小笠原上陸 - 7(2008/09/13)
— つき にて —
今回お世話になる宿は前述したとおり民宿「つき」さん。
素朴な民家調の宿ですが、数年前にリニューアルをしたばかりで中はとてもきれいです。
すぐ隣には別館(といっていいのかな?)のペンションドルフィンが建っています。
3組くらいで到着しましたが、つきに本日チェックインするのは原付夫妻だけでした。
建物の中もシーンと静まり返っているので、もしや貸切!?と思って聞いてみたら数日前からの滞在者が何人かいるとの事です。
チェックイン、といっても部屋に通されるだけなんですが、荷物を置いて早速バイクの手配を。
宿にいた女性スタッフの人に声をかけると、
「ちょっと待ってください、本日予約が入っていないか確認するので。」
と言って部屋を出て行ってしまいました。
え~?また~!?(--;)
宿に着いてから手配してくれ、って言ってたじゃないの。。。
電話で何か感じ悪い話し方でもしたかなぁ。。。
母島では父島以上に交通手段が少ないので、バイクが借りられないと実質的に足止めを食らってしまうことになります。
それでは何のために母島に来たのか分からなくなってしまうので、それだけは避けたい所です。
それから10分ほど部屋で待機していたのですが、待てど暮らせどスタッフが戻ってきません。
何か揉めているのかと心配になり、様子を見に外に出てみると玄関前に2台のややくたびれたバイクが出されていました。
でも近くにスタッフがいないので誰に貸し出す為に出してきたバイクかわかりません。
「あ、ごめんね。コレでいい?」
声のする方へ振り向くと、裏から宿の主人が出てきました。
バイクは走るんなら何でもよいので、
「もちろんです」
「バイク、運転大丈夫だよね?」
「大丈夫です!」
「片方はセルが壊れているからキックでかけてね。」
とそこまで言って主人はまた裏に戻っていってしまいました。
プロローグでも書いた通り、本当はバイク乗るのは初めてなのですが、バイクに乗った事がないと貸し出して貰えないらしく、ウソを付いてしまいました。
カミさんは学生の時に通学でバイクに乗っていたというし、原付も、運転の仕方の概要は分かっているつもりなので、交通量も少ない島だし、スピードの出しすぎと転倒に気をつけていれば、まず大丈夫でしょう。
ということで一旦部屋に戻り、カミさんを呼んで再び降りてきました。
二人でメットをかぶりエンジン始動!
セルが壊れている方は、原付がまごまごしてエンジンがかけられなかったりすると、主人に怪しまれてしまうので、経験者であるカミさんにキックでのかけ方を知っているか聞いてみると、「大丈夫」というので、原付がセルが生きているほうに乗ることになりました。
原付の方は、セルのスタートボタンを押すだけで難なくエンジンが始動しましたが、カミさんのバイクはいくらキックしてもエンジンがかからず、 悪戦苦闘してます。。。
「やって」
おいおい。。。(--;)
でもまごまごしているといよいよ怪しまれてしまうので、原付が交代してキックを踏んでみると確かにエンジンがかかりません。
何か忘れているんじゃないかと思って、よくよく見るとイグニッションがoffのまま。
そりゃかからないわ・・・w
で、イグニッションをOnにしてから再びキックを蹴飛ばすと、無事エンジンは始動。
聞きかじりで覚えてた事がこんな所で役に立つとは(爆)
いや~、宿の主人が裏に下がってくれてよかった。。。
・・・とか思いながらバイクにまたがって出発しようとした時、ちらりと裏口の方を見たら、主人が影から心配そうな顔で覗いていました。。。
やべ。見られてたかな?
そこは気づかないふりをして出発^^;)
恐る恐る(でも見た目は冷静にw)アクセルを回すとバイクはゆっくりと動き出しました。
原付、初原付です(なんのこっちゃ?)。
なんだ、なんてことはないやw
でも、アクセルのワイヤーが固いのかエンジンが不機嫌なのか、ある所まで回すと急にスロットが開いて急加速をするので、ちょっと怖いです。。 。
— 一路、南へ。 —
出発前に母島で見ておきたい所をいろいろ検討して、大雑把に、南崎方面、北港方面、乳房山の3箇所を回ってみようということになりました。
しかし、母島に滞在できるのは14時半の入港から翌日11時半の出港まで。
夜になれば殆ど明かりもなくなってしまうので、実質的に行動できるのは今日の18時までと明日の夜明けから出港までとなります。
出来れば、上に挙げた3方面全てを回りたいところですが、明らかに時間が足りません。
時間の読みづらい乳房山登山は今回は見送ることにして、今日は南崎方面、 明日は北港方面という事にしました。
ちなみに乳房山は母島の最高峰で、登って降りてくるのに大体4時間くらいかかるということです。
登る前に観光案内所で申請をしておき、乳房山の山頂で「ある事」をして下りて来ると登山証明書を受け取ることが出来ます。その「ある事」 は内緒になっているらしく、どこのサイトにも書かれていなかったので、自分の目で確かめてみたかったのですが。。。
母島には島を南北に貫く都道沖港北港線が通っていますが、周回道路などは通っていません。
(細長い島なので必要ないですね。。。)
集落を境に南に行く方が南進線、北に行く方が北進線と呼ばれています。
原付たちはまず南進線に入り南崎を目指しました。
道は1.5車線ほどの広さのコンクリート舗装路です。
コンクリート舗装にしてあるのは島でアスファルトを製造できないかららしく、滑りにくいようにわざとざらざらにしているので、タイヤの減りが早いのだとか。。。
バイクも道の凹凸を拾ってガタガタ言っているのですが、それとは別に、カウルのどこかが割れているらしく、ガタピシと音を立てていて、なんとも賑やかですw
運転はすぐに慣れてきました。
ほかに走っている車もなく、思いのほかバイクも快適です。
20mくらい後ろをカミさんが付いてきます。
島の海岸は殆どがガケなので、海沿いを走れる所はなく、集落を出ると一気に山の中腹まで登って後は稜線沿いにグネグネと進んでいます。
舗装路は南崎の手前で行き止まりになります。
そこが都道の終点で、ここまでバイクで10分ちょっとです。
都道の終点は簡単な転回場になっていて脇には東屋と、南崎へ行くための遊歩道の入り口があります。
ここが東京都道の最南端になるそうです。
道路の終点の所に最南端を示す看板がかかっていました。
母島も相当に南の島ですが、日本最南端は沖縄の波照間島です。
もし母島が日本最南端だったら、今よりもほんの少しだけ開発が進んでもう少しだけにぎやかな島になっていたのかもしれません。
看板には南崎と出ていますが、南崎は遊歩道を更に小一時間ほど行った先になります。
バイクを止めて、ここからは徒歩です。
遊歩道の入り口には街でよく見かける案内標識がかかっています。
案外観光標識などはきっちりと整備しているようです。