小笠原上陸【16】(2008/09/14)

母島散策 - 北へ:


2008/09/14

今日の朝食は宿の主人の計らいで7時に提供して貰えることになっていたので起床は6時。それから準備を済ませて7時に食堂に降りた。

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朝食はオーソドックな品揃え。これぞ宿の朝食である。この後また散策でそれなりに体力を使うと思ったのでたらふく食べておいた。

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7:40ごろに宿を出発。今日もまたきれいな秋晴れである。いや、秋晴れという単語はこの島には馴染まないが。

昨日、母島の南半分を攻略した(見残しも多いが)。なので今日は北半分を攻略する。こちら側は北端にある北村という場所まで例の北進線が繋がっている。その沿道に主に太平洋戦争時の遺構などが点在しており、それらを見学するのが今日のミッション。で、それとは別に北村にある北港と言う所で海と戯れることをカミさんから求められていて、それがもうひとつのミッションである。まず先に突き当たりの北港に行ってそのあと戻りながら戦跡を散策しよう。

今日もまた自分が後方となるフォーメーションである。

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北進線は南進線と比べると道が一回り狭く、1.5車線くらいの幅となっている。とは言っても通行する車が殆どないのは南進線と同様。バイクでも取り立てて走りづらいことはなかった。ただし、道はアップダウンが多い上に曲がりくねっているのでその点は注意が必要。

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写真はハスベイという場所だ。ほぼ垂直にそそり立った高い断崖は優に50m以上はありそうだ。三段壁なんか目じゃないほどの高さに目がくらむ。
ベイは湾のことだろうが、ハスはどんな意味なのだろうか。ワイビーチの件もあるので多分英語が日本訛りした物だと思うのだが元の英単語が想像できない。

 

昨日も思ったのだが、カミさんを前にしたフォーメーションを組んでいると会話が捗らない。もちろん運転中はほぼ会話不能なのだが、自分が先頭だった時には気になったところでバイクを停めたのでカミさんも必然的に停車することになりそこで会話することが出来た。

だが、カミさんは立ち止まらずにどんどん先に行ってしまうので、自分が後方だと立ち止まってみたくなる場所があっても気づいて貰えない。見た景色について感想を共有したくてもままならない。

停まってほしい時に大声で呼び止めてみたが全く気が付かないようなのでクラクションを鳴らして合図することにした。

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新ルールを適用して次に立ち止まったのは新夕日ヶ丘という場所である。西に面した高台で遥か彼方の水平線まで遮るものが何もない。天気の良い日にここから眺める夕日はさぞかし感動的なものだろう。歩いてきたら帰り道が寂しくなりそうだが。

しかし新夕日ヶ丘とはまた味気ない名前だ。島の名前からして父とか母とかなので、味気なくなってしまうのはやむを得ないのかもしれないが、まるで郊外の新興住宅地のような名前である。まぁ変な横文字の名前を付けられるよりはマシだとは思うが。

新が付くのだからどこかに旧があるのだろうと思うが、地図を見てもそれらしき表記は見つけられなかった。

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道端には点々と巻貝の殻が落ちている。アフリカマイマイの殻だろうか。中身が見当たらないので鳥にでも食べられてしまったのかもしれない。

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こちらはビッグベイからの眺め。こちらもちょっとどうかと思うほどの海食崖が発達している。よくこんな所に道を通そうと思ったものだ。

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さらに進んでいくと珍しくカミさんが自主的にバイクを停めた。何か見つけたのだろうかと傍らにバイクを停めてカミさんを見ると、森の木を指さして鳥がいると教えてくれた。

何の鳥がいるのだろうかと目を凝らしてみたら5センチくらいの小鳥が小枝の間を飛び交っていた。これはハハジマメグロっぽい。ハハジマメグロは母島にしかいないという大変に貴重な固有種だ。もっとも行き帰りの道すがらで時々見かけたので、島の中ではそれほど珍しい鳥という感じはなかったのだが。

この鳥は人間をあまり恐れないようで木陰に隠れるとか遠くへ飛び去るというようなことはしないのだが、なんだか妙にせわしなく木の枝をあちこち飛び回っている。折角の固有種なので撮影しようとしたのだが、オートフォーカスのデジカメは全く役立たずで全然綺麗に撮影できない。暫く格闘してようやく形が分かるねと言うくらいに写せたのが上の写真。でもピントが余り合っていない。。。

ここまで来ると終点の北港はもう間もなくである。

 

母島散策 - 北港:


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斜面を巻くようにぐねぐねと続いていた道はその鬱憤を一気に晴らすかのように最後に谷間を一直線に抜ける道になる。その先に見える海の手前で道路がぶっつりと終って北港に到着。あちこち立ち止まりながらだったこともあるが宿を出ておよそ40分ほどで到着した。

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道の終点から20m先はもう海だ。その間は芝生で整備された園地になっていて、立派な東屋が建っていた。周辺にはこの東屋と公衆トイレしか建物がなく貴重な日陰ポイントとなっている。

 

北港は母島北部で二手に分岐する半島に挟まれた湾の一番奥に位置している。そうした場所だけに波は穏やかでスノーケリングのスポットにもなっているらしい。ということで南崎での水遊びがお預けになったフラストレーションをここで開放することにした。早々に着替えを終えたカミさんが海に入ってキャーキャー言っている。まだ海水が冷たいらしい。

浜は丸い石がゴロゴロと転がるゴロタ浜で足元が滑りやすい。続けて自分も海に入る。確かに水はちょっと冷たく感じる。スノーケリングと言っても自分はあまり沖合には出ず、足が届く程度の浅場のあたりに漂った。

ここで今回の旅行に向けて入手した新兵器第2弾を試してみる。それはディカパックというデジカメの防水ケースである。ケースと言ってもハウジングではなくビニールでできた透明な袋で、水密になっていて中にカメラを入れて袋の外から操作するような物だ。一応レンズ周りは硬いプラスチックになっているのでレンズの出し入れには影響がないようになっている。

これまで旅先で何度か水に潜っているが、自分が使っているカシオのデジカメは水中撮影用ハウジングなどのオプションがないので、その都度防水タイプの使い捨てカメラを購入してそれで撮影していた。だが使い捨てカメラなので画質が微妙でイマイチな写真しか撮影できなかった。もちろんデジカメじゃないからどんな風に撮れているか確認することも出来ない。

だからどうにか今使っているデジカメを水中で使えるように出来ないかなと思っていたのだが、そうした中でネットで見つけたのがこの防水ケースだった。

これならデジカメで水中撮影が出来そうだ。ということで購入したのだが。。。

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まず最初に見つけたのがロクセンスズメダイ。まだ時間が早いせいか水が濁っている。。。

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暫くしたら幾分透明度が上がって来た。そしたら背びれが尻尾のように長いツノダシという魚がいた。いかにも熱帯魚と言う感じで見ていて綺麗だ。

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ヤマブキベラと、あと・・・よく分からない魚。

いかにもな感じでキャプションを書いたが画像はご覧のとおり。ひどいなんて物じゃない。これなら使い捨てカメラの方がマシなんじゃないだろうか。。。

なぜこんなことになったかというと、防水ケースのビニールだ。ビニール越しにデジカメの液晶を見ると画面に映っている物が殆ど認識できない。コントラストの高い被写体ならまだ識別できるのだが、魚はそもそも水中で目立たないようになっている。だからビニール越しだとどこにいるのか捉えづらかった。

日が出てきて水の透明度が上がる頃になると今度は防水ケースのビニールが日光を反射してしまい鏡のようになってしまう。こうなると液晶そのものが全く見えなくなる。

もちろんこんな状況ではフォーカスがどこに当たっているかも判別できない。カメラが頑張ってくれることを期待して闇雲にシャッターを切ってみたのだが、どうもレンズの先にある防水ケースのカバー部分にフォーカスが当たってしまうらしく全部ピンボケだった。

水中ではその出来映えを確認できないので、陸上に戻って防水ケースを外して再生してみたらこんな出来映えでがっかりしてしまった。多分フォーカスをマニュアルフォーカスの無限遠に設定すればもう少しマシな物が撮れそうなのだが。。。酔った。チャプチャプしている所はやっぱり苦手。。。

だからもう一度海に入って撮影をチャレンジする気になれなかった。

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陸上で酔いを醒ましながら桟橋の周囲をうろついてみた。写真に写っているのはトビハゼという魚だ。もちろん水中ではない。ハゼは皮膚呼吸が出来るらしく体を湿らせておけば陸上でも結構な時間生きていられるのだそうだ。

太陽がようやく上の方まで昇ってきて陸上はもはや炎天下となっていた。海で冷えた体を天日干して暖まってきた所で公衆トイレに行って手足の潮を流してきた。洗面台の蛇口はボタンタイマー式になっていて押すといっとき水が出るタイプの物だったのだが、水栓が絞られているらしく水がチョロチョロとしか流れない。キリがないのである程度流した所で終わりにした。

再び東屋に戻るとカミさんは相変わらず港の周りでプカプカ浮かんで水中散策を楽しんでいる。だが、ふと時計を見ると時間はすでに9時を回っていた。いつの間にこんな時間!そろそろ戻り始めないと他の見所が見られない。カミさんに声をかけてぼちぼち切り上げることにした。

Posted by gen_charly