東京水辺ライン【1】(2009/05/30)
今住んでいる家は東京の北東側にあり、そう遠くないところを隅田川が流れている。隅田川といえば水上バス観光だ。平たい船が隅田川を行き来している映像をテレビで見たことがあるという人も多いのではないだろうか。
で、せっかく近くに引っ越して来たのだから一度くらい乗りに行ってみたいな、と思い立ってネットで検索してみたところ、その水上バスはもっぱら浅草よりも下流のエリアで運行されているらしく、そこより北に位置する我が家の近所にはやってこないらしいことが分かった。言われてみれば今まで近所の隅田川のほとりを散歩していて水上バスの姿を見たことがない。じゃあ、今度浅草に行った時にでも乗ってみようかなと思いつつ更に調べていたら、我が家の近所を通る便があるらしいことが書かれていた。
そのコースは隅田川を下ってお台場の辺りを周遊し、荒川を岩淵水門まで遡った後で再び隅田川に戻ってくる「いちにちゆらり旅」というものと、荒川を遡るところまでは一緒だが、途中鐘ヶ淵にある綾瀬川を経由して隅田川に戻る「江戸東京ぶらり旅」というものの2種類があるらしい。にしては上述のとおり家の近所ではその姿を見かけない。どういうことだろうかと更に調べていくと、運航日が書かれたページを見つけた。それによるとこれらのコースは月に数回しか運航されていないらしい。そりゃ見かけないわけだ。でも、そんな珍しい船に乗って隅田川上流部を船から眺めたらなかなか見られないレアな景色が見られるのではないかと興味がわいた。
ところが月に数回しか運航されない船だけあって、乗ってみようにもなかなか日程の調整が付かない。基本的に土日に運航されるらしいのだが、2人の用事と重なったりしてどうにも運航日にスケジュールが合わないのだ。そうして数ヶ月ほど乗船の機会が巡ってこなかったのだが、5月になってようやく日程が合った。
この年の5月は2,3,6,17,30,31の各日に運航され、このうち2,30日が江戸東京ぶらり旅、それ以外がいちにちゆらり旅の出航日となっていた。自分らの都合と合うのは30、31の両日なのでどちらのコースも選択可能だ。それならより長時間乗船できるいちにちゆらり旅の方に乗りたい。なのでターゲットを31日とした。
日程が決まったのはよいが、どうやって乗船すればよいのだろうか。サイトには隅田川の各乗船場に行って乗船時に係員に代金を払って乗船すると書かれており、特に事前申し込みや予約の要否については触れられていなかった。じゃあ当日乗船場に行けばいいのか。
とりあえずそう理解したのだが、数日後、もしこれが人気のツアーだとしたら乗船したはいいけどどこにも居場所がない、なんてことにならないだろうかと不安になった。念のためもう一度チェックしておこうと再度サイトを確認したら、分かりにくいリンクを辿った先に空席情報が掲載されているのを見つけた。
それによると31日の便は既に満席の表示だった。あぶね、、、そのまま乗りに行ったら終始立ちっぱなしになるところだった。というか満席表示があるということは事前予約が必要って事だよな。だが、サイト内を念入りに探しても予約申し込みのリンクが見つからない。ということは電話予約か。
ちなみに30日の方はまだ空席表示があった。じゃあ30日の方にするか、ということで連絡先に電話して問い合わせてみたのだが、やはり特に事前予約は不要との回答だった。座れるかどうかは分からないが、船に乗る時に代金を支払えば乗船できますといわれた。じゃあ、あの満席表示は?
それについては聞きそびれてしまったのだが、まぁとにかく予約が不要ということなので30日の便に乗船することにした。
ちなみに30日に運行される江戸東京ぶらり旅は、前述のとおりいちにちゆらり旅よりも周遊ルートが短い。岩淵にある荒川と隅田川の分岐点などは、いちにちゆらり旅の方に乗船しないと回ってくれないので、その点が心残りではあるのだが、その代わり江戸東京ぶらり旅は荒川の途中にある荒川ロックゲートなる施設に立ち寄るらしい。
荒川ロックゲートがなんであるかは後述するが、以前デイリーポータルZというサイトの「東京都江東区パナマ運河」という記事に、ここを通過した時のことが書かれていて、ちょっと面白そうだなと思っていたことを思い出した。この船はその記事と同様に荒川ロックゲートをくぐるらしい。それは興味深い。なんだかんだいって楽しみになってきた。
※2025年現在、再度サイトをチェックしてみたら江戸東京ぶらり旅は廃止になっていた。いちにちゆらり旅の方は現在も残っているが、年に数回程度しか運航日がないらしい。寂しくなってしまったものだ。
水上バス 千住発着場(無人):
2009/05/30
今回は自宅の最寄りとなる千住発着場から乗船することにした。船の出港時刻は11:55、間に合うように自宅を出発。
残念ながら天気は曇りで時折小雨がぱらつくあいにくの空模様だ。デッキ上で船旅を堪能したい自分にとってはあまり有難くない天気である。ぱらつく程度なら凌げると思うが本降りになったら船内退避か。窓ガラス越しだと臨場感が半減しそうな気がするので、そうならないでほしいところだが。。。
今回乗船する船は一周して16:35に再びこの千住の発着場へ戻ってくる。その間途中下船が出来ないらしい。しかも船内には飲み物の自販機しかないということだったので、途中のコンビニで飲み物と菓子を入手してから発着場へ向かった。
千住の発着場はそれまで東進してきた隅田川が90度向きを変えて南下し始める少し手前にある。東武線牛田駅および京成線関屋駅から墨東通りを東に進み、千住曙町の交差点を右に曲がると千住汐入大橋がある。発着場はその橋を渡る手前の千住大川端公園を突っ切った先にある。
発着場に到着する寸前、カミさんが傘忘れてきた!と声を上げた。さっき立ち寄ったコンビニに置き忘れてしまったらしい。船の出港まであと10分ほど。取りに戻っても十分間に合うと思うが、のんびりやっていると乗り遅れるんじゃないかというくらいの残り時間だ。とりあえずカミさんに走って取ってきてと伝えて取りに戻らせた。
カミさんが戻ってくるのを待つ間に発着場の周囲を散策することに。
発着場と書かれた場所に1軒の小屋があるが、シャッターが閉まっている。
奥に見える看板には種々案内が書かれていた。ルートやそれぞれの時刻なども掲載されているが、発着場の文字の横に枠囲いで「無人」と殊更に書かれている。かつてはこの建物にも人が配置されていた時代があったということだろうか。もしかしたら過去にはもっと頻繁に運航されていたのかもしれない。そう思うとちょっと寂しい。月に数回、それも1便しか運行されない船のために人を配置するのは流石に非効率だから無人化は仕方ないのだろう。