四国・山陰初日の出【13】(2009/01/03)

国道9号:


2009/01/03

そして0時を少し回ってようやく江津市街に着いた。ここからは国道9号をひたすら進んでいく。日本海側なので雪が心配だったが、この辺りは全く積もっていなかった。

国道9号は山陰地方の基幹をなす道だけあって至って高規格な道路で走行する車のペースも速い。バイパス区間などでは殆どの車が70キロを超えるペースで走行している。雪を心配することなくハイペースで走れる道に出られたことを安堵した。

自分もその流れに乗って暫く走っていたら、いつの間にかベタベタに車高を下げたローレルの後ろを走っていた。ホイールは鬼キャンだしデカいマフラーがリアのバンパー下から突き出している、いわゆる珍走団仕様だ。そんな車なのでちょっとした道路の段差の度に速度を落としてマフラーが路面に接触するのを回避しながら進んでいる。それでもたまに回避にしくじって地面に接触させてカーンという甲高い音を立てていた。

 

そんな車を追い抜いていたずらに刺激するのも嫌だったので少し車間を空けながらそれに付いていったのだが、ちょいちょいスピードが落ちるのでそれに合わせるのが煩わしい。面倒くさい車の後ろに付いちゃったなぁなんて思いながら30分ほど追従していたら、ある所から唐突にペースが上がった。何かが吹っ切れたのか段差の度に速度を落とすことを止めて70~80キロ程度をキープしたまま爆走し始めた。

当然マフラーは頻繁に路面にヒットするようになる。高速でヒットさせているのでマフラーから火花が飛び散る。なんだかとても幻想的だった・・・いや、そんなロマンチックなものではない。衝撃でマフラーが脱落するのではないかとか、自分が煽っていると勘違いされてどこかで掴みかかって来るのではないかとか、内心ヒヤヒヤだ。

 

爆走ローレルは火花を散らしまくりながら更に30分ばかり自分らの車の前で爆走を続け、やがてどこかの路地で曲がっていなくなってしまった。

目的地の出雲市はまだ先なので自分は更に直進を続ける。午前3時ちょっと前に出雲大社からほど近い道の駅大社ご縁広場に到着。自分にとっての初の山陰路はインパクトの強い出来事の連続だった。

流石に気疲れした。手早く寝台をセットして就寝。

 

吉兆さん:


外の通りの方から何やら物音が聞こえて来て目が覚めた。時間は9時少し前。ガヤガヤと沢山の人が集まっている感じだ。窓から通りの方へ眼をやると着物のような物を身にまとった人を先頭に人がぞろぞろと練り歩いているのが見えた。お祭りでもやっているのだろうか。

飛び起きて急ぎ準備を済ませて車を降りた。

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通りに出てみたらその行列は先に進んでしまって見えなくなっていた。とりあえず彼らが進んでいった出雲大社の方向へ彼らを追いかけてみることにした。それはいいのだが渋滞が凄いことになっている。。。出雲大社だけに初詣の参拝客が大挙して押しかけているようだ。昨晩のうちにここまでたどり着いておいてよかったと思った。

 

大鳥居をくぐって奥の方へと進んでいくと、さっきとは別の集団が我々の後方から近づいてくるのが見えた。一時足を止めて彼らがやってくるのを待った。

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天狗のような鬼のようなお面を付けた人を先頭に、その後ろを地域の住民と思しき人たちが付いて練り歩いている。ただ歩いているだけではなく、時折通り沿いの建物へ寄り道してそこの主人と挨拶を交わしたりしながら進んでいるので結構忙しそうだ。

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彼らがどこへ向かうのだろうと、輪の中に紛れ込まない程度に距離を置きながら後ろをついて歩いてみた。歩いていくと神社の境内への入口にたどり着いた。練り歩いていた行列は入口に着くまでの間に散り散りになって誰の後を追えばよいか分からなくなってしまったので、我々もそこで追いかけるのをやめてそのまま参道へと進んだ。

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こうした山車?的なものを牽きながら進んでいたりして、ちょっとした神輿の練り歩きみたいだ。

 

さて、彼らは何をやっているのだろうか。その時は全く分からなかったのだが、帰宅後に調べてみたら吉兆神事(吉兆さん)と呼ばれる、毎年1月3日に行われる神事だそうだ。お面をかぶっていた人は番内さんと呼ばれ各町内に1人ずついて、歳徳神と書かれた高さ3mほどののぼりを掲げながら町内を練り歩いたあと出雲大社へ参拝することで五穀豊穣や無病息災を祈る行事であるとのことだ。

そんな年に1度のイベントに遭遇できるなんて。いいものを見させてもらった。

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天下の出雲大社だけに参拝客も多く賑わっている。よく見ると参道が奥へ向けて下り坂になっている。普通、神社と言えば山の上の方に拝殿が有って多少の階段を登って参拝する印象が強かったのでちょっと不思議な感じがした。

これもネットで調べてみたら出雲大社は下り参道と呼ばれ、やはり神社の参道としては珍しいパターンだそうだ。

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そして出雲大社の拝殿に至る。大社を名乗るだけあって拝殿のスケールがデカい。
という訳で参拝を済ませた。気が付けば今年3度目の初詣・・・って言葉が矛盾しているw

出雲大社は2度目の訪問だが、前回は流れで見て回ってしまったので中の配置などをすっかり忘れてしまっていた。なので初めて来た人のような新鮮な気持ちで参拝することが出来た。

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拝殿から横に進んでいくともう1棟、更に巨大な建物がある。こちらは神楽殿という。丁度吉兆神事の参拝が執り行われているところだった。

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町内会ごとに番内さんがいるので、儀式も流れ作業のように入れ代わり立ち代わりで進んでいく。一同神妙にお参りをしていて厳かな空気に支配されている。

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で、出雲大社のシンボルとでもいうべき巨大なしめ縄を見ると、

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硬貨が隙間に挟まっている。

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引きで見ると参拝客たちが硬貨をしめ縄に向かって投げつけている。見事刺されば満願成就ということのようだが、刺さるから満願成就な訳であって大抵の人は刺さらない。なので頻繁に小銭が床に落ちるチャリン、チャリンという音が拝殿に響く。

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で、同時進行で吉兆神事が粛々と執り行わている。神主も邪魔そうだ。

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神事の邪魔にならないよう警備員が参拝客を両脇に押し返す。だが次々来る参拝客はさかさず空いているところを見つけて硬貨投げを始めるので、警備員は無限ループ状態で行ったり来たりを繰り返す羽目になっていた。

神事と新春運試し参拝客という、全く違う空気が微妙に混ざったり分かれたりしながら、押し引きしている姿は何とも見ていて滑稽だった。

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しかもその空いた場所にここぞとばかりに参拝客が闖入して徐に参拝し始めたりしてもう何が何だか。カオス状態の神楽殿からお伝えしました。

 

という訳で参拝は無事?済ませることが出来た。朝食もロクに取らずに出てきたのでお腹が空いてきた。出雲と言えば出雲そばが有名である。だが店はリサーチしていない。参道には数軒の出雲そばを提供する店が並んでいたのでとりあえず手近な店に入ってみた。

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そば処八雲
という店である。

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出雲そばは写真の割り子そばという小さなそば皿がお重になっているものが有名ということなのでカミさんが注文。
薬味に紅葉おろしが添えられているのが珍しい。

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そして自分は月見そばを注文した。

味はまぁまぁ。観光地ならこんなものかなという味。一般にそばの味の評価軸は風味が良いかどうか、喉ごしが良いかどうかで語られることが多いが、自分の場合、暖かいそばが美味いかどうかが判断基準である(冷たいそばは大抵旨い)。そばは茹でるとざるのようなコシがなくなりがちである。が、たまにそこを上手く調理して温かいそばなのに麺にしっかりとしたコシを残したものに巡り会うことがある。そういうそばが自分的には高評価なのだが、その点で行くとこちらのそばは普通。

Posted by gen_charly