四国・山陰初日の出【9】(2009/01/01)

内子駅:


さて、どうにか桜が峠を越える所まで進んだが、険しい道のりに思いのほか時間を取られてしまっている。今走っている国道441号線はこのまま進んでいくともうひとつ峠を越えてようやく大洲の街に至るルートだ。とりあえず大洲まで行ってそこから高速で生口島を目指す計画だったのだが、もう峠越えにかまけている余裕はなくなりつつある。おまけにこの先の峠越えが積雪していないとも限らないことまで考慮すると、多少迂回になるがこのまま一旦山を下って、手前の内子に出た方がむしろ早いような気がした。

という訳でルート変更して内子に向かって進んでいくと、途中に道の駅清流の里ひじかわの看板が見えた。丁度小腹も減りつつあったので小休止を兼ねて立ち寄り。軽食ということで菓子パンを2,3個見繕ってレジに向かう。ところが店員がパンのバーコードを読み取りながらひとしきり難しい顔をして、それから少しお待ちくださいと言ってレジを離れてしまった。

そのまま少し待っていると店員が戻って来て、自分らが買おうとしたパンの賞味期限が切れていてレジを通せないと言った。同じパンの在庫が切れてしまっているのでこれで良ければそのまま持ち帰ってください、とのこと。もちろんいただいた。

賞味期限切れと言っても昨日の日付のものだ。買ってそのまま食べそびれて1日や2日賞味期限が過ぎたパンを食べたことは何度もあるから、タダでくれるのならむしろありがたい。新年早々ラッキー・・・なのかは分からないがちょっと嬉しかった。

車に戻って運転しながらそのパンをかじったが、もちろん普通に食べられた。

 

それから30分ほどで内子の市街に入った。このまま高速のICへ向かうのも内子に失礼かと思い駅に立ち寄ってみることにした。

20090101_161235

と言っても、これと言った特徴のある駅と言う感じではなかった。

k_20090101_01

列車も当面来ないようなので記念に入場券を買っただけでおしまい。

20090101_161249

いや、ひとつだけ特徴的なものとして駅前広場に保存展示されたSLがある。これはかつて当地を走っていたC12形というSLだそうだ。とは言ってもSLは守備範囲外なので大して興味を惹かれなかった。撮影はしたが。


ということで再び出発。途中、給油のため道すがらのガソリンスタンドに入った。ら、プリペイド方式のスタンドだった。プリペイド方式の店は最近地方でよく見かけるのだが、満タン給油するとカードに残額が出てしまうのが難点。このスタンドを次に利用する可能性はほぼゼロだからだ。とはいえ給油機の前まで来てそのまま給油せずに退出するのも気が引けたのでとりあえず2000円分だけ給油。

その先にあった別のセルフ式のスタンドに入ってそこで満タンにした。プリペイド式のスタンドは他よりも少し単価が安いのが魅力だが、外出先では使いづらいシステムである。

で、そのついでにタイヤの空気を補充しておこうと思い、事務所に空気入れを借りにいったら置いてないと言われた。空気入れを置いていないガソリンスタンドなんてあるのか。

 

仕方ないのでそのまま出発。ここから先はひたすら高速で移動。だんだん日が傾いてきて空が暗くなった頃に今治に着いた。
生口島へと向かうしまなみ海道は四国の他の高速道路と接続していないので、一度一般道に降りてしまなみ海道の今治ICからしまなみ海道に入る。

しまなみ海道は今治と尾道との間を芸予諸島の島伝いに結んでいる高速道路で、部分開業を繰り返しながら徐々に開通区間を伸ばして2006年にようやく全通している。全線を通してしまなみ海道という愛称が付けられているが、開業がバラけたこともあって、両端区間は「西瀬戸自動車道」、大島内は「大島道路」、生口島内は「生口島道路」とそれぞれ別の正式名称が与えられている。まぁ総称してしまなみ海道で何の問題もないのだが。

愛媛の辺りまでしつこく降り続いていた粉雪もしばらく前にようやく上がり、今は星が見えている。明日からの観光に期待しつつ道を進んだ。

20090101_175227

カミさんに頼んで何枚か橋の写真を撮ってもらった。と言っても夜なので景色が流れまくっている。写真は来島海峡大橋である。この橋は吊り橋なので奥に主塔が見えるが、その主塔が連続して連なっているのが特徴である。吊り橋が3つ連なったこの形式の橋は世界初の物だそうだ。

星が出てきた代わりに風が強くなってきて、ハンドルを取られるようになったので進路に気をつけつつ進んだ。

 

多々羅温泉:


今治を出ると、大島、伯方島、大三島の順に島を渡って多々羅(たたら)大橋を渡ると生口島に至る。既に時間は18時を指していた。生口島にある瀬戸田PAに入ってM君に到着の連絡。だが、何度かコールしても全然出てくれない。あんまり遅くなったから怒ってシカトされているのだろうか・・・。

10分ほど経ってからもう一度コールしたらようやくM君が出た。遅くなったことを詫びたうえで島に到着したことを伝えると、彼はこれから夕食の時間だという。なんとも間が悪い。。。でも普通は夕食の時間だよな。
流石に貴重な元日の夕食時にお邪魔する訳にも行かないし、夕食を食べた後は家族団らんの時間を過ごしたいだろうから今回はお流れかな、と思ったが、食事が終わったら会いましょうと言われた。気を遣わせてしまって申し訳ない。

で、彼が夕食を済ませるまでの間、PAで待っていてもやることがない。どうしようかと思った時にふと風呂を済ませてしまうことを思いついた。この後会って30分で解散なんてことはないだろうから、下手すると今晩風呂に入りそびれる可能性がある。

 

そこでM君に近場に風呂屋がないか質問した所、隣の大三島にあると言われた。
大三島か。。。今いる生口島と大三島との間にかけられた橋は多々羅大橋しかないのだ。つまり一度高速を降りて、再び反対車線の高速に入り直して行かないとならない。もちろん入浴後にまた戻ってこないとならないので高速代が往復でかかることになる。島に橋が架かってもちょっと隣の島に行くのにいちいちお金を払わないとならないなんて不便だな、と思ったが島民の感覚ではこれまでもフェリーに乗る時に船賃を払っていたのだから大した違いではないのかもしれない。

生口島の中にはないのかと更に聞いてみたのだが、生口島の島内にはないそうなのでやむなく大三島へ移動することにした。

20090101_190007

教えてもらった温泉はICからほど近い所にある多々羅温泉という施設だ(註:現在は廃業とのこと)。20時で閉店とのことであと1時間ほどしかなかったが、閉店近くまでしっかり入浴したので体はぽかぽか。

さて、ぼちぼちM君の準備は出来ただろうか。再びM君にコールすると準備OKと返事があったので、再び高速に乗って生口島に移動し、瀬戸田という地区で待ち合わせしてピックアップ。ようやく合流できた。

 

瀬戸田の夜:


合流したあとどこへ行こうか、となった。島の店は元日で軒並み休みだという。尾道まで行けばあるかもしれないということだが、そこまで行くのも遠いし、行ってやってなかったらタダの徒労になってしまうので、ひとしきり考えてコンビニで酒とつまみを買って車内で歓談することにした。

20090101_225240

資材を調達した後、我々の宴会場となったのは瀬戸田のフェリー乗り場脇である。停泊しているフェリーが明かりを煌々と照らして、その光が車内まで入り込んでくる。なので照明要らずだ。

M君は夕食を済ませているが、我々はまだだったのでコンビニで夕食も調達。カミさんとM君はアルコール入り、自分はもちろんノンアルコールで乾杯。自分は元々飲めないから酒を飲む彼らをうらやむこともない。うまくできている。

同じ職場の同僚3人の集まりだから話の種はもっぱら職場の愚痴や裏話。同僚ではあるがみんな別々の部署の人間なので、思いがけない裏話とかが飛び出して全く会話が途切れる暇がなかった。おまけに揃いも揃って上司との折り合いが悪いのでその愚痴も盛大である。

その空気はもはや仕事帰りの居酒屋であるが、アルコールを入れていない自分だけがその特異なシチュエーションを堪能していた。何しろここは広島県だ。なぜこんな小さな島の港で職場の愚痴を話しているのだろうかと思うと、なんとも言えない愉快さがこみ上げてくる。

それにしてもそんな同僚に恵まれたことがありがたい。気が付けば宴もたけなわ、3時間以上にわたって大盛り上がりだった。だがもうあとちょっとで日付が変わろうとしている。これが20歳そこそこならこのままオールで、なんて流れになったかもしれないが、流石にそこは大人のたしなみ。ぼちぼちお開きということでM君を自宅に送り、また来週と言って解散した。

次にこの島で会うことがあったら、今度はちゃんと日中に訪ねて観光案内してもらおう。

 

さて、解散して我々は更に先に進む、と言っても思った以上に遅くなってしまったので、程よい所で終わりにしよう。ということで山陽道の小谷(こだに)SAで仮眠をとることにした。

Posted by gen_charly