弟の結婚式【3】(2009/03/20)
北陸鉄道 石川線:
2009/03/20
今日は式の前日である。明日の式本番に向けた準備で弟たちは忙しくなるはずだ。使いっ走りでもなんで手伝うよと伝えたのだが、我々の出番は特にないということだった。そんな気を遣わなくていいのに。
という訳で思いがけず今日1日がフリーとなってしまった。家でのんびりしてても良かったのだが、それはそれで邪魔になりそうだったのでカミさんを連れて少し散策に出かけることにした。とはいっても兼六園や金沢城といったベタな観光地は前に訪問済みである。他に何かある?と弟に聞いたら獅子吼(ししく)の獅子舞の博物館はどうや?と提案された。
獅子舞の博物館とは珍しい。ちょっと行ってみたくなった。獅子吼は鶴来から少し山へ入った辺り、というか昨日弟とドライブで訪問した加賀一の宮駅のすぐ近くにある。更に白山神社の総本宮である白山比咩(しらやまひめ)神社もあるそうで、じゃあ加賀一の宮駅への再訪もかねてその辺をぐるっと回ってこようとなった。ついでに昨日撮影が出来なかった石川線の列車も見られたら幸いだ。
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ということでまずは鶴来駅にやってきた。こちらもなかなか趣のある駅舎である。
駅の時刻表をチェックすると次の列車までまだ少しあるようだったので、先にモハ3752を見に行ってみることにした。唐突にモハ3752の名前を出したが、この車両は北陸鉄道に唯一残る旧型車である。かつてはこんな形の電車が多数在籍していたが、近年東急や京王の中古電車に置き換えられたため今ではこの1両のみが多客時などの増結用として残されている。
と言ってもあまり出番はないらしく、もっぱら鶴来駅の留置線に停められているという情報を入手していたのだが、駅の改札越しに構内を眺めも見当たらなかったので線路沿いを少し歩いてみることにした。
すると駅から少し離れた留置線に停まっていた。塗装が傷み始めておりやはりほぼ休車状態になっているようだ。おまけに前後を保線用の車両に挟まれた状態になっていて、そもそも動かす意識が感じられない。このまま朽ち果てていくのだろうか。
前後を別の車両に挟まれているので前面部分が視認しづらい。アングルを工夫してどうにか前面の様子が分かるように撮影することが出来た。
案の定、この車両は暫くして正式に廃車となり、千葉にあるポッポの丘という施設に移設されて現在も展示されている。
何年かしてポッポの丘の方も行ってみた。塗装は綺麗に塗り直されて美しい姿を取り戻していたが、またしても前後を車両に挟まれている。
移設後ちょっとの間は最前列に置かれていた時期があった様だ。その時に見に行っておけばよかった。
その後再び鶴来駅に移動し今度はホームに上がってみた。ホームには7000系が入線していた。この車両は元東急の7000系である。中間車を先頭車に改造しているためオリジナルのマスクが付けられているが、他の譲渡先でも同様の前面デザインの車両が走っている。
次に入線してきたのは元京王3000系の7700系だった。
加賀一の宮駅再訪:
続けて白山比咩神社へと向かった。神社の駐車場の目と鼻の先に加賀一の宮駅があるのでついでに再訪した。
昨晩も訪れた駅だが明るい所でみると鶴来駅以上に味わい深い駅舎だ。石川線の終点であるが駅員はおらず無人駅となっている。
天気がイマイチ優れずどんよりとした印象の写真だが、これはこれで寒村の趣があってよい。と言っても寒村に鉄道路線なんか敷かれる訳がないのであくまでイメージだが。
昨晩も立ったホームに再びお邪魔してみた。闇に吸い込まれていた線路の先はこんな風になっていたのか。しかし細いレールだな。
雰囲気作りでカミさんを立たせて見たのだが、背景が白く抜けて微妙な写真になってしまった。。。
駅の構内をあちこち見ているうちに列車がやってきた。これも元東急の7000系である。1時間に1本程度しか列車の来ない駅でタイミング良く列車が来たのがラッキーだった。
到着した列車から数人の乗客が下車していき、そのあとすぐにまた静かな駅に逆戻りである。こんな風景も程なく見納めになるのかと思うとやはり寂しさを感じる。
白山比咩神社・獅子ワールド館:
列車は程なく折り返して鶴来駅の方へと走り去っていった。我々もひととおり見終わったので白山比咩神社へお参りしに行くことにした。
一の鳥居をくぐると、緩やかな上り勾配の表参道が延びている。
神門をくぐると拝殿がある。立派なお社だ。流石に総本宮を謳うだけのことはある。
お参りを済ませた後、小ぢんまりとした門前を散策して土産物屋などを冷やかした。特に買いたいものはなかったので見学だけ。
続けて向かったのは弟から教えてもらった獅子ワールド館である。
獅子ワールド館があるのは白山比咩神社のすぐ裏である。この辺りは獅子吼高原と呼ばれており、ここから山の頂上へ向けてゴンドラが出ている。ゴンドラを降りた先にはスカイ獅子吼もあって一大レジャー施設となっている。
獅子吼という言葉はあまり耳慣れないが、これは白山への尾根伝いに置かれた四宿(ししゅく)という四つの宮に、仏典にある獅子吼の文字を当てたもので、「獅子が吼えると他の獣がひれ伏すさまから、熱弁をふるって正論を言うこと」という意味があるそうだ。
で、ここに獅子ワールド館があるのはもちろん獅子繋がりということであろう。太っ腹なことに見学無料である。
獅子舞の博物館というだけあって館内には全国各地の獅子頭が展示されている。特に日本一の大獅子頭は巨大すぎて笑う。
こんなのかぶれないし1人2人じゃとても抱えられないだろう。どのようにして使うものなのか興味がある。
そして2Fに世界各地の祭事で使われる被り物も展示されている。もっぱら並べられているだけと言う感じで、どの国のどのような祭りで使われるものかよく分からなかったので見てもこれと言った感想はなかった。
館内の展示スペースはそれほど大きくないので、概ね20分くらいあれば見終わってしまう。
北陸鉄道 浅野川線:
獅子ワールド館を見学し終えて時計を見ると昼を少し回ったところだった。周辺の見どころはこんなものらしく、もうやることがなくなってしまったが、家に戻るにはまだちょっと早い気がする。どうしようかなと少し思案している中で、北陸鉄道のもう一つの路線である浅野川線をまだ見ていないことに気づいた。
折角だからそっちも見に行ってみようとカミさんに伝えたところ、なんか疲れたから自分は先に家に戻りたいということだった。やっぱり鉄道ネタ中心の散策は興味ない人にはつまらないものだよなぁ。。。カミさん1人が家にいるくらいなら大して邪魔にもならないだろうと、カミさんを家に送り届けてから1人で見に行ってみることにした。
石川線の金沢側の始発駅は野町という駅でJR線とは接続していない独立駅になっている。一方、浅野川線の始発駅はJR金沢駅に隣接する北鉄金沢駅となっている。
北鉄金沢駅は地下駅になっていて撮影には不向きなので、反対側の終点内灘駅の方へと向かった。
こちらが内灘駅。これまで見てきた鶴来や加賀一の宮と比べたら大分近代的な印象の駅だ。。。と言っても決して新しい感じではないが。
さてこの浅野川線、車両は元京王3000系の8000系という車両で統一されている、基本的には石川線の7700系と同じ車両なのだが、京王の3000系は初期型・中期型・後期型とでデザインに差異があって、特に前期型は扉の形状や車体幅が異なっている。
その初期型車両がここ浅野川線に譲渡されて走っているらしいので、できればそれにお目にかかりたいと思ってやってきたのだが。
いきなり遭遇。丁度ホームに停車中だった。
ホームに立ち入るため入場券を購入しようと思ったら売られていなかった。仕方ないので駅員に撮影したい旨を申し出たところ、許可を頂くことが出来たので無事撮影することが出来た。
ご覧のとおり初期型車両は車体幅が狭く、裾絞りがされていないので細面に見える。更に乗降扉も後期型の両開き式に対して初期型は片開きになっている。
この車両の存在は井の頭線に在籍していた当時から知っていたが、撮影に訪れてもなかなか巡り会わなかった。結局写真に撮れずじまいのまま引退してしまったのだが、その後北陸鉄道に譲渡された事を耳にした。当時はまだ弟たちも金沢にはいなかったので全く縁遠い場所だったのだがなくなる前に写真に撮れて良かった。
とりあえず見たいものがひととおり見られたので家に戻ることにした。