小笠原上陸【27】(2008/09/14)

グリーンペペ:


暫くみんなで口をあんぐり開けながら上の方を観察していたら、程なく声がかかって今度は下の方の観察に移ることになった。小笠原にはグリーンペペというちょっと響きがアレな感じのキノコがある。このキノコは自ら発光するキノコとして知られている。闇夜を照らすキノコなんてぜひとも見てみたいじゃないか。

一行は一旦駐車場に戻った。グリーンペペは森の中で見られるらしい。するとそのとき到着した車から別のツアーの一行がぞろぞろと降りてきて我々より先に駐車場のトイレ裏の方へと歩いて行った。

先越されたなぁ早く我々も行かないと、なんて思ったら治郎さんがみんなを制止して、ここで暫く待とうかと言い出した。なぜ?と思ったら続けて、

「だって折角他の人が探してくれてるんだもん、あの人たちが戻ってきたときに見れましたか?って聞けば自分らが捜しに行かなくて済むじゃん。」

なるほど、頭いいな。
5分ほどその場で待機していたら先ほどの一行が奥から戻って来た。すれ違いざまに見れましたか?とガイドに訪ねると、ありましたよと満足げに答えて車に戻っていった。満を持して我々にも、よしじゃあ行こうかと号令がかかった。

 

グリーンペペは光るキノコであるということ以外の前情報がない。ネットに掲載されている写真などを見る限りほのかな明るさで光るキノコのようだ。といっても闇夜で蛍光グリーンに光る物体など目立ってしょうがないだろうからすぐ見つかるものだろうと思っていた。だがどこにも光っている場所などない。

あの人たちはどこでそれを見つけたのだろう。もしかして我々を騙しているのではないだろうか、なんて疑心暗鬼に囚われそうにもなったが、ぞろぞろと進んでいくと治郎さんがあ、ありましたよ。と手招きした。

だが、どれ?どれ?と言いながらみんなが頭を突き合わせて治郎さんが指さす木の幹を凝視するのだが、光っているものなど何もない。治郎さんはひょうきんな人なので、嘘やねん~なんて言って騙してくるのではないかと更に疑心暗鬼になってしまいそうだったが、懐中電灯で照らされた先をよく見てみると2cmに満たない小さな白いキノコが木の幹からちょこんと顔を出していた。

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場所が確認できたあと懐中電灯の明かりを消したら確かにうっすらと光っていた。ようやく見つけることができたが、これはこうやって光ると分かっていないと絶対に見つけられないやつだ。

上の写真はそれを頑張って撮影したものだ。これでもかなり光量を補正している。実際には相当目を凝らさないと光っているかどうか分からない位の淡い光を放っているだけなので、シャッターを切ってレビューの画面を見てもただ真っ暗な写真が撮れているようにしか見えないほどだった。写真のような姿をイメージして探しに行ったら絶対に見つからない。他の人も撮れない~と嘆いていた。

そんな淡い光で発光するメリットは何だろうか、なんて愚にもつかぬことを考えてしまった。

 

夜光虫とオカヤドカリ:


ということでオガサワラオオコウモリとグリーンペペを首尾よく見つけることが出来た一行は、亜熱帯農業センターを後にして車で小港海岸に移動した。浜辺に入る手前で裸足になるよう促されて靴をぬぐ。そのあと砂浜の上を足でさすってみるよう促された。言われるがままにやってみるとほのかな青い光が砂の上に点々と灯された。

お、夜光虫だ。さっきのグリーンペペよりも存在感のある明るさで光った後、数秒でまた暗くなる。でも砂の上をさするとまた光る。だが流石にこれは撮影できなかった。

暫くそうして夜光虫にちょっかいを出して遊んでいたら、向こうから我々を呼ぶ声が聞こえた。

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行ってみたらオカヤドカリがいた。これは母島の南崎へ行く遊歩道でも見かけた。ズルズルと巻貝を引きずってどこかへ移動していた。海の中ならいざ知らず陸上でこのスタイルはかなり歩きにくそうだ。

離れたところに行っていた治郎さんが手に何やら持ってこちらへきて、近くにいた参加者の1人の手のひらの上にそれを乗せた。見ると小さなカニだった。だが受け取った方もいきなり渡されたカニに戸惑っているうちにあっという間に逃げてしまった。だがどんくさいのか逃げ足はそれほど早くない。再び砂ごとわしっと掴んでさっきの人に手渡す。

それでもその人はまた逃がしてしまった。そのやり取りを見ていたピッコロ大魔王氏が俺もやってみる!といって治郎さんの手さばきを真似て砂ごとわしっと掴む。だが掴み方が悪く足が取れてしまった。

ああ~っ!!とうろたえるピッコロ氏。それを見た周りの人たちがあ~あ・・・とため息を漏らす。氏はいじられキャラのようなので言われてまんざらでもない顔をしていた。慣れるとすぐ調子に乗るんだよなぁと治郎さんが苦笑いする。

一緒になって笑ったが輪に入れていない疎外感を感じた。。。w
ちなみに可哀そうなカニさんの足だが、放っておくとまた生えて来るらしい。

 

そうして15分ほど海岸で生き物と戯れてナイトツアーは終了となった。父島ホテルまで戻ってきてそこで解散。貴重なものも見られて和気あいあいとした雰囲気で、アウェー感を感じながらだったことを除けばなかなかいいツアーだった。やっぱりナイトツアーはこうじゃないと(と、奄美の業者にあてこするw)。

 

宿の風呂場の話:


満足感に包まれたまま宿に戻って風呂を済ませることにした。アクアには本館の建物内と離れの2カ所風呂場がある。どちらも3人くらい入ったら一杯になるサイズなので基本的に貸し切り制になっていた。両方とも空いていたのでちょっと覗いてみたら離れの方が新しい感じだったのでそちらに入ることにしてカミさんを呼びに行った。離れている間に他の人に取られないよう、風呂道具を脱衣所において電気もつけたままにしておく。

それから程なくカミさんと風呂場に戻ってきた。建物に入って内側から鍵を閉めようとしたとき、カミさんが脇に併設されているトイレのドアのマークが赤くなっていることに気づいた。中に誰かいるらしい。このままウチらが入浴して入口の鍵をかけても、トイレを済ませた人が出る時にまた鍵を開けて出ていくことになるので我々が入浴していることに気づかず誰かが入ってくるかもしれない。

電気つけたままにしているんだから、誰か風呂使うんだろうなくらい察してくれよと思ったが仕方ないので入口の前で少し待機してその人の用事が終わるのを待った。だが数分待っても一向に出てこない。

変だなと思ったカミさんが再び中に入ってドアをノックしたところ中からノックを返されたらしい。ということはその人は長考モードに入っているということだ。迷惑な話だが生理現象なので怒ってもしょうがない。結局我々が本館の風呂に行くことにしてそこで入浴を済ませた。

 

風呂から上がって部屋に戻る時に離れの風呂を覗いたらまだ電気がついたままだった。風呂は使われている気配がなかったのでさっきの人が出る時に消し忘れたのかもしれないと思って電気を消そうと思ったら、トイレの個室ドアが相変わらず赤い状態のままだった。我々は30分ほど入浴していたので長考モードに突入していたとしても長すぎる。もしや中で誰か倒れているのでは?

心配になって一応宿のスタッフに伝えておこうと本館に戻った。丁度オーナーがいたのでその話をすると、ちょっと見に行きますねと言ってトイレに向かった。

オーナーがトイレのドアをノックしたが反応がない。2度ほどノックして反応がなかったのでオーナーはドアを強引に引っ張った。すると節度の悪い箪笥みたいに木がこすれる音がしてドアが開いたが中には誰もいなかった。あれ??

「このトイレのドア、ちょっと調子が悪くてロックは解除されているのに、表示が赤いままって事が時々あるんですよ。」

と説明してくれた。いやでもカミさんがノックした時は応答があったと言っていたんだが。。。

「あ、そうなんですか。うーん、その時は誰か入ってたんですかねぇ。。。?」

そうだよな。現に誰もいないのだからそうとしか答えられないよな。なんか人騒がせな宿泊客になってないか自分。。。ちょっと気まずい空気が流れたので話題を料理の話に変えた。

そう。とても手の込んだ食事が出てきたので驚いたのだった。これは一朝一夕にできる技ではないと思ったので料理の修行かなんかされていたのですか?と聞いたら、以前は内地で料理人をやっていたそうだ。やっぱり。あれだけの料理をオーナーと女将さん、あとスタッフの子の3人で対応しているそうだ。決して材料の入手性が良いとは言えないこの島であれだけの料理のアイディアが出せるのだから大したものである。

そしていい感じに話をフェードアウトさせて部屋へと戻って来た。これが父島のお騒がせその3である。
部屋でカミさんに事の顛末を話したらカミさんもしきりに首をかしげていた。なんか腑に落ちない。だが考えていても結論の出ない話なので適当なところで切り上げて就寝となった。

そういえば母島のつきの食堂であったおじさんから声かからなかったな。入れ違いになっていたら申し訳ないが。。。

Posted by gen_charly