東京水辺ライン【3】(2009/05/30)

江戸東京ぶらり旅 - 築地界隈:


船は一旦晴海運河の方へ入って、相生橋のたもとにある越中島発着場に立ち寄る。が、この発着場からの乗降はなかったのですぐに折り返して今度はリバーシティ21の縁を回るようにして隅田川に戻る。

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やがて見えてくるのが勝鬨(かちどき)橋である。昭和15年に架けられた橋だが、当時は隅田川を遡上する船舶が多かったので中央部分が跳ね上げ式になっている。

この橋の上にはかつて都電の線路があった。鉄道のレールは少しでも位置がずれると脱線の危険性が高まる。そのため橋を開閉した時に線路がピッタリ同じ位置に繋がるようにしなければならず高度な技術力が求められる。

当時は日本の技術力が日ごとに向上していた時代で、この橋も日本人技術者のみで設計が行われ施工も純国産で賄った。橋は寸分の狂いもなく開閉することが可能で、都電の通行にも何ら支障がなかったという。戦前に視察に訪れたアメリカの視察団はこの橋を見てその技術力の高さに驚いたという逸話がある。

現在はこの下を通行する大型船がなくなったので開閉することもなくなってしまったが、その制御室などはたまに開催される見学会などで見学出来るそうだ。

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勝鬨橋をくぐるとその先に築地市場が見えてくる。長い船着き場が整備されているが停泊中の船はあまりなかった。通過時間のせいかと思ったら、豊洲への移転などの絡みで最近はあまり停泊していないそうだ。

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築地を過ぎてほどなく船は右に向きを変え、傍らの水門に吸い込まれた。
この中にあるのが浜離宮庭園である。その名のとおり海に面して作られた庭園なのだが、自分はこの庭園が海原に面した場所にあると思っていた。だがご覧のとおり水門をくぐった先に庭園が広がっている。逆に庭園から東京港や勝鬨エリアの姿を見ることはできない。

この中に浜離宮発着場があり再び停船。ここで10分ほど時間調整をするとのこと。

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石垣の上に築かれた庭園は都会のオアシス的緑の空間を提供している。人々が多く活動するエリアから離れていることもあり、あたりは静寂に包まれている。

持ってきたおやつは船上でチビチビとつまんでいたせいで、まだ全行程の半分弱しか進んでいないのに手持ちがもう心もとなくなってしまった。かといってお菓子で腹が膨れるわけもなく、ダラダラ食べているのでちっとも満足感が得られない。そして食べきってしまうのは時間の問題だ。この後のことを考えると出来るだけセーブしておきたいところだが、そういう計画性がない2人なのでもう間もなく食べきってしまうことだろう。

そうなると後半戦はひもじさとの戦いになる可能性が高い。こまった。見通しが甘かった。。。
折角長時間の停船なので、ここで近所のコンビニに買い出しに行ければベストなのだが、下船できないルールなのでそれも叶わない。

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ということで何をするでもなくデッキに佇んで出港を待っていたら、ようやく船が動き出した。
庭園に隣接して見えるのが竹芝桟橋である。ここは昨年小笠原を旅した時におがさわら丸に乗船した場所だ。見覚えのあるモニュメントや岸壁の風景に昨年の旅行がフラッシュバックした。あの時は暑いくらいだったが、それを思い出すと今が余計に肌寒く感じた。

ボランティアのガイドのおじさんは、左右に見所が立て続けに現れるせいで息つく間もなく喋りまくっている。それを聞いていたらとうとう小雨がぱらついてきた。ついに来てしまったか。。。
今の所傘が必要になるような雨量ではないので、そのままデッキで粘ってみることに。ただしカメラに雨がかかったら故障の原因になるのでそこは気にしておくようにした。

 

江戸東京ぶらり旅・東京港:


竹芝桟橋を過ぎると一気に水域が広くなる。隅田川はここが河口となりこの先は東京港のエリアとなる。それに呼応するように埋立地の島々が見えてきた。

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その東京港の中央部にかかっているのが、東京ベイエリア随一のランドマークであるレインボーブリッジだ。この橋は2階建て構造になっており上段に高速道路、下段にゆりかもめと一般道が通る構造となっている。

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その手前あたりに、概ね広々とした区画で区切られている埋立地の中でも特に閑散としている埋立地が見える。というかこの島には建物ひとつ建てられていない。それだけにビルが立ち並ぶ周辺の島々に囲まれてひときわ異彩を放っている。この埋立地こそあの築地市場の移転先となる予定の豊洲の埋立地である。かつては東京ガスの施設があったが移転したためその跡地に市場を作る計画だそうだ。

だが敷地内から高濃度の有害物質が検出されたことが報道され状況が一変する。元々移転することによるデメリットを懸念する移転反対派が少なからずいる中で、やや強行突破的に進められた移転計画だった事もあって、反対派の声がひときわ大きくなった。有害物質があるような場所に食を取り扱う施設など作れないという反対派の主張に抗うことができず移転時期は延期されてしまった。

※2025年註:ご存じのとおりその後種々の調査・対策が行われて、現在では豊洲市場として開業し活況を呈している。

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レインボーブリッジをくぐるとすぐ右手側に第六台場がある。台場というのは江戸時代末期に江戸の防衛のために設けられた砲台であるが、その数字から分かるとおり港内の複数個所に建設された。計画では第八まであったらしいが、全てが完成したわけではないそうだ。それらの台場も現在では取り壊されたり別の埋立地の一部になったりして、形が残っているのはこの第六台場とお台場から陸続きになっている第三台場の2つのみとなっている。

第三台場は歩いて上陸することが可能で中は公園として整備されているが、第六台場は他の陸地とは接していない為、船などがないと近づけない。そのうえ現在は特別な許可がない限り立入は不可とのことなので、一般人が足を踏み入れられる可能性はほぼゼロとなっている。

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その第六台場と第三台場の間を航行してお台場海浜公園発着場に到着。お台場はフジテレビをはじめ数々の施設が充実しているせいか、ここで結構な人数が下船していき、それまで賑やかだった船内は幾分閑散とした。

お台場といえばガンダムがこのところの話題である。ガンダムの実物大模型を作るプロジェクトで、足の部分が組み上がったところだった。
※2025年註:その後完成してお台場に巨大なロボットの立像が誕生したわけだが、その話も今は昔。元々ガンダムにあまり興味がないので写真すら撮影していないのだが、今思えば写真くらい撮っておけばよかったかな。

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とその時、さっき竹芝桟橋に停泊中だったセブンアイランド号が盛大な水しぶきを上げながら目の前を通り過ぎて行った。
セブンアイランドはいわゆるジェットフォイルと呼ばれるタイプの船で、船体を空中に浮かせながらジェット水流による推進力で航行していく。

船内のガイドが、こうして浮上して航行している姿を見られるのは結構珍しいことですと解説していた。確かに普段目にする時は大抵停泊中でありその時は着水した状態だ。一方外洋に出たらほぼ目視できなくなる。そう考えると貴重な瞬間が見られたのかもしれない。

Posted by gen_charly