四国・山陰初日の出【4】(2008/12/31)

足摺黒潮市場:


見残し海岸はどうしてそういう形になったのだろう、と不思議になるような奇岩が点在していて見ていて飽きないものだった。だが見残し海岸の見物はあくまで前菜。本日のメインディッシュは足摺岬である。これからそこへ向かうが、その前に昼時になったので昼食を済ませておきたい、ということで先に土佐清水市街に繰り出してみることにした。

 

街中を車で走っている時に酒屋を見つけた。自分とカミさんの共通の友人に途轍もない大酒飲みがいて、いつも集まると底なしに酒をかっくらっているのだが、普段から酒に親しんでいるだけに酒の銘柄には詳しい。ウチらは彼らへのお土産として旅先の銘酒などを見繕って持って行くのだが、大抵その酒は地元でも売っていると指摘される。
そう言ったって酒飲まないから何が珍しいのかとか、美味い酒はどれか、なんていうことはさっぱりなのだ。かといって銘柄指定されたらただの使いっ走りみたいで癪である。

で、その酒屋を見つけた時に、ここならあまり流通していない酒か置いてあるような気がしたのでちょっと立ち寄ってみた。土佐と言えば酒飲みが多い土地柄として知られる。そうした地域の酒屋だけに、店内には所狭しと様々な銘柄の酒が置かれていて、もうどうしていいのか分からないw

とりあえず店員に東京であまり流通していないものか美味しくておススメの酒はないか聞いてみた。すると店員がこれなんかあまり流通していないはずですよ、と言って持ってきてくれたのが・・・もう、なんという銘柄だか忘れてしまった。いかんせん詳しくないので店員のおススメするまま、じゃあそれ下さいと言って銘柄も見ずに買ってしまったのだ。

後日彼らと集まった際にその酒を持っていった。物珍しそうに見ていたので珍しい銘柄だったことは間違いないようだった。
で、開栓して飲み始める。一升瓶を買って行ったのだが、水を飲むように飲み続けるので1時間も経たずに空になってしまった。恐るべし。。。多分後半なんか酒の味も何も分からずに飲んでるだろう。なんか持って行く甲斐がないなと思った。


改めて昼食。この辺りで食事のできそうな店を探してみたら、足摺岬へと向かう道すがらに足摺黒潮市場なる店があるそうだ。そこではサバを使った料理が食べられるというので行ってみることに。

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店は土佐清水さかなセンターの一角にあり、店内には多種多様な海産物が並べられていた。それを眺めつつ歩いていたらゆず茶なるものの試飲が提供されていたので頂いたらなかなか風味の良いお茶だった。

それから食堂へ行き料理を注文。

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自分が注文したのはネイリの刺身定食。ネイリとは地元でカンパチの幼魚のことを指す名前そうだ。サバじゃないじゃん、と思ったが耳慣れない魚の名前を聞いたら食べてみたくなるのが人情。

果たしてそのネイリの刺身は脂が乗っていて歯ごたえもよく実に美味かった。アオサと大根の味噌汁もまた美味。

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そしてカミさんはちゃんとサバを注文した。サバのぶっかけ丼という料理だ。
ご飯の上に乗せられているのは漬けになったサバの切り身。最初はこれを刺身丼として食べて、お好みのタイミングでポットに入ったダシをまぶしてお茶漬けにして食べるという一品。まご茶漬けというやつだ。

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自分もおすそ分けを貰ったが、脂が乗ったサバはダシの風味と相まって喉ごしが良くサラサラと入ってしまう。折角の料理を堪能する間もなく食べきってしまった。。。

 

足摺岬:

 


 

食事を済ませてようやく足摺岬へと向かった。
黒潮市場からは車で数分の距離にあるが、観光客の姿が思いのほか多かった。駐車場が混雑していてすぐに停めることが出来ず5分ばかり駐車場内をウロウロする羽目になった。

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駐車場から足摺岬までの間は遊歩道が整備されている。その入口には中浜万次郎(ジョン万次郎)が岬の方を向いて仁王立ちしている銅像が立っていた。

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その遊歩道を5分ほど歩いていくと岬の灯台が見えてくる。ここが四国の最南端である。。。と言いたいところだが、実際にはここの近くにある長ハエと呼ばれる場所が最南端に君臨しているとのこと。まぁ、どちらでもいいじゃないか。

しかし足摺岬は遠かった。東京からの道のりを振り返ると道路事情の悪さも相まって最果ての地のように遠い場所だった。
これで四国の最南端も制覇。あとは九州最南端の佐多岬と日本最南端の波照間島か。先は長いのう。

 

足摺の七不思議:


さて、この岬の周辺には足摺の七不思議と呼ばれる名所があるそうだ。岬の周囲を巡る遊歩道上にあるらしいのでちょっと見に行ってみることに。

遊歩道を歩いて程なく見えてくるのが地獄の穴と呼ばれる場所。

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こちらがその物件。なんだろうね、しょっぱなからがっかりさせてくる。足元に見える排水口のようなものが地獄の穴だそうだ。その由来はというと、

「この穴に銭を落とすとチリンチリンと音がして落ちていく。その穴は金剛福寺の本堂のすぐ下まで通じているといわれます。」

というものであるらしい。ちょっと待て、そのどこが地獄なのだ?金剛福寺の本堂の下は地獄なのか?地獄だと分かっててお金を落とすなんて盗人に追い銭みたいものではないか。

まぁ一旦それは置いておこう。で、どんな深い穴が口を開けているのだろうかと覗いてみると、20cmにも満たない深さのところで埋まっている。その底の部分には小銭が落ちている。お前らもやるんじゃないw

帰宅後に調べてみたら現在は塞がっていると書かれていた。だから穴が塞がらないようにわざわざ塩ビパイプを設置したということか。いやいや、そんな穴保全する必要もなかろうに。

なんか、しょっぱなから物凄くモヤモヤとした気分にさせられた。

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お次は弘法大師の爪書き石と呼ばれる物件。写真を見てもなんのこっちゃ、と言う感じだが、ここにも件の解説板が設けられていて、それには、

「この岩肌には大師が爪で『南無阿弥陀佛』と六字の名号を彫っています。」

と書かれていた。でもその岩を見ても上のようなもので、どこをどう見立ててよいか分からなかった。まぁ、いいやと思って先へ進もうと思ったら、通りかかった人が説明してくれた。

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分かった?
ひとつ上の写真と見比べて欲しい。なんとなくそれっぽい溝があることが分かると思う。分かって納得!という気持ちにはならないが見立ては理解はできた。弘法大師はこれを爪で書いたというのか。いやそこはノミを使おうよ。

 

更に大師一夜建立ならずの華表(とりい)や、亀呼び場汐の満干手水鉢といった見所がありそれらもひとつひとつ見て回ったが、写真映えしないというか、元々分かりづらい七不思議が写真だと更に分からなくなってしまうので写真には撮らなかった。

そして更に遊歩道を進んでいくと、

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見えてくるのが亀石という岩。これは確かにカメっぽい。が、自然の造形というにはちょっと不自然な感じも受ける。解説板には、

「亀呼場(岬先端)から大師が亀の背中にのって灯台の前の海中にある不動岩に渡ったといわれています。この亀石は、その亀呼場の方向に向っています。」

と書かれていた。またツッコミどころが。。。何某かの亀が弘法大師を乗せて行ったのはひとまず良い。この亀は何のためにその方向を見ているのか。自分も行こうとして別の亀に先を越された、みたいなシチュエーションか。

折角、誰もが亀と評することができるような岩なのだから、もう少しつじつまの合うストーリを考えてあげればいいのになと思った。

 

そのほかゆるぎ石不増不滅の手水鉢根笹等の見所があるそうだが、この辺はもういいやとなって訪ねなかった。・・・ちょいまち、ここまで上げたスポットの数いくつだ?9つあるじゃないか。これでは七不思議ではない。

最後の最後までツッコミどころの多いスポットであった。
しかし、この七不思議の解説を考えた人には大いに感心する。よくこれほどまでに深く考えなければさらっと流せて、深く考えるとツッコミどころ満載の絶妙なコピーを考えたものだ。ある意味バランス感覚が非常に優れている。

Posted by gen_charly