九州めぐりと寝台特急はやぶさ乗り納めツアー【12】(2008/11/24)
西鉄貝塚線:
2008/11/24
昨晩、無駄に海の中道方面へ足を延ばしたりしたせいでまた就寝が遅くなってしまった。結果起床したのは9時半。
今日は九州滞在最終日。熊本駅16時発のはやぶさで東京へ戻ることになっている。夜までゆっくり滞在できないので今日の行程は出来るだけ早くスタートしたいと思っていたのだが結局この体たらくでして。。。
それはさておき、本日は鉄道撮影がメインの旅となる。今いる福岡でまず西鉄や福岡市営地下鉄の写真を撮影し、その後熊本へ移動して熊本電鉄や熊本市電を撮影する計画である。とはいえ流石に電車ばっかり撮っていたらカミさんは不満だろうから、熊本城あたりも見に行ってみたい。ただこの時間だからなぁ。しかも天気はがっつり雨である。本降りの雨が降り続いていてとても散策できる雰囲気ではない。なのでむしろ今日を鉄道メインにしておいてよかったと思わないこともないがちょっと残念。
という訳でまずは西日本鉄道貝塚線の車両の撮影のため貝塚駅へと向かう。古賀SAからは1時間ほどの道のり。西鉄貝塚線というのはかつては宮地岳線と呼ばれていた路線だ。2007年に末端部が廃止となりそれと同時に貝塚線に名称変更している。
貝塚線は他の西日本鉄道線と接続していないうえレールの幅も異なるため、完全に独立した運用となっている。車両はもっぱら本線系統のお下がりがあてがわれているので近年になっても割と旧式の車両が走っている路線としても知られていた。
で、そんな車両のひとつに313形というのがある。元々は300形シリーズの1形式として貝塚線に複数配置されていた車両なのだが、上述の廃止の際に大幅に整理され313形が1編成残るのみとなってしまった。なので訪問したという次第。とはいえ列車が何時に入線してくるのかは全く確認していない。行き当たりばったりなのだが果たして。
貝塚駅に到着しカミさんにどうするか聞いてみた。駅周辺は住宅地でショッピングが出来るような店は殆どない。一緒に来ても時間を持て余すだけだと思い車で待っててもいいよ、と伝えたのだが一緒に行くとのことだ。
駅の改札前の辺りにパンフレットラックが置かれていた。カミさんはそこでパンフレットを吟味しながら時間つぶしをしているというので、その間に撮影しに行くことに。
ホームに上がると停車していたのは600形だった。これじゃない。いやこの車両もなかなかに味のある車両ではあるのだが。
いつもなら運がなかったねと諦めて戻ってしまうのだが、今回はなぜか諦めきれず駅員に訪ねてみることにした。対応してくれた駅員は車両にはあまり興味がないらしく313形と伝えてもピンときていない感じだった。ただ、ちょっとお待ちください、と言って奥にいた別の駅員に問い合わせてくれた。だがその人もよく分からないといって更にどこかに電話をかけて問い合わせをしてくれた。
本来駅でどの列車がどの形式が運用されているのかという情報は共有されていないのかもしれない。にもかかわらず問い合わせまでさせてしまってなんだか恐縮する。
ただ、問い合わせをしていただいたことで貴重な情報が得られた。なんと次に入線してくる列車がそれだというのだ。やっぱ聞いてみるものだね。お礼を伝えて再びホームに戻り次の電車を待った。
待つこと5分。駅員の回答のとおり、次に入線してきた車両は313形だった。デザインにこだわりがなさそうなシンプルイズベストな外観をしているが、西鉄で1編成しか残っていないレア車両である。見る事が出来てうれしい。
またとない機会なので、車内にもお邪魔して運転台の写真も撮影させてもらった。いかにも昔の電車と言った雰囲気の機能本位な運転台だった。無事撮影を済ませることが出来たのでお礼を言って改札を出た。
さて、貝塚駅には福岡市営地下鉄も乗り入れている。折角なのでそちらも撮影しておくことに。
入線していたのは2000形であった。福岡市交通局の最新式車両である。まぁここで特筆するようなトピックはあまりない車両だが、とりあえず撮影できたので満足。
さて、福岡の地下鉄を走る車両は2000形の他に1000形や、直通するJR筑肥線の103系1500番台といった車両がある。折角だからそれも撮影したい。ということでもう1本待ってみることにした。だが、次に来たのも2000形。更に2本ほど見送ったが2000形しかやってこなかった。。。カミさんを待たせて30分ほど経つのでぼちぼち戻らないと不機嫌になる。ということで後ろ髪惹かれつつ撤収。
カミさんは改札前で何をするでもなく佇んでいた。案の定少し機嫌を損ねていた。。。パンフレットはとっくに見終わってやることがなくなってひたすら待っていたらしい。
熊本電鉄:
というわけで今度は熊本へと向かう。時間があればもう少しこの辺の鉄道路線の撮影にも繰り出そうかと思っていたのだが、時間が押し気味だ。カミさんもうんざりした顔をしているので、早い所熊本へ行って少しでも観光の時間を確保したい。
今回の旅行で2度目の熊本までの高速移動。勝手知ったる、なんてことはないが、1度の旅行で同じ道を2度も走ることになるとは。
植木ICで降りてそこから北熊本駅へと向かう。
熊本県に入った辺りで雨が上がった。時折薄日も差しはじめたのでこの後の天気は回復傾向かもしれない。
北熊本駅は熊本で2路線を運営する熊本電鉄の菊池線、藤崎線が接続するターミナル駅だ。同時に車両基地も併設されているのでここなら複数車両が撮影できそうということで訪ねてみた。
駅は国道3号に面していて目の前の通りを車がひっきりなしに通過している。ご覧のとおり鄙びた雰囲気の駅舎だが、駅前広場には意外にもマクドナルドがある。だが完全に国道を通行する車に向けて商売をしている感じだ。
到着したタイミングでカミさんは熟睡中だった。起こすのは気が引けたので寝かせたまま単独で駅構内に入った。
で、入場券を買ってホームに移動したらほどなく入線してきた車両は5000系だった。
こちらは元東急の5000系電車。青ガエルの愛称で知られた東急の名車のひとつである。程よくコンパクトでまとまった台数があったので、一時期は地方の中小私鉄でよく見かける車両だったが、近年では各社で引退が進みとうとうここ熊本電鉄に残るのみとなってしまった。
東急線内では長い編成を組んで走っていた車両だが、ここでは1両の運用となるので反対側には運転台が増設されている。
元々単なる連結面だったところに運転台を設置しているので、反対側とは印象がだいぶ異なっている。何故かこちら側の運転台は進行方向右側に設けられている。つまり反対側の運転台と逆サイドである。車で言えば行きはアメ車で帰りは日本車みたいな状態になる。何故わざわざそんなややこしいことをしたのだろう。
続いて入線してきたのは6000系。こちらは都営三田線の6000形である。熊本電鉄では何編成かまとまった数を購入したのだが、導入時期が少しずつずれた関係で、編成ごとにデザインが少しずつ異なっている。
上の写真では前面の黄色い帯が一番目立つ違いだと思うが、それ以外に違っている場所が分かるだろうか。
更にこちらの車両はなんと赤帯になっている。都営線で赤帯と言えば浅草線。かつて浅草線では5200形という赤帯のステンレス電車が走っていたが、三田線はラインカラーが青なのでここでしか見られないレア編成である。。。と思ったら、この車両もデビュー当初は赤い帯を巻いて走っていた時期があったらしい。
とはいえ熊本電鉄によるとこの車両を赤帯にする際、そのことを特に意識した訳ではないそうだ。
ちなみにこの6000形車両は、熊本電鉄の他、埼玉の秩父鉄道でも走っている。また、日本の鉄道車両の中古車が多数走っていることで有名なインドネシアにも旅立っている。
さて、6000系の列車が出発すると駅は静かになった。この後は暫く列車は来ないようである。
車庫の方を見ると奥に何両か車両が停まっているのが見える。折角だから見学できないかと駅員に相談したら割とあっさり許可を頂くことが出来た。という訳で今度は車庫の方へお邪魔する。
まずは200系電車。こちらは元南海の22000系だそうだ。
22000系は2扉だが、中間に扉が1カ所増設されて3扉に改造されている。更に前照灯が窓の下に移設されていて印象もかなり異なったものとなっている。
個人的には元の22000系のデザインよりこちらの方が精悍で力強い印象があって好ましいと思っているのだが、いかがだろうか。
点検庫の手前に停まっていたこのクラシカルな電車はモハ71形という。
既に車籍がないので本線上を走行することは出来ない。もっぱら車庫の中で入れ替えする際の牽引車として使われているそうだが、案外しっかりと手入れされていて、ほんの少し手を加えたら本線でも走行できそうなほど良好なコンディションを保っている。
そしてその奥には5000系が入庫中だった。塗装を塗り直しているようだ。しかし、車体のスマートさに不釣り合いなごつい足回りである。
もう全国でもここだけになってしまった5000系だが、こうしてみるとまだまだ使い続ける意思が感じられて安心する。
車庫に停車していた車両は以上である。駅員にお礼を言って改札を出たらカミさんが立っていた。じゃあ、ということで隣接するやさい村を覗いてみることに。直売系なのか野菜の価格は都内のそれと比べたらどれも格安。思わず買い込みたい衝動に駆られたが、この先まだ長い鉄道の旅が待ち構えているのでグッと我慢。
よく吟味して購入したのはむかごという山芋の小さい奴。山芋というと皮をむいて乱切りにした物を煮たりするが、むかごは小さいのでそのままふかして皮をむいて食べるらしい。
更に隣接するA-プライスへもハシゴ。とはいえこちらは業務系スーパーで大袋入りの冷凍食品が主役だったので買えるものがなかった。ただ、レジ脇にコーヒーの試飲サービスがあり近づいてみたら店員から勧められたので1杯頂いてみた。
インスタントではなくちゃんとドリップしたものだそうで、風味がしっかりしていた。駅周辺を散策して冷えた体にしみ込んだ。