、と電話口のスタッフが答えた。えっ、先着順って言ってなかったっけ?入港してこの15分ほどの間に完売したってこと??そんな馬鹿な。

いきなり出鼻をくじかれた。パパヤがそんな状態なら父島タクシーの方もそんな感じか?このまま移動手段が確保できないと島内観光が詰みになる。

藁にもすがる思いで父島タクシーに電話してみたら、こちらはまだ在庫ありで無事2台確保することが出来た。えがったー。。。

 

ちなみに父島で電話をかけるととても面白い。固定電話も携帯電話も衛星を経由した通信になっているためテレビの衛星中継のように1秒くらい遅れて返事が返ってくるのだ。

話をしても相手が頷きもしないので「こいつ聞いてるのかな?」という気分になるし、会話のキャッチボールが始まると自分が発話している最中に相手の頷きが返ってきて会話が詰まってしまう。まぁとにかく話しづらいのだ。

日本人は会話の中でしょっちゅう相槌を入れるが、他の国、特に英語圏ではあまり相槌を入れる習慣がないらしい。だから延々喋って自分の話が終わると相手が話し始める、と言ったキャッチボールになる。

これは衛星電話において効果的な話法で、日本風にちょいちょい相槌を入れているとその相槌が相手が話している中途半端なタイミングで相手に届くので会話がしづらくなる。

島の人はその前提があるからか、あまり相槌を打たない印象だった。
もっとも自分も出発前に母島の民宿に電話をかけた時に既に経験済みなので、その前提で話すようにしたから大きな混乱はなかったが。

 

もひとつ通信事情と言えば、我々はソフトバンクの携帯を使っているのだが父島は圏外となっている。休暇の時まで仕事のコールを受けたくなかったので、職場でその話をしたら緊急時の連絡手段がないとまずいという話になり、職場で共有しているauの携帯を持たされた。auは父島ではエリア内となっている(母島は圏外)。

余計なこと言わなきゃよかった、と思ったが折角借りたので、こうして島内の連絡でちょいちょい使ってしまうことにした。

 

で、サングラスを買いに行ったカミさんが一向に戻ってこない。もうあと20分ほどで出港時刻なので少し心配になって来る。
職場から借りた電話は1台しかないのでカミさんとの連絡手段はない。このままカミさんがモタモタして船に乗り遅れたら自分も道連れで父島残留となってしまう。連休だけに宿が取れない可能性もあり、下手したら初日の夜を野宿で迎えることにもなりかねない。なのでははじま丸に乗船することは絶対に失敗してはならないミッションなのだ。

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だが待てど暮らせどカミさんの姿が見えないまま、出港時刻まで10分あまりとなってしまった。まずい。道に迷っているのか、何らかのトラブルに巻き込まれているのか。。。

かといって自分が街中へ繰り出したとしてもどの店にいるかもわからないカミさんを探し出すことなど不可能だ。とにかく早く戻って来い、とソワソワしながら道路に出て集落の方を眺めたり、待合室に戻ったり、ウロウロとしていたら背後からカミさんの声がした。いたー。

慌てて駆け寄ってこんなギリギリまで何してたんだ!と叱ろうかと思ったら、もー、どこ行ってたの??とカミさんに先制されてしまった。そりゃ俺のセリフだ!

とりあえず細かい話はあと。船に急いで飛び乗ってどうにか間に合った。。。

Posted by gen_charly