四国・山陰初日の出【18】(2009/01/03)
ベタ踏み坂:
溶岩隧道の見学を終え、今回の旅の最終目的地である境港へ向かう。大根島の上陸地点とは反対側に隣の江島へ渡る短い堤防がある。
それを渡ると島旅60島目の江島に上陸、と言っても元々の江島は小さな島である。現在ではその倍ほどもある埋め立て地で周囲を固められていて、その上に工業団地が立地しているためあまり見所的なものはない。
なので江島は素通りで対岸へ渡る。この対岸へ渡る橋は江島大橋といい、44mの高さを経て対岸の境港へと抜けている。40m以上の上り下りとなるためご覧のような勾配である。この橋を大根島側から望遠レンズで撮影するとレンズの圧縮効果でジェットコースターのような急勾配に見える写真が撮れる。このことから通称ベタ踏み坂とも呼ばれているが、実際はこんなものでベタ踏まなくても登ることは可能。
水木しげるロード:
江島大橋を渡ると境港市に入る。この橋を渡っている間に島根県から鳥取県へと県境をまたいだ。
この町は中海の日本海に面している側の大部分を塞ぐように伸びる弓ヶ浜半島の先端部に位置している。弓ヶ浜半島は砂嘴であるため土地は押しなべて平坦である。面白いことにどう見ても島根県側に食い込んでいる弓ヶ浜半島だけが鳥取県で、狭い境水道を挟んだ対岸の島根半島を含め周囲は全て島根県となっている。
で、その境港市はゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげる氏の出身地として知られている。近年それで町おこしをしていて境港駅の周辺には水木しげるロードという彼が描いたキャラクターと触れあえる通りがある。我々が目指す先はそこである。
境港駅は弓ヶ浜半島の先端部、境水道に面したところにある。駅最寄りの駐車場はコインパーキングになっているが、溶岩隧道を見学した折に門脇さんにこの後境港へ行ってみるという話しをしたところ、地元民がいつも使っているという無料駐車場の存在を教えてもらった。そこは駅から数分歩いたところにある施設の駐車場で台数はそれほど潤沢ではないが、空きがあったので無事停めることが出来た。
で、まずは境港駅へやって来た。駅ビルが併設され、ローカル線の終点とは思えない立派な駅だった。
とりあえず駅の入場券を購入。駅ビル内には境港市の施設などが入居していて観光情報案内所で情報収集してから散策に出発。既にだいぶ日が傾いている。のんびりと散策をする時間はないのでさらっと見学したい。
駅のロータリーに設置されたガイドマップにいきなり妖怪がいた。有名な漫画ではあるがそもそもテーマが妖怪なので、冷静に見るとなかなかおどろおどろしい。夜中とかにあまり歩きたくない感じもする。
そして街灯には大きな目玉が描かれていた。いうまでもなく目玉おやじをモチーフにしているのだと思うが、これもまた知らない人が見たら相当不気味だと思う。街を歩いて常に視線を感じる格好なので、犯罪抑止には効果があるかもしれない。
その先に延びる通りが水木しげるロードと名付けられて、道の端々に妖怪のオブジェが点々と置かれている。今日が正月三が日であることや時間的に夕方であることもあって、意外なまでに閑散としていたので散策は自分らのペースで思い思いに見て回った。と言っても自分はゲゲゲの鬼太郎のファンという訳ではない。子供の頃TVアニメは欠かさず見ていた記憶があるが、いかんせん低学年だったので主要なキャラクター以外は良く覚えていない。
ここにはそうした主要なキャラクター以外の物もあるので、半分くらいは知らないキャラクターだった。
でもこれは知ってる。ぬりかべだ。こんなに小ぢんまりとした妖怪だったっけ?と言う気もするが。
鬼太郎はもちろんわかる。この鬼太郎は原作の鬼太郎をベースに作られているようだ。よく知られているアニメ版の鬼太郎は正義の味方然としているが、原作の鬼太郎はむしろ人間から忌み嫌われるキャラクターであったらしい。
そうして散策していたら鬼太郎コスの人が歩いていた。だがこの閑散具合なので彼のことを注目してくれる者が誰もおらず、ちょっと所在なさげだった。
不気味な鳥居が目印の妖怪神社である。恐らくあまり由緒のあるものではなさそうだが、かつての鳥取地震で周りの置物に一切被害が出なかったとか、 宝くじの高額当選が出たといった逸話があり案外霊験あらたかな神社であるらしい。
その通り沿いに古めかしい駄菓子屋があった。レトロ風ではなくガチのレトロである。一時期は完全に時代に取り残されてしまっていたであろう雰囲気の店だが、水木しげるロードが出来た現在においてはゲゲゲの鬼太郎の舞台世界を想起させる格好のアイコンとなっている。
店の電話番号は2750、市内局番はない。ということはこの辺りの電話局の市外局番が6桁だった時代のものだ。その時代は既に相当昔のはずだ。この看板はその当時からずっとここに掲げられていた筈だ。とんでもなく貴重な駄菓子屋である。
食事:
そんな訳でさわりだけ見たような感じになってしまっているが、水木しげるロードを往復して再び駅前に戻って来た。
お昼を軽く済ませていたせいでだいぶ小腹が減って来た。ちょっと早めの夕食にしようとカミさんと相談して駅前の海鮮料理の店へと向かったのだが、店の雰囲気を見て結局行かなかった。
その数軒隣で持ち帰りのスナックを提供する喫茶店があった。何か食べ歩きするのも面白いかもね、なんて言いながらその店のメニューを見ていたらののこめしなる文字が見えた。初めて耳にする食べ物で興味が沸いたのでそれを注文してみた。
注文したらそこから作り始めたので少し待たされたが、出来上がって出されたののこめしは、いなり(=油揚げ)の中に粽の具のようなものが入った食べ物だった。粽は通常もち米で炊くが、ののこめしのコメは普通の白米が使われていたので粽の様で粽じゃない独特の食感だった。
帰宅後に調べてみたらののこめしというのはこの辺りに伝わる伝統料理で、別名いただきとも言う。境港にはちまきを作ってはいけないという言い伝えがあるらしい。それゆえもち米を使わないのだろうか。
胃袋に物が入ったことで刺激されてもう少し食べたくなってしまった。じゃあやっぱりちゃんと夕食を取ろうという話になり、とりあえず駅に戻って駅ビル内にある飲食店の中からターゲットを決めてその店に向かった(何料理の店かは失念)。が、その店は今さっき閉店してしまって店員が片づけを始めようとしていたところだった。
店員からもう閉店なんです、と頭を下げられたが閉店しちゃったなら仕方ない。ただ、元から事前調査なしの行き当たりばったりで店を探している状態なのでもう行く当てがなくなってしまった。
その時カミさんがその店員にこの辺におススメの店がないか尋ねた。流石に自分の店以外の店を紹介するのは快くないのではないか、と言う気がしたが、意外にもその店員はすぐ奥に行って観光マップのような物を手に戻って来た。そのマップを指さしながら活魚日本海という店が良いですよと教えてくれた。いい人や。。。
じゃあそこに行ってみますと親切にしてくれたお礼を言って店を後にした。
それからその店を目指した。ここからは若干離れた所にあり車で弓ヶ浜半島を通る国道431号線を南下。で、数分後店のある場所の近くまで来たのだが辺りにそれらしい店の看板がない。カミさんに周囲をチェックしてもらいながら進んだが、結局見つけられないまま擬定地を行き過ぎてしまった。なんだか食事に恵まれていないな。
自分らで探した店ではないせいか、わざわざ戻ってまで行きたい店でもないからもう他の店で済ませちゃおうよ、という意見が出たので対策前進で他の店を探すことにした。結果道沿いに見つけた回転寿司の店に入った。
確かかっぱ寿司かくら寿司のどちらかだったと思うが、まぁ、そういうベタな店に行ってしまったのでコメントは省略。