四国・山陰初日の出【5】(2008/12/31)
白山洞門:
さて、ちょっと強引な印象が否めない七不思議を見物したわけだが、その遊歩道を更に道なりに進んだ先に白山洞門というものがあるらしいのでついでに見に行ってみることに。
遊歩道はこんな感じでよく整備されていて歩きにくい所はなかったが、いかんせんその白山洞門とやらがいつまで経っても姿を現さない。
道を間違えたのだろうかと不安になりながら10分ばかり進んでいくと、ようやく視界の先にそれらしきものが見えてきた。
遊歩道は山の中腹部分を通っていて、洞門が見える場所は海岸なので最後海岸まで降りる所が急な階段となっていた。
その階段の中間地点で道が枝分かれして、そこに簡素な鳥居が建てられていた。だが、鳥居の先に祠などは置かれておらず、道は数mばかりで山の岩肌にぶつかって行きどまりとなっている。
恐らくこの山自体がご神体ということなのだろうと思うが、なんという神社なのかは現地に案内がなく不明。
更に階段を降り切ると、白山洞門が眼前にどんと聳えている入江のような場所に出た。ご覧のとおり山の海岸に面した部分が貫通しトンネルのようになった場所である。つまり9月に小笠原の南島で見てきた扇池と同じようなものだ。こうしたものを1年のうちに2回も見るのもまた珍しい。
南島で見たのと比べると岩肌のそそり立ち方が直線的で力強い感じがする。これはこれでいいものを見た気になった。
我々がここに来る時に降りてきた階段はこんな感じ。勢い上ここまで降りてきてしまったが、戻りを考るとややうんざりする。
左に見えるコンクリートの構造物はがらんどうの廃墟の様だった。見た感じそれほど古いものには見えなかったが、以前は土産物屋とか海の家的な施設が何かしら入っていたのかもしれない。小ざっぱり片付けられていたので、あるいは作りかけで中断したものかもしれない。
足摺岬周辺は多くの観光客でにぎわっていたが、ここまで足を延ばす人は少ないらしく周囲に人影はない。洞門を潜り抜けてきた海水が浜に打ち寄せる音と、自分らが歩く足音だけがこの空間を支配していて何とも言えない寂しさを感じた。
10分ほど留まって小休止を兼ねて記念撮影なんかをしてから戻ることに。階段を登っていくと途中にもう1か所道が分岐している所があった。どこへ続く道かと左折したら少し上を通る車道に合流した。
道向かいに神社の鳥居が見えた。白山神社というそうだ。明日は元日なので門松がおかれて新年を迎える準備が整っていた。
折角なのでお参りして行こうかなと思ったが、時計を見たら結構長居をしていることに気が付いた。ぼちぼち先に進まないと先の行程に影響し そうだったので参拝は見送った。
で、車道を足摺岬の駐車場へ向け進んでいくと僅か5分ばかりで着いてしまった。あれ?行きの十数分はどこを通っていたのだろう。。。
海癒の湯:
見残し海岸への立ち寄りや足摺岬周辺の散策で思いのほか時間を取られてしまい、気が付けば15時を回っていた。想定ではこのあと四万十川の川下りを体験しに行くつもりだったのだが、最終便の出発が16時ということなのでもう間に合わない。
川下りの後、芸予諸島に浮かぶ生口島に実家のある職場の後輩M君を訪ねて、それからその辺のどこかの島で初日の出を迎えるというところまで考えていたのだが、流石にちょっと見通しが甘かったようだ。
だが、高知なんてそうしょっちゅう来られない場所なので川下りもやっておきたい。少し悩んで結局M君に会う日程を明日に延期をしてもらって、もう1日高知に留まることにした。
それじゃこの後何しようかという話になった。ガイドブックをめくると見所はあるにはあるのだが、今から行くにはちょっと時間が足りなさそうな所ばかり。で一頻り考えてお風呂を済ませてしまうことにした。
ガイドブックによると近隣の入浴施設として海癒の湯という温泉があるようなのでそこを目指す。海癒の湯は足摺岬から20分ほど戻った辺りにある。
建物は小奇麗なこじんまりとした建物で、日帰り入浴のみならず湯治などの長期滞留にも対応した施設だそうだ。隣にはサニーグリーンという年季の入ったホテル?の建物がある。その建物の1階にある喫茶店かロビーのようなところで、宿泊?客らしき人が穏やかな表情でアコースティックギターを奏でていた。なんと優雅な大晦日の過ごし方であろうか。自分には到底思いつかない。
海癒の湯は日帰り入浴で950円とややお高めだが、中に入るとそこいらの入浴施設では見られないようなモダンな作りになっていて、洒落たソファーがロビーに配された落ち着いた空間となっていた。なんだろう、この優雅さ。この半径50mばかりの空間だけ物凄くゆったりとした時が流れているようだ。
一方、お風呂は小ぢんまりとしたもので2,3人で一杯になるくらいの大きさのものが2つあるだけで洗い場も3人分くらいしかない。
お湯は薄く茶色みがかったとろみのあるものでアルカリ系の泉質の様だ。もちろん源泉かけ流し。ただし湯温は低いらしく薪で沸かしているとのこと。
湯舟の窓にドアが付いていて外に出ることができるようになっている。だが、出た先はデッキで露天風呂ではなかった。がその先に広がる太平洋が一望でき、雄大な風景を見ながら温まった体をクールダウンさせるのに最適な場所だった。ただし柵の向こうにある県道をバスが通ると窓の上部が見えた。ということはバスからもこちらが見えるということである。。。もう少し柵が高い方がいいかもしれないと思った。
また洗い場の蛇口の水量がやや心もとなく泡を流すのに手間取った。もう少し水圧が強いと更に気持ちよく入れたかもしれない。
とはいえ湯治の受入が出来るような施設であり、のんびりリラックスした気分で入浴してもらうことを主眼にしているためか、景色を眺めながら無心になっていると良質なリラックスタイムを得ることが出来た。普段は短めに上がってしまう自分だが1時間ばかりじっくりと楽しませてもらった。
食卓を紹介:
お風呂を済ませたらもうやることがないので早々に道の駅へと移動。今回の停泊先は道の駅ビオスおおがたという所にした。
四万十市街を通り抜けて少し高知方面に戻った所にある。
途中、中村駅に立ち寄って入場券を入手。更にスーパーにも立ち寄って夕食の買い出しも済ませた。
道の駅に到着したら夕食の時間。もちろん車内でいただく。大みそかなのでメニューはもちろん年越しそば。昨年の大みそかはコンロを持参し忘れるという大失態をしでかしてしまい、侘しい年越しを迎える羽目になってしまった。同じ轍は踏みたくないので今回は何度も指さし確認をしたw
さて、これまで我々の旅行では何度も車内で調理を行っているが、その様子をお見せしていなかった。皆さんの興味があるものではないかもしれないが、これから車中泊デビューをしようと考えている人の何かの参考になるかもしれないのでご紹介させていただく。
写真が全てを語ってしまっているが、毎回こんな感じで食事を楽しんでいる。スパイクはリアシートを倒すとフラットなラゲッジスペースになる。床の材質がプラスチックなので生地などに燃え移る心配は少ない。念のためスライドドアを少し開けて換気をしながら調理をしている。
我が家は2人とも酒を飲まないのでちゃんと火の始末をしてから就寝しているが、酒を飲むと寝落ちしてしまう人はやめといた方がいいだろう。あるいはポータブル電源を持参してIHのクッキングヒーターなどを使うのが良いかもしれない。
テーブルは折り畳み式の小型テーブルを用いている。何かの折に貰ったものだが、畳んでしまえるので重宝している。小ぢんまりとしたスペースで調理しているので、コンロや鍋と接触しないように体の動かし方などはかなり気を付けていないとならないが、、、
こうして火の通ったアツアツの物が食べられるのはとてもありがたい。
今回の年越しそばは昨日ひろめ市場で入手したじゃこ天とごぼう天をメインに自宅から持参した野菜と一緒に煮て作った。器が紙容器なのでちょっと炊き出しみたいだが味は普通に美味しい。
カーナビのテレビを付けると今回は紅白歌合戦が受信できた。とはいっても映りはあまり良くないが。昨年、四国を旅して回ってからもう1年経つのか。このところ時間の経過が早くて困る。。。
鍋は空にせず、つゆと具材を少し残しておき明日の雑煮の時にまた使う。粗熱が取れたら鍋ごと車の床下に置いておく。どうせ外は0度近い気温まで下がるのだから冷蔵庫要らずである。動物に食い散らかされないようにする必要はあるが、今まで食い散らかされたことはない。
食卓を片付けて今度は布団を敷く。その上でだらんとしながら紅白を見て過ごした。今年は例年と比べて2時間くらい早く食事を済ませてしまったのでテレビを見ていたら紅白が終わる前にもう眠くなってしまった。
年を越す前に眠るのが何となくもったいない気もしたが、まぁたまにはこういう年越しもいいか。