小笠原上陸【11】(2008/09/13)
民宿つき:
宿泊客を乗せたワゴン車はほんの2分ほど走った所で停車した。お、もう到着かと思ったらこちらはペンションドルフィンという宿で我々の泊る民宿つきはもう少し先なのでそのまま乗っていてください、と言われた。
ドルフィンとつきは姉妹店らしい。自分ら以外の客は全てドルフィンに宿泊するらしくみんな降りてしまった。閑散とした車内で待っていると女将が戻ってきて再び車を出発させた。が、10秒もしないうちに再び車が停まり、こちらで降りてくださいと言われた。
実は民宿つきはドルフィンのすぐ隣の敷地に建っている。車がドルフィンに停まった時には既に見えていた。だからドルフィン前で一緒に降りて民宿にお泊りの方はあちらの建物へどうぞ、でも全然よい気がした。
というかそれ以前に沖村は小さな集落なので港からここまでゆっくり歩いても5分もかからない。だから別に車で送迎をして貰わなくてもさして困らない。相当な大荷物を抱えていたら別だが。しかも写真だと山深そうな場所にあるように見えるつきも実は建物の裏手20mほどの所に海岸があり、ショートカットできる細道を通れば港まで3分もかからない。車に荷物を積んで乗り込んで降りて荷物を下ろすまでの間に着いてしまいそうだ。まぁこれもサービスの一環と言うことなのだろう。
それはさておき女将の先導でつきに案内された。チェックインというほどの手続きもなく部屋に通されておしまい。おおらかだ。建物は数年前にリフォームをしたばかりであるらしく、建物の中もまだ真新しい。快適に過ごせそうで安心。
建物の中はしんと静まり返っていた。他の宿泊者の気配が全くない。もしや貸し切りなのかと思って尋ねてみたら、数日前からの滞在者が何人か宿泊しているそうだ。昼間なのでみなどこかへ出かけているのだろう。
母島散策 - 南へ:
我々の部屋は2階の一室だった。とりあえず荷物を降ろしてほっと一息、、、している時間はない。見所は島の各所に点在しているのだがそれらの殆どは集落の外にあり、集落の外はほぼ無人地帯で街灯以外の明かりがないので日が暮れてたらもう散策不能だ。今日の日没は18時過ぎ、そして今は15時ちょっと前。つまり本日の散策可能時間はあと3時間しかない。
しかも明日父島へ戻る船は11:30に出港する。明日7時から散策を開始したとしても4時間ほどだ。つまり今日明日合わせて7時間しか散策する時間が取れないのだ。
母島は南北に細長い島でその長さは12キロもある。その各所に見所が点在しているというのだから7時間ではとても時間が足りない。
ちなみに集落の北に乳房山という島の最高峰がある。事前に観光案内所で登山申請をしたうえで頂上であることをしてくると登山証明書が貰えるそうだ。だが、その「あること」がなんであるかは申し出るまで秘密だそうで悪あがきしてネットで検索してみたがどこにも情報が出ていなかった。
それを知って自分も頂上まで登って登山証明書をゲットしたくなったのだが、往復で4時間程度かかると聞いて次回のお楽しみにせざるをえなかった。
島の道路は基本的に1本道しかなく、今いる沖村地区を経由してそれぞれ南進および北進している。沖村からそれぞれの終端までの距離は南の方が短いので探索時間がより短い今日のうちに南方面を散策し、明日の朝に北方面を散策する計画とした。
初バイク:
なんにしてもまずはバイクが手配できない事には始まらない。女将さんに声をかけてバイクを貸してほしい旨を伝えると予約が入っていないか確認するのでちょっと待ってくださいね、と言われた。・・・まただ。
パパヤの時もそうだったが、さも事前に予約受付をしているかのようなことを言う。自分がバイクの手配をしたくてそれぞれに電話した時は両方とも当日になってから申し込んでくれと言われている。一体どういうことだろうか。
予約が入っていないことを祈ってしばし待つ。が、女将は確認しに行ったきり待てど暮らせど戻ってこない。10分ほど待ったが時間がかかりすぎでは。。。何かあったのだろうかとちょっと外に出てみたら、入口前の道路に2台のスクーターが置かれていた。
ただ、周りに誰もおらず自分ら用に準備されたものなのか他の人に貸し出す為に準備しているものか、あるいは誰かが乗り付けているだけなのかさっぱり分からない。
「あ、ごめんね。コレでいい?」
バイクの前でキョロキョロしていたら後ろから声がかかり、振り返ると裏口から宿の主人が出てきた。どうやら借りることが出来るらしい。良かった。。。
違うのが良いですなんて言ったらどうなるのか興味がないではなかったが、大丈夫ですと答えた。
主人からバイク運転大丈夫だよね?と聞かれた。正直に白状すれば自分はバイクを運転したことがない。だが未経験者には貸して貰えないという話だったので、大丈夫ですと自信ありげに答えておいた。もちろんある程度運転の仕方は知っているからそう答えた訳だが。
「片方のバイクはセルが壊れているからキックでかけてね。」
と、そう言い残して主人はまた敷地の裏の方に引き上げて行った。
部屋で待っているカミさんを呼びに行き、散策の準備を整えて再び外に出てきた。外まで出るまでの間にカミさんに運転の仕方分かる?と小声で聞いたら大丈夫だよと即答した。自分はなんとかなると思っているがカミさんが未経験者だったらなんとかなるかどうか分からない。だが聞く所ではカミさんは学生時代に暫くバイク通学をした経験があるそうだ。それは頼もしい。もし自分がいざとなってもカミさんを頼りにしようと思った。
ついでにキックでエンジン掛ける方法知っている?と聞いたら、それも多分大丈夫とのこと。流石経験者。ではセルが壊れている方はカミさんに任せるよと伝えてそれぞれのバイクの前に。
ヘルメットをかぶってバイクにまたがりエンジン始動。セルが生きている方はイグニッションを回したらすぐにエンジンがかかった。ところがカミさんがどうもてこずっている。
「やって」
おい。。。
ここでモタモタしていたら、あいつら本当に大丈夫なのか?と怪しまれかねない。普段使いしてますくらいの振る舞いで出発したいところだ。とりあえずカミさんのバイクに移動してキックを踏んでみるが確かに始動しない。何が原因だ?と一瞬焦ったがすぐに原因が分かった。イグニションがオフのままである。。。そりゃかからんわな。
オンにしてから再度キックを踏んだら一発で始動。事なきを得たが本当に運転していたのか?