九州めぐりと寝台特急はやぶさ乗り納めツアー【9】(2008/11/23)

大浦天主堂:


そこからグラバー園の方へと進み、最寄りの駐車場に車を置いて散策開始。まずは大浦天主堂へ行ってみる。先ほどから時折小雨がパラつき始めた。本降りにはならないと思うが一応傘を忍ばせておく。

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そこからしばし歩いていくと大浦天主堂だ。大浦天主堂は幕末の1864年に竣工した日本最古のカトリック教会である。
その後1879年に大幅な増改築が行われ現在の姿になった。

自分は宗教全般に疎い人間なので、この教会に関する由来や出来事などはあまり分からないのだが、まぁ長崎と言えばキリスト教とは切っても切れない場所であり、そうした名所のひとつであるからには行っておかないとくらいの認識で来てしまった。なのであまり書くことがない。。。教会内に入ると座席が両側に並んで中央に祭壇がある、教会を訪ねたことはこれまでなかったが結婚式場のものなら見たことはある。それっぽいなと思ったが、それでは何も言っていないのと変わらない。

自分らもホテルに併設された教会で式を挙げたクチなので偉そうなことは言えないが、こういうのを見ていると日本人ってやっぱり節操がないな、と思ってしまう。初詣やお宮参り、七五三や厄除けは神社でやって貰って、バレンタインデーや結婚式、ハロウィン、クリスマスはキリスト教の様式でやる。そして死んだらお坊さんにお経を読んで貰って寺の墓に入る。そのくせ、教会でのお祈りの作法を知っているとか、お寺のお経をそらんじることができる人も少ない。そんな人って多いんじゃないだろうか。

よく言えば八百万の神々の国ならではの柔軟性だが、悪く言えば神への冒涜である。あれ、何の話だっけ。。。
中を見学している時にこの教会について解説するガイド音声が流れていたがどんなことを話していたかはあまり記憶がない。

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というわけで次。大浦天主堂からグラバー園へ向かう道は2本あって、そのうち道が近そうな裏通りの方を歩いてみた。
その途中に途中に旧羅典(らてん)神学校という説明板が掲示された建物があった。

洋風建築の様式がベースとなっているが、瓦屋根や漆喰の壁といった在来工法の手法も取り入れられた折衷的な建物になっている。いかにも明治期に建てられたような雰囲気だが、明治8年築とのこと。

ラテンという単語はラテンアメリカとかラテン系とかよく耳にするものだが、何気にその意味を調べたことがなかった。ラテン系という言葉を聞くと陽気で開放的な雰囲気の物を思い浮かべるが、調べてみると地中海沿岸地域の古代語であったり、スペイン語やポルトガル語を指す言葉なのだそうだ。更にそれらの言語を公用語とする国々を指す名称でもあるらしい。つまり、ここはそうした地域の教典を授けるために作られた学校ということになるだろうか。

こちらも大浦天主堂を創建したプチジャン神父という人が建てた物だそうだ。
館内も見学でき軽く中を覗いたのだが、本腰を入れて見に来たわけではなかったのでこちらもまたもう記憶の彼方である。。。

 

グラバー園:


で、いよいよグラバー園へ向かう。その道沿いに土産物を売る店が軒を並べている。帰りにゆっくり見てみよう。
入園料を支払って園内に進むとまずエスカレーターに出迎えられる。ここは結構な高低差がある斜面に敷地が広がっていて、入口はその麓にある。なのでまずエスカレーターで最上部まで登ってから麓に降りながら散策できるようなコースになっているという訳だ。確かに山登りをしながらの散策は骨が折れるし、途中で挫折して帰ってしまう人もいるのだろうから、よく考えられているなと思った。

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エスカレーターを降りてほどなく見えてくるのがこの洋館。旧三菱第二ドックハウスだったものだそうだ。三菱でドックと言ったら造船である。それに関連する建物がこんな山の上にある訳はない。グラバー園を建設する際にここに移築されたものだそうだ。

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建物は内部にも立ち入れるようになっており、明治期の日本における洋館建築の様子をじっくり見学することができる。
2階にはテラスがあり、そこから鯉が沢山泳ぐ池やその向こうの海岸が一望できる。こんな眺望が得られる場所で暮らせたらさぞ気分がいいだろうなと思う。

中学生くらいの頃、こじゃれたトレンディドラマや青春系のアニメの舞台となる街は、大概海が見える小高い丘だったり、緑豊かな斜面に広がる住宅地だったりといった風光明媚な場所だった。自分もそういう街で暮らすことに憧れた時期があった。そんな待ちで暮らしたらきっと素敵な出会いがあるんじゃないか、などと何の根拠もない妄想をしていたのだ。まさに中二病ってやつだと思うが、今にして振り返ってみるともし本当にそういうところに住んでたら通勤通学で毎日のように山の昇り降りをしなきゃならないので辟易としていたに違いない。

でも憧れるんだよなぁ。

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順路に沿って山を下りると、途中にあるのが旧ウォーカー住宅。ウォーカー2世という人物が購入して住んでいた住宅だったそうだ。この建物については残念ながらあまり印象がない。

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そのウォーカー住宅の道向かいにあるのが旧長崎地方裁判所長官舎
ここは園内を明治時代の貴族の衣装を着て歩くことができるサービスの拠点として使われている。
実はグラバー園を訪ねたのはカミさんがこの衣装を着て園内を散策してみたい、と希望したためでもあった。それを聞いていいんじゃない?と他人事のように返したら、あんたもだよと言われた。えー。

恥さらしになりそうで自分がやるのは流石にゾッとしない。とはいえ旅の思い出にはなると思うので園内にあまりひと気が無ければやってみようかな、とも思っていた。が、いざ訪ねてみたら園内はなかなかの人出である。この人たちに奇異の目を向けられながら園内を練り歩く勇気は流石に持てなかった。

店の前まで来て、いや俺無理だわ。。。とカミさんに泣き言を漏らした。自分は遠慮しておくけどやってみたかったら1人で着てみたら?と促しつつカミさんの方を見たら、カミさんもちょっと考えあぐねている様子だった。流石にそこまでの度胸は持ち合わせていないか。

一頻り悩んだ後、やっぱやめとくということだった。どうにか恥を晒さずに済んだw

 

ちなみに女の子同士のグループなんかは皆でレンタルしてキャッキャ言いながら写真を撮りあっていた。そうそうこういうのはやっぱり女の子がやった方が華があっていいよね。カミさんの気が変わらないうちにそそくさと先に進んだ。

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すると次に見えてくるのが旧オルト住宅である。PC脳な自分はすぐctrlとかつぶやきたくなるが関係ない。
それはさておき結婚式である。こんなサービスまでやっているとは思わなかった。

こんな雰囲気の良い場所で式が挙げたらきっと一生の思い出になるだろう。もっとも自分がこうしてそれを見ていることからも分かるとおり、本来園の展示物なので園内の見学者からは丸見えである。自分たちの晴れ姿に自信がある人でないと、ここで式を挙げるのはハードルが高そうだ。貸衣装を着るのですら躊躇う自分にはとてもじゃないけどあの場所に立つ度胸はない。
全く見ず知らずの他人だが、何故かお幸せにと暖かい気持ちで見守ってしまった。これもグラバーマジックか?

 

ずっとこれを見ている訳にもいかないので、2,3分ほど見学したら先に進むことにした。次に目指す旧スチイル記念学校へはこの建物の前を通り抜けないとならない。赤の他人が闖入することに気が引けたがここを通るより他ないので、出来るだけ邪魔しないようにそそくさと通り抜けた。

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で、こちらが旧スチイル記念学校。スティールじゃなくてスチイル。英語で表記するとSteel Academyということなので現代ならスティールと記述するところだと思うが、明治時代には長音記号がなかったのだろうか。

この建物の中を見学して出てきたころに少し雨脚が強くなっていた。他の建物もひととおり見学はしたのだが、雨の中カメラを構える気にならずリンガー住宅やこの園の名称にもなっているグラバー住宅などはほとんど記憶にない。何やってるんだろうね。

という訳でイマイチ締まりが悪いが、グラバー園の見学は以上で終了。

 

長崎のカステラ:


帰り道に例の土産物の店を冷やかした。オランダ物産館という店で和泉屋という店が作っているカステラの切れ端が売られていた。切れ端と言えば時々近所のスーパーで、激安!1グラム1円なんて書かれて売られているのを見かけるが、手に持ってみたらそれらとは重さが全く違った。同じ切れ端でもこちらは本気である。

それが3切れ入って1200円、もちろん買った。カステラは長崎を代表する銘菓だけあってこうした切れ端でもあちこちの店で売られていて、案外よく売れているらしい。正式な贈答用としてではなく自分らで食べたり気軽な間柄の人に持って行くお土産にしたりといった需要があるそうだ。それだけ地元の人にとってもおなじみの味なのだろう。味は全く同じなのだから圧倒的にお得である。

 

その先に有った清風堂という店でもカステラが売られていた。その店では試食を提供していたのでサービスのお茶と共にちょいと味見させてもらった。普通のカステラの他、チーズ、抹茶、チョコ、ザボンといった種類があってどれも美味かった。とりわけ美味かったのがチーズ味。冷えた状態で提供されてチーズケーキみたいな味わいだった。これは珍しいと思い1本購入。

どちらも自宅で食べるためのお土産である。カステラばかり買ってどうするのかと言う気もしなくもないが、チビチビと楽しみたい。

 

それと岩崎本舗という店で売られていた角煮饅頭も購入してみた。これは駐車場までの道すがらで歩き食いしようと思っての購入だ。
角煮は良く脂が乗って、それでいてホロホロとしている。これまた美味。以前台湾で食べたものとも勝るとも劣らない本格的な味だった。
こういう土産物屋が並ぶような場所で売られているものは味や価格が観光地仕様で微妙だったりすることが多いが、ここ最近はそういう胡坐をかいた商売では立ち行かなくなってきているのか、案外ハズレに当たらない。いい時代になったものだ。

Posted by gen_charly