弟の結婚式【2】(2009/03/19)

えちぜん鉄道:


次は福井県内で2路線を運行しているえちぜん鉄道を見に行ってみることにした。その2路線が分岐する福井口(ふくいぐち)駅に隣接して車庫があるようなのでそこを目指す訳だが、この駅も小さな駅で駅周辺に車を停める所がなさそうだったので最寄りのコインパーキングに停めて歩いて向かった。

 

えちぜん鉄道はかつては京福電鉄という純民間の私鉄だったが、2000年と2001年に立て続けに列車衝突事故を起こし、死傷者が出る惨事となった。事故の原因は老朽化した車両のブレーキ故障であったが、経営状態が悪く車両や施設の修繕が不充分なまま運行が続けられて来たことを重く見た国交省から運行停止命令が出されたため、その日限りで運休となった。鉄道が運休となったため主な利用者である通勤通学客はマイカー移動を余儀なくされた。

元から企業体力がなく国交省からの指摘事項を解消する目処が立てられない京福電鉄は、復旧を断念して路線を廃止することを表明する。ところがその年の冬、積雪下でのマイカー移動による渋滞が周辺各所で発生した。渋滞に巻き込まれる形で路線バスは定刻どおりの運行が全く出来なくなり、更にはようやくやってきたバスは既に満員で積み残しが発生するような有様で沿線交通はマヒ状態に陥った。

この一件によって図らずも積雪地域における大量輸送が可能な公共交通機関である鉄道の必要性が再認識される形となり、京福電鉄の再開が模索される。だが当の京福電鉄自身が再建を断念している状態なので地元自治体が第三セクターのえちぜん鉄道を設立し、経営を引き継いだうえで再出発を図ることとなった。移管以降、えちぜん鉄道は設備や車両の更新などを積極的に行なったため、今ではブランドイメージも一新されて地域の欠かせない足となっている。

 

さて、我々は福井口駅に隣接するえちぜん鉄道車庫の事務所の戸を叩き、職員に見学に来た旨を申し出た。幸い見学を快諾いただき、係員同伴で車庫内を見学させてもらえることとなった。

先導する職員からテキロク撮りに来たの?と聞かれた。もっぱら旅客車両専門の自分はテキロクがなんであるか知らず、てきろくってなんですか?から質問。それによるとテキロクは日本最古の電気機関車であるそうだ。

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先導する係員に案内されこの車両の前で立ち止まった。この車両がテキ6であるそうだ。一見資材運搬用の機械のようにも見えるが、これが現在日本最古の電気機関車であるとのこと。車籍も残っており線路を走行することもできるそうだ。と言っても前照灯も尾灯も付いていないので、このままの状態では走行出来ないような気もするが。

ちなみに、えちぜん鉄道は車両形式の先頭をローマ字にしているため、見学時点ではML6というのが正式名称だったが、呼び慣れていないせいか係員もテキ6と言っていた。まぁエムエルシックスと言われても何かしっくりこないしね。

なお記事執筆時点では車籍が抹消され、現在は勝山駅で動態保存されているとのこと。

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こちらはML521形電気機関車。除雪車として使われている。

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MC2101形。京福電鉄時代に南海1201形を譲り受けたものだそうだ。車体は後年に阪神の5231形に載せ替えられている。
年代物の車両ではあるが、当時はまだ主力の座に付いていた。

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MC2201形。こちらは元阪神3301形とのこと。

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ML5001形。この車両は京福電鉄時代末期の1999年に導入された車両であり、近代的なスタイルをしているが、経営難にあえぐ京福電鉄において丸々新造することは困難だったため、車体のみを新造し機器や内装などは寄せ集めで作られたものだそうだ。
2両が製造されたが、そのうちの1両は2001年に発生した列車衝突事故の際に廃車となってしまっている。残された1両は主力として活躍中。

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そしてML6001形。こちらは愛知環状鉄道の100形・200形・300形で構成される。

係員の案内について行く形でざっと車庫内を一周して見学終了。お礼を言って車庫を後にし、そのまま金沢の弟宅へと向かった。

 

金沢に着くと一家揃って我々の到着を待っていてくれた。その足で夕食に行こうと誘われ何が食べたいか聞かれた。北陸に来ると道すがらに8番らーめんなる店をよく見かける。関東で言う所のくるまやラーメン的な雰囲気の店で、凄く行ってみたい訳でもないがちょこちょこ見かけるので機会があったら一度くらい行ってみたいと思っていた。そんな話を弟に伝えたところ、じゃ、8番じゃないけど別のラーメン屋に連れてくよとのこと。

そうして弟の車に乗って着いたのはらーめん元八という店だった。

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この店は8番ラーメンの系列で野菜ラーメンがおススメというのでそれを注文。白湯ベースのヘルシー?なラーメンだったがチャーシューとチャーハンのフルセット。どこがヘルシーなんだか。

 

加賀一の宮駅:


食後、カミさんやお袋を自宅に降ろして弟とドライブに繰り出した。といっても引き続き弟に運転させて自分は助手席である。
これから妻帯者になる意気込みを聞いてみようと思った、というかみんなの前では話しづらいようなことがあったら聞いてやろうと思ったのだ。

で、自分はちょっと行ってみたい場所があった。北陸鉄道石川線の終点、加賀一の宮駅である。
石川線はまもなく鶴来駅から加賀一の宮駅間の廃止が決定している。なので廃止前に一度見に行ってみようと思ったのだ。

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加賀一の宮駅は随分と趣のある駅だった。現在21時を少し回ったところだが、終電は既に行ってしまった後である。殆どの列車が鶴来止まりなのでここまでやってくる列車は全列車の半分以下である。廃止が決定されるほどの区間なのでやむを得ないのだろう。

既に終列車が出発した後であるが、駅舎の電気はまだ点灯したままになっていた。防犯の為だろうか。と言ってもこの辺りは住宅が密集している訳ではないので、犯罪行為が行われても周囲が気づかないのではないかと思う。

ひと気のない駅舎に煌々と灯る蛍光灯。なんかドキュメンタリー番組のイメージカットに出てきそうな幻想的な雰囲気をまとっている。わざわざ連れて来てもらってよかったと思った。

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ホームは列車2両分の長さしかない。短いホームに寄り添う線路はそのすぐ先で闇に吸い込まれる。
帰り道は少し遠回りして、あれこれ馬鹿話をしながら家まで戻った。

Posted by gen_charly