小笠原上陸【21】(2008/09/14)
トラブル発生 その1:
で、再び部屋に戻ったらカミさんが困った顔をしていた。どうしたのかと聞くと、母島で荷物をパッキングする時にスーツケースの南京錠の鍵をケースの中に入れたまま錠をロックしてしまった、と言った。閉じ込みか。。。
困ったな。カギを取り出すためにはロックを解除せねばならず、ロックを解除するためにはカギが必要。こういうのを詰みという。。。いやそんな話をしている場合ではない。もう南京錠を破壊するより方法がない。ないんだけど容易に壊せないものだからカギとして成立する訳で。
この中には着替えからノートPCから旅先で必要なものがあらかた収められている。これが取り出せないと着替えすらできない。なんならカミさんの免許証もこの中に入っているのでバイクの運転も出来ない。
何とかカギを壊すためには・・・ニッパーで切断するか金ノコで削るか。とりあえず宿の人に道具を持っていないか聞きに行ってみることにした。ロビーにいた女将に相談したら、手持ちの工具に持ち合わせがないので近所の雑貨屋で相談してみたらいいんじゃないですかね、とのことだった。お礼を言ってその雑貨屋に行ってみることに。
雑貨屋の名前はフリーショップまるひという秘密めいた名前の店だ。店にいた女の子にそういう事情で工具置いていませんか?と聞くと、奥にいる店主を呼びに行った。奥から出てきたのは老店主、その老店主に再度事情を話したら、工具あるから持ってきてくれたら切ってあげるよと言ってくれた。なんとありがたい!
一旦宿に戻ってスーツケースを持って再びまるひに戻る。すると件の老店主がデカいニッパーを持って待っていてくれた。それで南京錠を壊してもらい無事解決となった。
老店主にお礼を述べて新しい南京錠を調達した。
新しいカギはダイヤルロックタイプの物にした。これならキーとじ込みの心配もない。番号忘れたらやっぱり詰みだが。。。
購入前にちゃんと合うかどうか試してみなさい、と言ってわざわざ袋を開けて試着させてくれた。買うかどうかも分からないのに商品のパッケージを開けちゃうなんて。ちゃんと使えたのでそのままそれを購入したが、親切すぎて申し訳なくなってしまった。
値段は198円。だが後日地元の100円ショップに行ったら同じものが売られていた。やっぱり島の物価は高いなぁ。
ともあれこれで一安心。このまま宿に戻っていると散策の時間が少なくなってしまうので手分けして行動することにした。カミさんにスーツケースを宿に戻しに行ってもらい、自分が散策中の飲み物の購入とスクーターを手配することになった。
というわけでこれが宿にかけてしまった面倒、その1である。ちなみにこの店は一昨日にカミさんがサングラスを買った店だった。そうか、このサングラスはこの店のものだったのか。
スーパー小祝と父島タクシー:
まずは飲み物の調達。父島は大村の集落以外に商店がない。更に自販機なども数が少ないので行動中の飲み物は集落の中の店であらかじめ購入しておくのが吉、というか鉄則である。
ということでやってきたのが、フリーショップまるひのすぐ近所にあるスーパー小祝(こいわい)。小岩井ではない。ここでペットボトルのミネラルウォーターを購入した。
やはり値段は本土と比べると随分高い。2リットルのものが190円ほどで売られていて本土のコンビニ辺りで買うのと同じような値段だ。それこそ激安系の店なら数十円で売っているのだから圧倒的に高い。街並みがそれなりによく整っているので離島にいることを忘れそうになるが、ここは船で1日かけてやっと来れる離島オブ離島なのだから価格が高いのはしょうがない。
とはいえ地元の人たちが経済生活を送るためにはこの高コストな生活を受け入れなければならない。それで収入が本土よりも良ければ暮らしぶりが悪化することもないだろうが、島で現金収入を得るのは大変である。となればやはり近所の人との助け合いが島暮らしの前提になる。そういう人づきあいが苦手な人は移住しないほうが吉だろう。。。
で、続けてスーパー小祝から数軒ほど離れた場所にある父島タクシーに行って予約しておいたレンタバイクの受け取り。道路に面したプレハブの事務所に窓口があり、そこで予約している旨を伝える。
ここでもバイクの運転が大丈夫か確認された。昨日は宿の人に嘘をついて借りたが、それによって無事経験者に昇格したので今回は自信をもって大丈夫です!と答えた。大手を振ってバイクに乗れるのが嬉しいw
軒先で待っているとほどなく奥から2台のスクーターが運び出されてきた。
「古いバイクだけど、まぁ、馬力はあるから。」
といって出されたパステルイエローのスクーター。見た目だけなら母島で借りたそれと比べて充分すぎるほど真新しいものだった。ただし母島のバイクには付いていたハンドル下の小物入れがなかった。これがあるとペットボトルとかを無造作に差し込んでおけるので便利なんだけどなぁ、と思ったが、思っても無いんだからしょうがない。
借用の手続きをしている時に宿から戻ってきたカミさんが合流し、2人で乗り方の説明を受けて出発。
父島散策 - 湾岸通り:
ということでようやく散策に出発である。島の道路は島の西側を海岸に沿って大村と扇浦の間を結ぶ都道がある。この都道はそのまま中央部に聳える山あいを越えて再び大村に戻ってくる。この道に沿った見所をみながら一周してることに。
母島は戦跡と集落の他はほぼ自然に関する見所しかない手つかずに近い島だったが、父島は戦跡以外にも各種観測施設などがあって見どころが多い。これからそれらを見て回る訳だが、宿の夕食までには戻らないとならない。
逆算すると散策に使える時間はおよそ3時間。また3時間か。母島より多い見どころを島一周する形で見に行くとなったらどう考えても時間が足りない。ある程度取捨選択が必要になるかもしれないが、まぁ行ってみよう。
まずは境浦という所にある父島の観光名所としては一二を争う有名物件である沈船を見に行ってみることに。
借りたスクーターはエンジンも快調でスムーズな走りが快適である。店のスタッフがこのバイクはハイパワータイプだと言っていたので制御が難しかったらどうしようかと少し身構えていたのだが、走り出してみたら特に心配するようなものでもなかった。
ただやはり父島は母島以上に交通量が多い。そう考えるとスクーター初体験が母島でよかったと思う。父島だったらちょっとビビッて乗りこなせなかったかもしれない。
これは別日に撮影した島のメインストリートの様子。左に見切れているのが父島タクシーで、奥のほうに二見港がある。ご覧のようにこの辺りはかなりゆったりとした道幅があり、片側2車線も取ろうと思えばとれるくらいの幅で1車線が確保されている。母島の道路に比べたら雲泥の差だ。
集落を出ると幅が狭まって(といっても片側1車線は確保されている)、アップダウンが多い道になってしまうのはどちらも一緒だが。